平成18年9月13日(水)
B. 平成18年 9月
 和歌山市議会一般質問への再質問内容
(1)中心市街地の活性化対策について
 お答えいただきましたので、再質問をさせていただきます。
 中心市街地活性化のためには交流と定住が必要な要素であるとの認識の下、基本計画の策定と将来的な運用を図ると思いますが、そのためには市だけではなく、法定の中心市街地活性化協議会が機能することが条件です。和歌山商工会議所が中心となって平成18年9月末に協議会を立ち上げる予定ですが、立ち上げは少し遅いように感じます。本来、基本計画の策定箇所が協議会なのですが、未だに結成されていない点、基本計画案の完成度(民間事業者、地元からの意見などを折り込めているのか)と認定を受けられた場合の取り組み方が気になります。
 現時点の協議会のメンバー構成は、座長に和歌山大学山田良治教授、構成員に県や和歌山市、株式会社ぶらくりのメンバーになっていると聞いていますが、実践的なメンバー構成を図り、動ける組織にしていく必要性を感じます。

 中心市街地再生に関して市長は、「商工会議所や県などと連携して」と所信で話していますが、ここに実務的に再生計画を構築するために、金融関係者や事業家などを加えて欲しいと要望いたします。
 協議会のメンバー構成は重要ですから、実務的に再生計画を構築するために金融関係者や事業家などを加えていただけるよう、市が指導性を発揮して下さい。

 他にも課題はあります。中心市街地基本計画には実現可能のあるいくつもの事業計画が欲しいところですが、和歌山市の基本計画で具体化出来るのは、旧丸正ビルの商業ビルとしての活用と旧さくら銀行跡地のマンション計画だけなのです。
 中心市街地をJR和歌山駅から南海和歌山市駅までの間と定めている割に寂しい基本計画となりそうです。時間的に難しいのですが、他に付加できる計画案が欲しいところです。

 中心市街地基本計画に記載した事業は5年以内に完成させることが必須条件ですから具体性に欠けるものは記載出来ません。従来の基本計画と大きく異なるのは、実現可能性を二の次として理想を掲げていたものに対して、今回は実現性の高いものだけを基本計画に掲載しなければならないのです。
 つまり、理想はあるけれども事業主体が決定していなかったり、地権者の反対などにより実現目処が立っていないものの掲載は出来ないのです。あくまでも基本計画策定の時点で実現性のあるものだけが掲載出来るのですから、最初の基本計画の重要性を強く認識して、実現性のあるものをたくさん組み込んで欲しいところです。

 このように活性化を図るためには、一つの再生モデル計画がスタートした後に、続けて次の事業をスタートさせることが必要です。単発的なものになると賑わい創出に旧丸正ビルが孤軍奮闘することになり、いつまでも持ちこたえることは出来なくなります。集客するためには、常に旧丸正ビル内で投資をし続ける必要がありますから、一社にそのような役割を担ってもらうことは出来ませんから、市としての支援体制が必要です。

 大橋市長も中心市街地のマーケティング調査を実施していますが、その結果は「旧丸正跡では採算が合わない」「リスクが大きい」ということで出店を見送った。また、地方への出店の場合には、駅前立地という企業戦略を立てていたり、先端の消費者をターゲットとしているために出店の条件として、ある一定以上の人口規模を条件にする、といったところも多くあり、本市にとって厳しい答えばかりが返ってきたと明確に述べています。
 中心市街地への商業施設の進出にはかなりのリスクがあることは周知の事実です。そこに飛び込んでくれた和島興産ですから支援は当然のことで、それに続く進出を呼び込むことが活性化に不可欠な取り組みです。

○そこで質問です。和島興産だけが地域再生を担う状況にはして欲しくありません。そのため和島興産に続く進出について、そして基本計画認定の見通しはどうなっていますか。大橋市長だから出来た旧丸正ビルの再生です。継続して民間事業者を基本計画に参入を呼び掛けて実現して欲しいのですが、その意気込みと見通しを示して下さい。

