141.熊野ブランド化
 アウトドアブランドのパタゴニアが日本市場で受け入れてもらうために最初にしたことは、雑誌社の人の協力を得ることです。雑誌に関わっている人には二つのタイプがあります。
 一つ目は、現状を取材して正しく伝えるタイプ。二つ目は、新しいことを発信していくタイプです。いずれも自分の伝えたいことの情報を発信していますから、時代の先を読むことについての鼻が利くのです。広告代理店に委託すると時代の先読みを誤ることがありますが、雑誌社の人は時代の2年から3年先を読んでいます。これらの方に関わってもらうことでやりたいことが進みます。

 熊野は実態があるものです。実態があると言うことは、正直でうそがなく良いものを生み出すことが可能な状態です。人は正直なものを好きです。フランスブランドのルイ・ヴィトンは、公室に製品を納めるため、壊れないように丁寧に製品を作っていました。壊れないようにするだけで製品に対する信頼が生まれました。
 熊野では熊野詣が始まった以降が実態で、それ以前は実体がないものです。熊野詣以降は、熊野行幸の道が残っていて王子跡があり熊野三山が実在していることから実態であることが分かります。それ以前は神話の世界に入りますから現在のところ実態がないものです。実態があり魅力のある素材のブランド化は可能です。
 アメリカの大学ではブランド化を図る場合、音の響きから入り命名します。熊野、KUMANOは響きが良く覚えやすいのでブランド化が図れる条件はあります。ソニーやトヨタは世界中の人が発音を間違わないシンプルな名前なので、製品の良さと相まって広く浸透しています。
 
 ブランドを定義すると、良いものであり正直なもの。それを受け入れるように時代は進んでいて、世の中は「なんとなく」は通用しなくなっています。一例として、平成17年2月14日に欧州と日本などで二酸化炭素削減目標を定めた京都議定書が批准されています。
 環境問題とは二酸化炭素削減問題でもありますから、ごまかしは効きません。環境先進国は何と言ってもドイツです。ドイツでは市によっては、家で車を水洗いできない所があります。理由は川が汚れるからです。他にも下水道に包装紙が詰まって水が溢れたりすると、国はその包装紙を提供した企業を突き止め損害賠償請求を行う程、環境問題に取り組んでいます。
 パタゴニアでは総売り上げの1%を環境問題使用するために寄付しています。日本市場だけでも売り上げは約70億円ですからその1%は大きな金額です。企業理念を環境問題への取り組みとしています。ペットボトルで服を作り販売を開始したのも一番でした。誰でも着て欲しいではなく、環境問題を考える方達にパタゴニアの服を着て欲しいと願って素材にこだわり、10年は着られるものを提供しています。
 コンセプトをしっかりさせて製品化することでブランド化が図れます。

 熊野ブランドは観光業を目指しています。観光業でブランドを確立しているのは、若者向けの北海道と沖縄。若い女性向けの金沢市、夏祭りの東北、フルムーンの九州などで、その数は少ないのです。熊野は玉手箱のような存在で、ブランド化を図って何年か経てばその一角に入れる存在です。今現在だと、肩を並べることは無理だと思いますがそうではありません。
 ソニーの創業期には盛田さんは、従業員の給料を支払うために、行きつけのトンカツ屋に頼んでお金を借りたことがあるそうです。世界のソニーですが、このエピソードは100年も200年も昔の話ではなく、わずか40年程前の出来事です。それがスタートなのです。熊野も直ぐに観光地としてブランドを確立している地域には勝てませんが、今からブランド化をスタートさせたら40年後には追いつく可能性は十分にあります。他地域からすれば羨ましい自然と歴史がある熊野ですから、出来ない理由はありません。
 アメリカのアリゾナ州セゾナは、かつてはインディアンの聖地と言われた場所です。赤い岩が有名な地ですが、今では健康のメッカとして知られています。それは赤い岩から大量のマイナスイオンが発生しているからで、岩の近くでは気持ちが良くなります。交通の便は良くないのですが、多くの人がここを訪れています。この場所のブランドはセラピーです。かつての聖地を科学的な根拠付けを行うことで効果を立証出来たので人を集めています。
 熊野は蘇り伝説がある地です。この地にマイナスイオンや土地の力があることが検証出来たら、伝説を現代に蘇らすことで魅力付けを行えます。元熊野本大社があった大斎原のマイナスイオンレベルは高いとも言われています。先人の選んだ土地は何かのエネルギーがあるものです。

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