318.和歌山の底力
 平成17年度に始めて実施した事業「和歌山の底力、市民提案事業」。平成18年度も継続実施することに決定しています。地方自治体と民間が協働することを狙いとした事業ですが、実施結果報告は年度末の今日で締め切りです。採択された事業は殆どが完了していて、少しでも和歌山市に活力を注入してくれました。
 最低限言えることは、和歌山市からこの支援事業を実施したことで今までになかった10件近い事業が実施出来たことです。言い換えると、市民提案事業がなかったら決して和歌山市で実現出来なかったアイデアの数々が実現出来たのです。民間と行政が協働した素晴らしい事例だったと確信しています。

 聞くところによると、行政に対しても一部の民間団体に支援をすることに対して批判もあったようです。しかしその批判は的を得ているものでしょうか。例えば、何の根拠もないのに、抽選して当たった市民に支援費を提供するのであれば批判すべきものですが、この事業は全体に公募を行い、元気のない和歌山市を自分たちのアイデアと力をもって活気を与えたいと思った人達が提案し、アイデアを実現させたものです。
 公募に当たってはプレゼンテーションもありました。資料のまとめ方や審査員を前にした発表などをクリアしたうえ、皆さんに参加してもらえる事業ですから休日の時間を割いて市民の皆さんのために事業運営してきたのです。

 支援費以上の個人のお金、そして余暇と時間を市民提案事業に費やしています。これを評価しないで何の事業を評価出来るのでしょうか、私には現在のところ見当たりません。
 事業をやり遂げた主催団体は絶対に組織としての力をつけています。これらの団体が次に目指しているのは、行政から支援を受けなくても自分たちの力で事業を継続することや次の事業を実現することです。この様な思いを持ち続けることは、従来の民間と行政との間においてはなかったものです。

 自分達のことは自分達で行うことが自立した地方ですが、ここから一歩進んで行政に頼らないで自分達で地域に活力を与えることを目指している地域は、他と比較しなくても良い誇りの持てる地域です。地域にある資源に価値を見出して、今は評価されていないものを価値あるものに創りかえる人材がいることが地域の財産です。
 和歌山の歴史を語り継いでくれている語り部の皆さん。和歌祭を復活させた地域の力。和歌山の地形を活かした健康サービス産業を創造している医療関係者。プロスポーツ選手を輩出するために今ある資源を活用してアカデミーを設立した人。貴志川線を存続させた地域の力。独自の視点で地域の話題を取り上げている地方誌の設立者。
 挙げ出したら幾つでもありますが、これらの人の力が和歌山市の底力なのです。どんどん飛び出してくる人材が、今までとは違う時代の基礎を築いてくれています。

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