212.都市再生の条件
 平成16年度都市再生モデル調査事業としてNPO法人和歌山観光医療産業創造ネットワークで取り組んだ和歌浦再生計画に基づいて具体化を図ろうと活動しているところです。  
和歌浦再生に関する調査報告書は今までに提案されたものが山ほどありますから、過去からの歴史の変遷や課題はある程度抽出されています。今、和歌浦再生に必要なものは事業主体の決定と実践にあります。

 地域再生には投資を呼び込む必要がありますから、複数の事業主体が連携して同じ目的を持ち実践することが不可欠です。単にハコモノを管理しているだけでは振興を図れませんから、活性化のためには事業主体が管理から運営する視点に変更することが国からも求められています。地方自治法の改正による指定管理者制度導入がそれを証明しています。

 和歌浦は万葉の歴史と紀州徳川家の文化が売り物ですが、万葉の時代は21世紀に暮らす私達にとってイメージが湧きにくい遠い存在でもあります。現代の和歌山市は和歌山城を中心とした城下町から発展しているものですから、文化的には紀州徳川家の文化を継承していると考えた方が身近なものになります。歴史を万葉の時代から紀州徳川家の時代に針を進めるだけで、和歌浦の文化はぐっと身近な存在になります。

 その流れを和歌浦地域振興の柱に据えることで、地方自治体も事業者もテーマは同一となりますから地域振興策の方向性は一致させることが可能です。片男波公演内には万葉館が設置されていますが、例え風光明媚な和歌浦であっても、万葉の時代を感じさせる自然があるのかどうか分からない部分があります。突き詰めると、今の片男波公園辺りは海の中であったとの話を伺ったことがあります。万葉の歌人が詠んだ位置と今の公園の位置にはズレがあるとも思われます。

 ところが紀州徳川時代になると今の地形と似ていますから、生活圏、文化圏は現代とのズレは少なくなっています。和歌浦を和歌山市内における文化の拠点と捉えるなら、それを基にした考え方を地域に持っていく必要があると考えます。万葉館よりは紀州徳川館として歴史的な物品や文献を展示する方が、地域振興を目指す感覚と合うように感じます。

 何かを新規に取り組もうとすると調査が必要となりますが、出来るだけ早く取り掛かることで他の地域との違いを浮き彫りにすることが出来ます。国に提言出来た程のレベルにある計画に基づいて、スピードの経済力を求めている事業者が組めることで計画は一気に進展します。ただ新しいことに着手すると、それに立ち塞がる障害が出現することも社会における化学変化のひとつです。化学変化が起きるのも分かった上で、和歌浦再生は実践の時期に差し掛かっています。地域再生は完成した国レベルの計画の良し悪しを議論するのではなく、やるかやらないかの二者択一です。先送りの選択肢はあり得ませんし、先送りすることは資金をかけて策定した現在ある計画を台無しにするものです。時間の経過と共に、また他都市の取り組みと共に和歌浦でやるべきことは当然に変わってくるからです。
 全国に問いかけても恥ずかしくない再生のための計画書があれば、後の問題はやるかやらないかだけです。

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