219.リーダーの資質
 リーダーの定義は様々で言われていますが、決まった型はありません。人の性格やおかれた環境に同じものはありませんから、全ての環境で通じるリーダーのタイプはありません。ただし最低限の原則はありますから、それを逸脱した人がリーダーとして迎え入れられることはありません。

 資質として必要な要素のひとつは素直であることです。師となる人がいる間は、道に迷った時や判断に迷う時には教えを乞いそれに従うことがあります。しかしトップに立つと意見を述べてくれる人を疎ましく感じ、遠ざけてしまうことがあります。素直な気持ちを持ち続けるとこのような誤った判断をすることはありませんが、自分を過信すると素直さがなくなります。
 人の意見を聞かないと自分の意見ばかり主張することになりますが、どれだけ賢明な人でもいつも正しい判断が出来るとは限りません。道を示してくれる人の存在、適切な判断を導いてくれる人が近くに存在することがリーダーになる人にとって絶対条件です。
 特に無名時代から支えてくれた人を大切にすることを忘れてはなりません。全て自分だけの判断でスムーズに物事が進むようになったなら既に危険信号です。

 ふたつ目は必要以上に敵を作らないことです。二人以上集まると場合によっては意見が対立することがあります。少しの意見が対立する程度でパートナーを解消するようでは、大きな仕事が出来ません。お互いの小さな意見の違い程度ならそれを乗り越えて、大きな方向を導くため一緒に行動してこそ成果が見られます。歩き出して間もないのに、或いは歩き出す手前で、意見が少し食い違ったからと行動を共にしない態度では信頼を得られません。敵とは言えないまでも大切な味方を失うことになります。一だったのがマイナス一になるのでは、上下で大きな違いです。
 大きな目標や志があれば、大河の流れだけを見つめて行動したいものです。成果が見える状態になると、最初の段階での小さな意見対立などはたいしたことがないことに気づきます。

 もうひとつ挙げるとそれはタイミングです。時代や社会が適したリーダーを求めている時に登場することが大切です。これはタイミングと言って良く、自分では及ばないところで働く力です。自分ではどうしようもありませんが、志を持って実現するための行動を行っている人のところには、このタイミングが絶妙の時期に巡ってくるようです。早すぎないで遅すぎないで巡ってくるタイミングに身を投じることが出来ることがリーダーの資質でも大きなものです。
 タイミングとはチャンスとも置き換えることが出来ますが、突然巡ってくるタイミングに賭ける勇気と度胸が必要です。慎重に考える、結論を先送りすると再び巡ってくることはレアケースです。気持ちの中ではどれだけ飛び出す準備をしていても、タイミングは突然ですから決断することは以外と難しいのです。怖いけれども飛び出す勇気を持っていることがタイミングを捕まえます。
 自分の知らないところで動き出したタイミングに、乗れる勇気を持つこともリーダーの資質です。

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