239.夏の総選挙
 平成17年夏の総選挙では自民党が圧勝し国会で大勢を占めることになりました。
 結果、本当でこれで良いのか疑問を感じます。確かに小泉首相のリーダーシップは評価すべきですし、訴えは分かり易いのも確かです。小泉首相のような方でないと改革は推進出来ないので、その期待感があったことも事実です。
 
 しかしこの圧倒的な小泉党の勝利は危険な香りがあります。私達の生活を左右する国政を任せるには候補者の資質と政策を判断すべきです。しかし今回の選挙では政党を選択することが優先されたため候補者の資質は関係なかったようです。

 白鳳大学の福岡政行教授によると自民党候補者であるだけで当選している人もいるようです。深夜のテレビ解説では具体的な事例を挙げていました。二ヶ月前に行われました杉並区議会議員選挙ではわずか6,000票程度で落選した渡嘉敷奈緒美候補が、大阪7区に鞍替えして落下傘候補として出馬したのですが何と当選しました。
 同じく大阪二区から出馬した自民党候補者川条しか候補は、前回の参議院議員選挙に和歌山の民主党候補者として出馬し落選した人です。それが今回の総選挙直前に自民党候補者として出馬を行い当選しました。
 福岡政行教授はこの二人が今回の総選挙の特長を象徴的に表していると評価しています。
それは人物評価ではなく小泉首相人気により結果が左右されるもので、個人の適正や資質などは関係なく小泉首相の存在を選択する選挙になっているというものです。

 果たして今後4年間の国政を任せる人物を選択するのに、首相人気に左右されて良いものなのでしょぅか。郵政民営化は確かに重要な課題ですからこの問題に関しては小泉首相に任せても良いとしても、財政問題、社会保険庁や道路公団の問題、日中問題など重要案件は山積みですから、相当の即戦力となり得て資質の高い人物が求められる筈です。
 国政を任せる人物を選ぶのは人気投票ではないのですから、候補者の資質と政策が重要視すべきですがそうではない様です。

 与党が衆議院で2/3以上占めると参議院の採決に関係なくして重要法案も通すことが可能となりますから、現実問題として憲法改正も自民党案で改正可能な状態となっています。参議院の存在意義は少なくなり、権力者個人の意思で将来が左右されることになっています。この状態で安定させるのが良いと判断したのですから、私達はそれを受け入れることになります。衆議院で2/3を超える安定多数は実に大変な事態であることを認識しておくべきです。民主主義と言いながら、時の権力者の意思によって何でも出来るのです。

 平成17年夏公開されたスターウォーズエピソード3のせりふを引用します。銀河共和国の指導者が彼の力を抑えていたジュダイを反乱分子として追放した時に、銀河議員のパドメは「これで民主主義は終わった」と呟きました。権力者に強大な権限を付与することは危険が伴うのです。

 ある方から深夜にご指摘をいただきました。
「全く恐ろしい結果です。これで日本も北朝鮮と同じになったことを国民は理解していないんでしょうね。でもこれは民の愚かさと言うより民主党の力不足です。この現実を踏まえ国民にどう理解を促すのか。大衆の心を動かすのは小難しい説明ではないですよ」

 全くもっともな指摘で、自民党は郵政民営化の是非を国民に問う姿勢で正々堂々と戦っていますから批判対象にはなり得ません。民主党の説明の不明瞭さと対抗戦略が完全に不足しています。政権担当可能な健全な二大政党を目指すのであれば、与党案に対して対抗案を示すべきですし国民への説明責任を果たすべきです。これがないと民主党は埋もれるばかりです。
 この先どう巻き返すのか、民主党には国民への説明責任を果たして欲しいものです。

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