176.思考を作る
 中央大学大学院の佐々木信夫教授は「地方は変われるか」の著者です。平成16年6月10日に読了しています。
 政策研究大学院大学の松谷明彦教授は「人口減少経済の新しい公式」の著者です。ある経営者から少子化に備えて地方自治体の対応を考えるヒントになると紹介を受けて、平成17年2月14日に読了しています。
 横浜市長の中田宏氏は「なせば成る偏差値38からの挑戦」を記しています。平成15年11月30日に読了しています。言うまでも無く中田市長は全国で一番人気がある市長のひとりで、その改革のスピードには圧倒されます。
 この三人が関西に来て講義を、しかも一箇所の研修施設に集まってくれた上、続けて講義行なってくれる機会など絶対にあるものではありません。募集開始直ぐに申し込みを行い拝聴してきました。

 著書を読めば、文章を持って著者の考え方を知ることが出来ますから。それでも直接話を聞くのは絶対的に有益です。本人に会うことで、声を聞くことで、同じ空気を共有することで得られるものは限りなくあります。意欲や熱意、風格のようなものも感じることが出来ます。その場にいないと分からないし伝えきれない独得の空気が存在しています。 著書の内容を知るだけなら、著書に記載している内容の方がデータも豊富で体系だっていますから読書によって著者と向かい合うだけで良いのです。優れた著者と向かい合うだけで、十分に自分を高めることが可能です。
 それでも直接話を聞く機会は大切です。不思議なことに大体は予想通りの声をしていますし、考え方も思っていた通りの方が多いのです。自分が著書を通じて予想していた人物像となっています。文章はその書き手をストレートに表現出来る手段であることが分かります。考え方や声の質、背の高さまで予測出来るのです。何冊か読むことで確信が持てる程になりますから読書は大切です。
 直接話を聞くと最新の状況が分かりますし、話しての思いがストレートに伝わってきます。何よりも著作にある内容の行間が読み取れることがあります。活字で表現している以上の意味が込められていることが伝わってきます。音楽でもライブとCDとの違いはあります。人の場合も直接会って話を聞く方が考えていることが分かります。

 現場主義と著書に記していれば、現場体験を活かして政策立案を行なうことが前提にあることは理解出来ます。人前で話をする立場の人は大抵苦労していますし、現場経験から現在につながる何かを掴み、その課題を解決するために努力を重ねていることに気が付きます。同じ単語であっても、人物によって込められている背景は異なっていることから単語の意味するところは違っています。

 著者の人物像と周囲の環境を本人から聞くことで、著書に書いている内容の理解は深まります。読書では、著者の考え方と対峙することで自分の考え方を深めることが出来ますし、直接話を聞くことでその考え方の補完が出来ます。

 一番の違いを挙げるならば、本を読んだだけではそこに書かれている理論を自分のモノとして消化し他人に伝えても内容が薄いものになりますが、本人と会うことで話の内容や雰囲気が自分のモノとなり、他人に自分の言葉で伝えることが出来ることです。その人の言葉の中で共感できる部分を自分なりに消化し、自分の考えと融合させて他人に正確に伝えることが可能となるのです。この違いは大きいものです。
 もっと簡単に表現すれば、エジプトの写真を見てもピラミッドの凄さを他人に伝える事は出来ませんが、現地に行って見た経験があれば、その素晴らしさを自分の言葉で他人に伝えることが出来るのと同じことです。
 何でも直接会う、直接見聞することに勝る体験はありません。どれだけの現場を体験しどれだけの人に会ったかが、今の自分の思考を作っています。

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