73.明確な目標
 先のアテネオリンピックから分野は違っても考え方のヒントとなること事例があるので紹介します。水泳で金メダルを獲得した北島幸介選手のチーム北島の取り組みです。平井伯昌コーチか北島選手と出会ったのは北島選手がまだ14歳の時です。その時から8年後のアテネオリンピックで金メダルを取ることを目標にしていました。

 北島選手には素質はあったのは間違いないのですが、世界のどのレベルまで行けるかはコーチも本人も分からなったのです。しかし、目標と夢を持ったことは確かです。明確な目標を二人で描き、学生の大会も国内大会も通過点とみなして最終目標を目指しました。  
 ただ8年は長いので、世界選手権出場、世界記録更新などの中期目標を掲げながら、到達地点をアテネオリンピックに絞ったのです。長期目標の間の節目となる所に中期目標を定めることは、自分の位置を知ることになり、最終目標達成にも必要なことです。
 北島選手と同じ程度の素質を持つ同世代のスイマーもいたのでしょうが、将来を分けた要因は明確な目標を持っていたかにつきます。最初に定めた目標設定の仕方の違いが将来のある時期において大きな差となりました。
 
 アテネオリンピックでは、コーチと選手の目標通りの結果を達成しました。この事例から、目標と熱意を持ち続けることの大切さを学ぶことができます。最初、誰もオリンピックまで金メダルを取れるとは思っていなかったはずです。ただそれを信じて、それを目指したから取れたのです。あきらめからは何も生まれません。チーム北島の考え方と取り組みは、私たちの今後の行動にも通じるものがあります。
 
 もうひとつ、外国人選手に対抗するには体力だけでは駄目だと気づき、精神面でのトレーニングを重視したことが挙げられます。日本人が持つ文化と素質を活かさないと、パワーで対抗しようとしても追いつくことは出来ません。ここ一番の精神力、ここ一番で集中力を発揮できる能力は日本人の潜在意識の中に持っているものです。
 この日本独自の精神力と科学的トレーニングを融合させたことから、世界一の選手となれたのです。単に外国の最新トレーニング方法を取り入れるのが正しいとは言えません。
 最新のものを自分達の特長に合うように改良し、取り入れることで成長することができます。
 ビジネスでも同じです。流行だけではなく自分の得意分野、会社の特性を活かして勝負することで将来が切り開けるのです。

 目標を定めるのに遅いことはありません。今直ぐに具体的に10年後の目標を設定すれば、それに向かって努力する方向にスイッチは切り替わります。10年後の自分は今思っている自分になっているはずです。

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