245.運動会
 秋晴れの一日は宮小学校の運動会を楽しみました。和歌山市内にある宮小学校は和歌山市内でも生徒数が多い学校で、運動場は保護者で囲まれて一杯になってしまいます。いわゆる場所取りは前日の夕方4時30分から列を並んでいる方達もいるようで、わが子の姿を良い位置で見ようとする親心が伝わってきます。

 生徒が練習を重ねてきた真剣な演技は、見る人を楽しませるのに十分です。特に6年生にとっては小学校最後の運動会ですから真剣さが伝わってきます。最後の種目では指導の先生から「見ている人も疲れているから疲れを吹き飛ばすような演技をして下さい」と呼び掛けがあり、それに応えた演技で会場は引き締まったのが分かりました。
 校長先生が最後の挨拶の中で「今日の素晴らしい演技を見て、この生徒達は将来この地域をそして日本を支えてくれるものと信じています」とありましたが、生徒達の真剣な競技と演技は将来の安心感を与えてくれるものでした。

 一方保護者の観戦には疑問符がつきました。小学校からは事前に、運動会が開催される運動場では禁酒、禁煙を厳守して下さいとあり、本日も本部席から生徒がいるためタバコは吸わないで下さいとアナウンスがありましたが、模範を示すべき保護者が約束事を守られていないのが残念でした。社会のルールを作っているのは私達大人ですから、自分達で決めたルールを自分達が守らなければなりません。
 まして生徒達は大人の姿を見ているので、学校で決めた運動会のルールを生徒が守っているのに大人が破っているのも知っています。

 終了後、小学校2年生から「見に来ている大人が、演技中やお弁当の時間にもタバコを吸っていて煙たかった」「大人が約束を守らないと駄目なのにね」と話してくれました。全くその通りで生徒への教育に影響があります。先生が懸命に教えても家庭の大人が模範を示していないとしつけは完成しません。家庭教育と学校での教育が両立させて初めて子どもの人格が形成されていきます。

 地域の大人達が、例え小さくてもその社会の中で決めた約束事を守ることで秩序ある地域社会を築くことになります。小さなことが守れないところから、社会秩序は崩壊していく怖さを感じ取っておきたいものです。自分一人ぐらい守らなくても大丈夫と思う心から秩序は崩れます。例えば和歌山市では資源ゴミ回収のためにプラスチックごみの分別回収に取り組んでいますが、このプラスチックごみの回収量が回収を開始した当初よりも減少しています。これは分別が面倒くさいこと、自分一人ぐらい分別しなくても環境問題への影響はないなど思っているからです。
 わずか1年半程でプラスチックごみ分別回収のルールも一部では守られなくなってきています。このように一人が約束事を守らないことが積み重なって地域社会全体に影響を及ぼします。

一人が守らないと結果として他の人も守らなくなります。自分が守るか守らないかはその事象が起きる起源に関係ありませんが、破ることが簡単なルール程、最低限自分が守らなければ他人も守らないものと思っておくべきです。自分も守らないし他人も守らないのでは秩序を保てません。
 子ども達の真剣さと比較して大人が考えさせられることがあります。

コラム トップページに戻る

前のコラムへ   /  次のコラムへ