185.三つの会社
 打ち合わせのため訪問した三つの会社がありました。
 一つ目の会社です。始業事にお邪魔したところ、社長以下全員で事務所の窓ガラスと机を拭いていました。玄関に入ると来客に気づいた社員の方々が「おはようございます」と大きな声で歓迎の意を表してくれました。丁寧に来客席に案内してくれたのですが、すれ違う社員の方全員が「いらっしゃいませ」と挨拶をしてくれます。
 打ち合わせ中でも関心させられたことがあります。この会社の営業員が外出する時には、事務所にいる社員が「いってらっしゃい」と大きな声で送り出しているのです。来客があっても気にしないで、恥ずかしがらずに堂々と大きな声で同僚を送り出しています。
 会社を訪問して元気をいただけました。

 二つ目の会社です。こちらも事務所に入ると全員で「いらっしゃいませ」と向けくれました。来客に気づいた社員は、受付の担当者でなくても窓口に出てきて用件を聞いてくれます。応接に通してくれ懇談した後、帰る際、事務所にいた社員全員が仕事中にも関わらず、席を立って「ありがとうございました」とお辞儀をしてくれたのです。
 お客さんを大切にするという社員教育が行き届いています。会社を後にした時には気持ちが良くなりました。

 三つ目の会社です。事務所を入ると社員数人がパソコンに向かって仕事をしていました。窓口から「こんにちは」と呼びかけたのですがパソコンから顔を上げず、誰も反応してくれません。三度「こんにちは」と呼びかけたらやっと一人が席を立ってくれたのです。当然、来客に気づいて対応してくれると思ったのですが、前を素通りして別の社員の隣に行って何か仕事で分からない点について相談しています。
 つまりお客さんの目前で社員同士が相談している格好で、来客者を全く無視している状態です。そこで声を掛けるとようやく反応がありました。「何か?」
 何か用件があるから事務所に来たのですが、どうやらお客さんと思ってくれないようです。カウンター越しに用件を話すと迷惑そうに「うち(の会社)でやらないといけませんか」との返答。こちらとしては、別にやってくれなくても他に依頼すれば良いだけなので何の不利益もありませんが、過去にお願いした所、対応してくれていたので訪問した訳です。残念ながら、今まで窓口になってくれていた担当者は退職されていて、後任の方は仕事が増えるのを嫌がっている様子でした。

 お客さんが来てくれるのを嫌がる会社って存在するのでしょうか。現実問題として歴然と実在しています。どの様にして利益を上げようとしているのか不思議です。競争社会と言われお客さんの獲得合戦をしていますが、日本社会にはまだまだ不思議なことが多いようです。
 この会社を出ると思わずため息が出ました。訪問した人を元気にさせる会社と不愉快にさせる会社があることに気づきました。元気を与えてくれる会社とは一緒に仕事をしたいと思いますが、元気を奪われる会社とは関わりたいとは思わないのが普通です。

 自分に置き換えて、誰かと会うとして、その方が分かれた後で会う前よりも元気になってくれて欲しいと思います。会った結果、元気になってくれることが時間を割いていただいたことに対する最大のお礼となります。
 本日の会社訪問の事例のうち良い事例は教訓として、悪い事例は反面教師として学びとしておきます。

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