280.日付と氏名
 道路行政に関する行政機関の対応について相談がありました。これはある自治会が町内の道路に危険箇所と思われる箇所があることから市役所に改善要望を提出したところ、市の担当箇所からは忘れた頃に極めて抽象的な返答が来たと言うものです。返答のあった市からの書類には日付が入っていないし担当者名も記載されていない。そして実施する項目についても予定日が記載されていなかったのです。
 これでは誰が何を、何時までに実施してくれるか分かりません。この方は、行政機関の担当箇所がこの問題に関して責任逃れをするために責任の所在をぼかしていると憤慨していました。
 この道路行政に関する改善要望は平成9年から継続しているもので(現在は平成18年)、余りにも返答に長期間要している事例です。通常、ビジネスレターには発信期日と発信者の氏名を掲載しますが、これは責任の所在を明確にするためです。

 かつて、英文でビジネスに関するレターを日本人がアメリカ人に差し出した際、日付が欠落していたためビジネスの基本がなっていないと指摘され、ミスター・デートとニックネームがつけられたという話を聞いたことがあります。日付が入っていないと信頼出来る文書ではないと考えられているからです。
 それほど大切なのが発信の日付と発信者の氏名です。公式な会議召集文や庁内の周知文では発信番号を記載していますが、市民の皆さんからの問い合わせに関しての返信文では、そのふたつが欠落している場合が見受けられます。従来からの行政文化だと思いますが、責任を持った仕事をするためには日付と氏名を明確に記載すべきものです。
例1
 今回の事例に基づいた文書と、日付と氏名が記載された文書を比較してみます。
「お問い合わせの件につきましては改善すべきだと考えていますが、市の予算が厳しく実施時期については未確定です。要望のありました次年度の改善措置についても決定していません」

例2
「お問い合わせの件につきましては改善すべきだと考えていますが、市の予算が厳しく実施時期については未確定です。ただ要望のありました次年度の措置についても次年度の予算案審議がされていないため決定していませんが、3月議会において予算案が可決された後の4月に実施要否の検討を行い、実施可能な場合は8月目途で行いたいと存じます。
 平成18年1月○日
                 和歌山市役所○○部△△課 
 お問い合わせ担当◇◇ 電話073-432-0001 」

 例1の場合は、文章に日付が入っていないこと、発信月日と担当箇所が記載されていないため極めて曖昧な感じを受けます。それに対して例2のように文書での返答だと、簡単な文書ですが検討する時期が月までですが明確になり、発信月日と担当箇所と担当者が明確になっています。それだけでも問い合わせた方に安心感を与えるものです。同時に担当箇所の責任が明確になりますから、仕事を先送りにすることが出来なくなります。

 何時までにという時期が明確になると問い合わせた方にとっては安心感が発生します。信号待ちでも赤色だけならあと何分待たされるのか明確ではないため急いでいる時はイライラしますが、後何秒かの表示があるとイライラ感は随分軽減されます。
 待ち合わせの時間に遅れる場合でも「携帯電話で10分送れるので少し待ってください」と連絡を入れるのと、何の連絡も無いのとでは待っている方の気持ちが異なります。後10分待つだけと思うと確実に来ると思います。しかし連絡が無いと「どれだけ待ったら来るのか分からない」「待ち合わせの時間が間違っているのかな」「場所が違っているのだろうか」「今日、待ち合わせの約束をしていることを相手が忘れているのでは」と色々思ってしまいます。これだけでも精神的に良くありません。
 どんな場合でも期日を明確にすることで相手に安心感を与えることが出来ます。

コラム トップページに戻る

前のコラムへ   /  次のコラムへ