153.疑問
 和歌山市でも色々な分野で現在のあり方に疑問を感じ、行動を起こそうとしている人がいます。社会に疑問を感じ、何かしなければと思う気持ちを持っているのは頼もしい限りです。そんな若い人の相談に対して経験者は決まって「無理だから止めておけば」などのアドバイスを送ります。
 現状に満足しているのか、現状を変えようとして敗れた経験があるのか、或いは現状を変えられないと諦めているのか、それぞれ理由はあるのでしょうが、全て尤もらしい理由を付されることで、急激にやる気は萎んでいきます。そして現状は現状のまま継続されることになり、疑問を感じる人がいなくなるとその分野の長期停滞は始まります。

 では誰に相談したら良いのでしょうか。少ない経験からですが、自分と立場や立ち位置の異なる人に相談することが好ましいと感じています。同業種の経験者に相談すると、業界の常識が分かっていますから、現状において出来る、出来ないの判断をされてしまいます。その結果、道を外すことは少なくなりますが、現状を変えることはなくなります。
 ところが違う分野の方に相談すると、常識は異なりますから、違う角度からのアドバイスをいただけるし、やってみたらの言葉も受けられます。常識に囚われない考え方は新鮮です。
 ひとつの業界に長く身を置いていると、業界の常識が社会の常識だと思い込んでしまいます。社会の常識は変わっているのに、業界の常識はそれに追従しにくいのが現状のように感じます。業界内で確立してきた独自のルールは、秩序を守るために必要な部分もありますが、時間の経過とともに保守化、陳腐化していきます。
 そこに疑問を感じたら、信頼出来る人に相談することです。一人で行動を起こすのは大変な労力を伴い実際の行動に移すことは困難です。信頼できるまともな人に相談すると、意見と共にそっと背中を押して前に踏み出させてくれます。

 外に一歩踏み出すと厳しい風にさらされるため覚悟は必要です。その風は批判なのか賞賛なのかは分かりません。人は自分にとって心地よい環境を築いていますから、批判は受けたくないのです。私も当然のこと批判されるのは大嫌いです。
 批判を恐れない勇気などと言いますが実際は難しいものです。でも疑問を感じて調査した結果その疑問が確信に変わったら正義感が芽生えてきます。この気持ちは大切にしたいものです。

 正義感は眩しいものですから、それを遮る動きは必ず出現します。強い輝きでも紙一枚で遮断することが出来るように、正義感は貫き通すのは至難の業です。でも輝きのない世界は存在しないのですから、やがて輝く時が来ることを信じて歩き出す。そんな人が身近なところに現れるのは、自分の立っている位置に誤りのないことを証明してくれるものです。眩しく輝こうとする人は、感覚的にそれを遮る人の元にはやってきません。同じ光を感じるからやってくるのです。業種や年齢、性別は関係なく光は見つけることが出来るので、より大きな輝きを放ちせめて周囲だけでも眩しい程にしたいものです。
 光を放つ第一歩は、疑問を感じることから始まります。

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