150.経営に
     必要なもの
 経営者は、ある時には冷静な判断を求められることがあります。その時は情に流されずに経営判断をすべきですから、経営者に求められるのは冷徹になれることです。難局を乗り切り会社を長く続かせるには、情だけでは経営は出来ません。
 ところが冷徹なだけの人間では経営者は務まらないのです。普段は情を持って人に接する必要があります。従業員に対してやお客さんに対しても情を持って接することで、信頼感を得ることが出来ます。信頼を得ることで会社は前向きに動き出します。
 ですから経営者の資質として、情と冷静な判断力を兼ね備える必要があります。どちらも大切ですが、元来冷徹な人は情を持ち得ませんから不適です。情のある人が経営に携わる時に厳しい判断を下せる方が良いのです。人は命令だけでは動きません。

 経営者は、感謝の心を持つことが最も大切です。感謝の対象はお客さんや従業員は勿論、モノに対しても持つことです。お店に来ていただいてありがとうございます。いつも熱心に働いてくれてありがとうございます。働いてくれる人がいるから会社は成り立っているのです。
 そしてモノにも感謝です。トイレがなければたちまち困ってしまいます。天井がなければ快適な生活を過ごすことは出来ません。コップがなければおいしいコーヒーを飲むことは出来ません。
 周囲にあるモノは私達に快適な生活を与えてくれています。モノにも感謝の気持ちを持つことで、モノは私達に良い人生を与えてくれるのです。お世話になった部屋を改修する時でも、今までの生活を支えてくれた古い材料に感謝してから壊し始めます。お店を改修する場合は、今までお金を稼がせてくれてありがとうと感謝の気持ちを持って取り壊します。その気持ちが次の新しい環境を作ってくれます。
 感謝の気持ちが芽生えてくると健康に感謝したくなります。健康に感謝の気持ちを持つと健康な体を与えてくれた両親に感謝する気持ちが宿ります。両親は子どもが幾つになっても見守ってくれています。子どもは行き詰ったとき、苦しい時に無意識のうちに両親に祈ります。感謝の気持ちが行動を後押ししてくれます。
 経営する時の気持ちは、突き詰めると両親への感謝の気持ちと同じです。この感謝の気持ちをお客さんや従業員に持つことで発展していきます。
 感謝の気持ちを持つことは経営だけではなく、人間としての活動の原点となります。

 温かく見守ってくれている人に対して恩返しをする方法は、直接的に何かをお返しするのではなく、自分の行動の結果を出すことです。人は行動すると何かの結果を得られます。社会的に良い行動を取ればよい結果を得られますし、悪い行動を行えば芳しくない結果が得ることになります。結果を見ると、自分の行動が正しかったのか否かが分かります。
 行動することが結果を得られる唯一の方法ですから、恩人には結果を出すことでお返しが出来ます。少しずつでも階段を登って成長することが恩返しなのです。
 ただ自分のお金を使い、厳しい決断を迫られ乗り越えてきた経営者に追いつくのは大変なことです。本来ならお金を使ってでも聞くべき話ですが、機会を持ってくれた上、経営指南していただける経験は変え難いものです。経験者の話を伺う機会は大切にしたいものです。

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