53.業態の変化
 まちの文具店もその業態を変化させています。今まで文房具店の方とよく顔を合わしていたのですが、最近あまり見かけなくなっていました。それには理由がありました。文房具も競争激化によって価格の低下が激しく、安売り店に対抗するために経営形態を変えつつあるのです。
 今までなら、お客さんの要望に応じられるよう、倉庫に多くの種類の文房具製品とある程度の数量を用意しておく必要がありました。迅速に要望に対応するため在庫を抱え、注文に応じて店からお客さんの事務所まで配達に出掛けるのが通常でした。

 ところが今では、注文はインターネットかファックスを主流としています。お店の方と話している最中に、ファックスでの注文が舞い込んでいました。注文を受けると要望に合った製品で安価なものを選び出してメーカーに発注するのです。お客さんの事務所へはメーカーから宅配便で送られてきます。
 こうして営業や配達は少なくなり、お客さんと顔を合わせる機会が減少しているのです。外部環境に合わせて経営は変化しています。倉庫がありますが、在庫はほとんど要らなくなっています。緊急の注文に応えられるだけの最低限の文房具があれば良いのです。在庫が不要となり大きな倉庫も必要なくなりました。

 経営形態が変化することによってもうひとつの変化があります。今までは文房具だけを取り扱っていたのですが、在庫が不要なことと注文がデータ化されたことから、電気製品や飲食物まで取り扱いが可能となったのです。店のパンフレットには文房具が主ですが、それらの商品も掲載されています。
 好むか好まないに関わらず文房具店から多角化が図られています。事務所や家庭にしても、文房具のついでにペットボトルのお茶を注文しておこうとなることがあります。別々の店に頼むよりも一箇所に依頼した方が便利だからです。しかも取引があり信用できる文房具店が扱う商品ですから安心できます。このような多角化は、お客さんにとっても店にとっても利点があります。インターネットの普及でまちのお店の業態も変化しています。

 直接営業や直営の配達が不要となり、在庫も必要ないため倉庫も不要となっています。文房具の専門店から、扱う商品を多様化させた業態に変化しています。高級品や特殊な製品は、直接確かめてから購入したい感覚がありますが、文房具や日用品なら抵抗なくカタログで購入出来ます。業態にあった壁が低くなり消費者にとっては便利になりました。
 IT化による利便性の向上は、パソコンを利用する人だけのものではなくなっています。

 関心を持って店の方と話をすることで、少しですがその業界のことが分かります。好奇心は自分の領域を拡げてくれます。文房具店からも時代は覗けます。

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