79.地位に馴染む
 大相撲の尾車親方(元大関琴風)との話。
 相撲の世界では、その地位にいると地位に馴れてしまうと言います。その意味は、若い力士が幕内上位にあがってきて仮に大関になったとします。実力は下位の力士と大差がなかったとしても、大関という地位にいれば自然とその実力、風格が身に付いてくると言うものです。
 逆のケースもあります。いくら元関脇でケガという理由で番付がさがり、実力は関脇時代と変わらなくとも幕下に落ちると幕下の相撲になってしまうのです。その地位に馴染んでしまい、なかなか上位にあがれないそうです。
 地位がその人を作るという言葉があります。大関には大関の、幕内には幕内の、幕下には幕下の中での競争がある。その地位にいるとそのレベルでの凌ぎあいになり、なかなかそこから抜け出せなります。
 人間を成長させるのは優れた人物との切磋琢磨ですが、大相撲はその縮図となっています。

 相撲の世界では勝たないと何の値打ちもありません。いくらがんばっても、負け続けると評価されない世界です。日々努力をして結果は負けたったとしても、親方は「よしよし、おまえはがんばっているのになぁ。世間は認めなくても俺は認めているよ」などとは言ってくれません。「負けるのはおまえの努力が足りないからだ」と言われるのが落ちです。がんばっても成果を出さないと努力が報われないのです。
 それならどうしたら成果が出せるのでしょうか。それはがんばるだけです。今成功している人は皆、がんばって願いを叶えてきた人ばかりです。

 大相撲の格言に「3年先の稽古をする」と言うのがあります。3年後の自分のために稽古をするのです。今日やって明日直ぐに成果が出るような努力なら誰でも出来ますから、苦労とは言いません。努力というのは直ぐに成果が出ないし、何時花開くか分からないのですがそれを耐えることを言います。簡単なようで、なかなか出来るものではありません。

 しかしそれをやり遂げて成功する人がいるのも事実です。人に出来て自分が出来ない筈はありません。
今日の努力が、明日直ぐに成果が現れるのならば誰でも出来ます。一日二日の継続は努力とは言いません。いつ成果が現れるか分からないけれども、努力を重ねるのが本当の努力です。
 3年先の自分のために今日努力をする、これを肝に銘じておきたいものです。

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