155.隠れた思い
 オフィスコブクロの社長からは、和歌山市を愛する気持ちが伝わってきます。ファンフェスタは、ファンとスタッフが作りあげるもので最初から完成を目指していない。毎年少しずつアイデアを実現させていくことで、数年先か10年先にはファンフェスタとして完成させたイベントに持って行きたいとしています。
 社長のアイデアは豊富で実行力がありますから、一気に大掛かりなものにすることは簡単です。でもコブクロを育ててくれた地元の方と一緒に手作りのファンイベントにしたいとの思いがありますから一歩ずつです。
 平成17年はその第一弾で、和歌浦せんべいを会場で販売しました。直ぐに完売ですから来年も販売すれば完売するのは間違いありません。でもそれではファンの方に和歌山市を好きになってもらえないのです。
 来年(平成18年)のファンフェスタに来てくれた方が、昨年(平成17年の今日のフェスタのことです)会場で販売していた和歌浦せんべいがおいしかったので、是非欲しいと思ってくれた時、和歌浦せんべいの販売店所在地をファンフェスタ特性マップで紹介しておくことで、お店に立ち寄ってくれることになります。お店は和歌山市の観光地のひとつである和歌浦にありますから、お店に行く道中で和歌山市を楽しんでくれることになります。アートキューブや万葉館にも立ち寄ってくれると和歌浦の文化と歴史も感じてくれるかも知れません。

 今年、和歌浦の観光地を特性マップで紹介しても、コブクロファンにとって和歌浦は何のエピソードもない地域ですからそこに行ってくれません。しかし来年ならコブクロ刻印入り和歌浦せんべいを製造販売しているお店は、ファンにとって馴染みのあるところになっています。
 今日一日で和歌浦せんべいは2,000個の製造し販売されました。店の一日の製造規模は分かりませんが、今日の製造量は通常よりも多いのは間違いありません。毎日和歌浦せんべいを作っている職人さんは、お客さんが並んで買っている光景を見る機会はそうありません。今日は自分が作った商品を、たくさんの人が並んで買っている光景を見ることが出来たのです。和歌浦せんべいを買うために並んでいる光景を職人さんに見せてあげたいと願った社長の気持ちのこもった企画です。

 平成18年、コブクロファンフェスタの帰り道、和歌浦せんべいのお店に列が出来る光景が想像出来ます。今日の仕掛けが一年をかけて、コブクロと和歌山市のエピソードを育んでくれるのです。毎年、和歌山市の物産を会場で販売することにより、和歌山市物産が全国に認知されていきます。観光キャンペーンよりもコブクロファンフェスタの方が全国からお客さんを集客することが出来るのですから。
 ファンフェスタは終わったばかりですが、来年はお手伝いの輪を拡げ更に和歌山市全体で盛り上げたいものです。全国から和歌山市に来ていただけるイベントは、それ程ありません。そして今年巻いたファンと和歌山市の間に芽生えさせたエピソードを、和歌山市で育てたいものです。

 活気のあるまちには1年に一度のイベントがあります。岸和田市のだんじり祭りや徳島県の阿波踊りなどが代表例です。コブクロファンフェスタは和歌山市にとっての宝物です。単なるコンサートではなく、地域にとって意味のある大きなイベントです。1年に一度、コブクロと多くのファンが和歌山市にやって来る。気持ちをひとつにしてお迎えし楽しみたいものです。将来的は和歌山市フェスティバルに発展出来たら最高です。

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