 もしこのふたつの計画以外に織り込むことが無理な場合、ふたつの事業計画を圧倒的に成功させ、全国に誇れる中心市街地の成功事例として知れ渡る位にする必要を感じています。少しの成功事例では後に続く事業者は現れません。和歌山市が国の施策を活用するための計画を立て成功させることによって、市外の民間事業者を含めてこの地域に投資したいと思わせる必要があります。空きビルを再生したものの賑わいを創出できなかったり、後の投資が続かないようなら、中心市街地を活性化させたとは言えません。
 まずはしっかりと旧丸正ビルを商業施設としての再生を成功させ、続いて住機能施設にも人が集まるしくみが必要です。

 そのために、今回、国に提出する予定の中心市街地基本計画には書き込めない部分、つまり市が中心市街地を重視するのであれば、この地域をどのような地域にしたいのか明確にする必要があります。病院や行政機関が集積している地域ですから、高齢者に定住してもらえる地域を目指すのか、高校生が魅力を感じ集れるような流行発信地域を目指すのか、まず基本理念を確定すべきです。
 中心市街地基本計画があると言うことは、計画と方針がしっかりとしていることを表すものですから市の本気度を示すものになります。民間事業者の投資を呼び込む魅力づくりを創出するためにも、真の中心市街地基本計画を策定して欲しいものです。

○そこで質問です。
 気になるのは「中心市街地再生の契機にするため」としながら「城フェスタなどを開催し、中心市街地をはじめとする、まちなかにも観光客が流れる仕掛けを強化していきます」と市長が発言していることです。多くの識者は、イベントでまちは再生出来ない、イベントはきっかけや活性化の意気込みを示すものであるもので、それに続くまちづくりの方向性が必要だと答えてくれます。現時点においては、方向性を伺い知ることは出来ません。
 中心市街地の方向性について、どのように考えているのかお示し下さい。


 和歌山大学観光学部についてです。
 和歌山市が観光都市和歌山として創造的発展を目指していることを示していただき、積極的支援を打ち出していただいたことを嬉しく思います。
 というのも、和歌山大学では市が中心地への進出を期待していないのに、何も和歌山大学が進んで中心市街地再生のために観光学部をこの地域に設置しようとは考えていないからです。市が中心市街地再生のために和歌山大学に期待しているのか、いないのか、確認したかったのですが、市長としては観光都市和歌山を志向していること、しかし、伏虎中学校に関しては耐震性の問題などから活用は難しい様ですが、他の市保有資源の活用に関しては活用もやぶさかではないことが判りました。
 市長は和歌山市のホームページにおいて「中心地への国立大学のサテライトキャンパスを頭から否定しているのではありません」と答えていることから、当然、市街地での開設を期待していると思います。

 そして、国からは観光をテーマにして地域再生を図ろうとする先進モデルを、和歌山大学が担ってくれることを期待していると聞いています。大学の学部を中心市街地に開設することで再生が図れることの効果を認めてくれているのです。その証拠として、独立行政法人としてスタートした旧国立大学で新学部開設の動きがあるのは和歌山大学だけです。 

 国では基本的に独立行政法人大学が新学部を開設することを認めていないのです。これは経費削減、人件費削減のガイドラインが示されている中で、人件費などを増加させる働きのある新学部設置は国の要望とは逆行するもので、余程の理由がない限り今後共認められないと考えています。
 そのような初めての取り組みですから、和歌山大学観光学部の動向は国レベルでも関心を集めているのです。市としてもしっかりとした支援体制を確立して欲しいところです。

 先ほどの答弁では、伏虎中学校の活用に関しては難しいとの見解を示されました。が、中心地にある校舎などの活用に関して、条件が整えば観光部設置に関して和歌山大学と協議する腹積もりがあることが示されました。
 和歌山大学では、市が希望していないのに無理に中心地に観光学部を設置しようとは思っていません。今の栄谷キャンパス内で十分学部を設置出来る場所がありますから、対応が可能なのですが、中心地活性化に役立ちたいと考えてくれての申し出なのです。

