269.スターの条件
 その競技に関心のない人を惹きつけることがスターの条件です。タイガー・ウッズはゴルフに興味のない人をテレビの前に釘付けにします。イチロー選手はメジャーリーグベースボールへの関心を高めてくれました。宮里藍選手は女子ゴルフへの関心を確実に高めてくれています。中田英寿選手や小野伸二選手が登場したことでヨーロッパサッカーのレベルの高さを実感させてくれています。マラソンの高橋尚子選手が復活を果たしたのは陸上界での出来事ではなく国民的関心事でした。
 他にも指揮者佐渡裕さんの存在がオーケストラの素晴らしさを感じさせてくれますし、上原ひろみさんの登場が日本人ジャズへの関心を高め、聞く人のレベルを引き上げてくれています。
 従来とレベルが飛び抜けた存在の人物が登場すると、それまで見ることがなかった競技や世界に関心を向けさせます。

 2005年冬、フィギアスケートにも新星が現れました。15歳の浅田真央選手がフィギアスケートGPファイナルで優勝を決めたのには驚きました。15歳で優勝したことよりも、フィギアスケートに関心のない人達をテレビに向かわせたことに対してです。それは時代を超えるスターの誕生の瞬間のような気がします。

 私達は天才的な人達が突然現れるように思いますが、突然現れるのではなくその世界では知られた人がその世界から飛び出る瞬間を見ているのです。イチロー選手が入団3年目で210本の安打を放ったことに対する衝撃。松坂大輔投手が甲子園で春夏連覇をした凄さ。羽生さんが将棋界初の七冠を達成した年のこと。北島康介選手がオリンピックで平泳ぎ二冠を達成した時など、飛び抜ける瞬間は私達に衝撃を与えます。

 フィギアスケートの浅田真央選手の優勝も正に衝撃で、フィギアスケートに興味のない人も引き込んでいます。飛び抜けた技術は他の選手と違うレベルで演技をしているような印象があります。2005年、無敵と称されているロシア選手を抑える程の技術は飛び抜けているだけに世界から注目されるのは当然です。

 最近は若くして世界レベルの選手が登場していますが、それは日本人の競技者が最初から目標を世界一におき、それを目指した練習をしているからではないでしょうか。目標を世界に置くことで自らの意識レベルを高めているような気がします。最終的な到達地点を最初から思い描くことで、途中は通過点に過ぎなくなります。仮に到達地点として日本一を目標にするとそれを達成した時点で一息ついてしまい、次の目標に踏み出す動機付け、次の段階のレベルの高さに躊躇してしまうような気がします。
 体力的に海外選手と比較して恵まれていると言えない日本人選手ですが、若くして世界で戦っている選手が多いのは、才能に加えて最終目標の高さと、それを目指す意識が高いからではないでしょうか。

 それにしてもフィギアスケート競技だけではなく日本中を、世界を驚かせた浅田真央選手は、競技の枠を超えたスターの雰囲気があります。日本経済に明るさが感じられる時代に登場したことも影響して、新しい時代と共に活躍して時代を象徴するフィギアスケートを超えた選手になって欲しいものです。

コラム トップページに戻る

前のコラムへ   /  次のコラムへ