228.国の借金
 国の借金とは何ですか。統計上のものなら返す必要はないのでは。
→国の借金とは国債の形で国民や投資家に引き受けてもらっているものです。長期国債でも償還は10年ですから、10年後に買い手にお金で返す必要があります。10年前の国債は今償還期を迎えているように毎年償還しています。借金は無形のものではなく債権の形で実際に借金として存在しています。

 国の借金はいくらあるのですか。
→国と地方自治体の借金合計が700兆円もありますし、特殊法人も加えると1,000兆円とも言われています。家計に置き換えると年間収入が400万円に対して支出が800万円あるようなもので、借金の額は毎年増え続けています。

 ではお金を印刷して増やすと借金は帳消しになりますが、それは出来ないのですか。
→印刷して通貨供給量を増やすことは出来ますが、そうすると円の価値は下落しますし、インフレが起こります。個人で考えると長年に亘って苦労して預金してきたお金の価値が下がります。物価が需給バランスの均衡がとれるまで上昇するため、物価が安定している生活は今よりも厳しくなります。
 国レベルで見ると日本国への信用がなくなりますから、貿易や国間の取引が出来なくなります。国同士の取引は相手国の通貨安定を信頼してのものですから、その信頼を失すると交換は成り立たなくなります。日本国が借金返済のために通貨を印刷する行為は、円の価値を低下させるため国際的信頼を失墜させることになります。

 そのなる前に外貨に換金しておくと安全だと思うのですが。
→確かに外貨で預金しておくと円が下落しても安全は確保されます。ただ自分の国を見捨てる行為となりますから道義的問題が残ります。多くの人が円を売り経済成長が期待できる国の安定した外貨に換金すると、円は下落し日本国経済が不安定になります。

 借金を返す方法はありますか。
→現在の日本国の借金は莫大なので今すぐ返済するための手段はありません。出来るのは先に話したお金を印刷してインフレ化図ること。もうひとつはデフォルト、借金を返さないよと宣言することです。どちらも形の上では実行可能ですが現実問題としては無理です。
 時間がかかりますが構造改革により小さな行政府を目指し、無駄な公共事業を減少させる方法を追及する他ありません。国会の承認を得なくても自由に使える外郭団体にメスを入れることが課題です。郵便局の問題ですが、既に2年前、郵政公社に変革しているので国会のチェックが入るようになり無駄な支出は出来なくなっています。地方自治体においても外郭団体の支出については議会のチェック機能が働かせることは出来ないのです。 

コラム トップページに戻る

前のコラムへ   /  次のコラムへ