 ですから消極的支援であれば、望まれもしないのに学部を中心地に設置することはありません。観光学部は平成20年度の開設を目指していますから、和歌山市から大学に対して観光学部設置の要望書を提出したのは、まちの再生の一翼を担って欲しいと考えたからではないでしょうか。中心地における観光学部開設について教育委員会の見解を踏まえて、大学から正式に申し入れがあれば市としての積極的支援をお願いいたします。

 もう一つの課題は、現在作成中の中心市街地基本計画との関わりについてです。この基本計画は具体化出来ているものを記載しますが、この基本計画に和歌山大学観光学科の設置が記載されているのか否かで中心市街地の方向性は全く変わってきます。
 大学のある地域にするのか、大学に期待していないのか。それは和歌山市が観光に力を入れようとするのか、観光に力を注ぐ気がないのかを見極める鍵でもあります。

○研究機関である和歌山大学観光学科が中心地に開設させることは、地域活性化に大いに寄与するものです。この点を考慮した基本計画に仕上げていますか。入っていないとすればその理由をお聞かせ下さい。この中心市街地基本計画に再チャレンジはありませんから、関係者としっかりと議論を重ねた上での計画策定を期待しています。


(2)企業誘致による雇用対策に関して
(3)人口減少に関して

 経済産業省が発刊している冊子「新経済成長戦略」によると、「サービス産業のウェイトが経済面と雇用面で着実に拡大を続けている」と評価されています。(185頁)
 国全体の統計ですが、2003年時点で雇用の66.8%、実に三分の二をサービス産業が担っています。1993年から2003年の10年間の雇用を見ると、製造業では約390万人減少しているのに対して、サービス産業では約357万人増加し、製造業の減少分をカバーしている状況です。
 製造業とサービス業は地域においても経済と雇用を図る両輪であるばかりか、製造業誘致の見通しが決して明るくない和歌山市においては、雇用機会創出の観点からもサービス産業の創出が重要となっています。
 具体的には、和歌山市の都市環境を見渡す限り、観光・集客サービスや健康・福祉サービスの創造が有望だと考えています。
 観光・集客サービスとは、旅行、宿泊、飲食、娯楽サービスなどを指し、健康・福祉サービスとは、医療サービス、スポーツ、健康維持増進サービス、エステサービスなどを指しています。

 経済産業省によれば、「新しいサービスの創出と拡大をもって、経済の持続的な成長と地域経済の活性化を実現する」取り組みを目標に掲げています。
 地域活性化戦略として有望なサービス産業を見つけ、ビジネスモデル化することが新しい需要を生み出し新産業として育つことになります。時代流れとして、地域としての価値を生み出すのはサービス産業ですから、この分野への支援体制をお願いしたいところです。
 事実、長野県では福祉、環境、教育の新産業と農業・精密工業・観光の伝統産業を、滋賀県では環境、経済、文化の産業政策が雇用創出でも成果をあげています。厚生労働省では、これらをコミュニティ・ビジネスとして雇用創出の担い手として有望視しています。

 そして和歌山県では、観光・集客サービスや健康・福祉サービスの創造において全国でもトップを走る取り組みがされています。熊野健康村構想がそれで、癒しと健康を活かした交流機会を創出することで都市も地方も元気にする取り組みです。他地域に先駆け既に2年間の活動で、集客と交流、医学的検証も含めて成果を挙げています。

○そこで質問です。
 経済産業省や厚生労働省では、観光・集客サービスや健康・福祉サービスの創造が新しい産業として注目しています。和歌山市の都市環境からすると、これらのサービス産業の創出は極めて有望で、雇用創出と人口対策に資するはずです。
 企業誘致と共に、サービス産業を創出することで雇用も生み出す方策も考えて欲しいものです。5,000人の雇用創出で不足分をカバーするためには、製造業とサービス産業の両方の誘致と支援をすべきだと考えます。
 この観光・集客サービスや健康・福祉サービス産業創出について、和歌山市での取り組みについてお示し下さい。
 以上で第二問を終わります。
 以上

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平成18年9月 和歌山市議会一般質問について


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