平成17年12月7日(水)
@.平成17年12月
 和歌山市議会一般質問
 (1)内容・答弁
(1)教育のパワーアップについて

【質問】
 おはようございます。議長のお許しをいただきましたので一般質問を行います。
 大橋市長が就任以来力を注いでいるのが、将来を支える子ども達の学力を向上させるための教育のパワーアップです。施政方針の中でも述べられていますし、教育のパワーアップ提言委員会を設置し提言をいただいているなど、和歌山市政の中において教育を重点にしていることが伺えます。
 さて中でも特に国語力と同様に話せる英語教育は全国の小学校での取り組みが始まっている中で重要なものです。
 文部科学省では平成12年12月に「小学校英語活動実践の手引」を出し、その中において小学校で国際理解に関する学習の一貫として小学校段階に相応しい体験的な英語教育の必要性を述べています。総合的な学習の時間の中で英語を行うことが可能となっていることを受けて、全国的小学校で英語を取り入れているところが多くなっています。
 近年では平成14年7月に「英語が使える日本人育成のための戦略構想」を文部科学省が策定しています。英語教育については、子ども達が今後活躍するのに大事な力になるのが英語で、小学校においても英語教育を取り入れること、そして中学校、高校を卒業したら英語で会話出来るようになることを教育の目標として掲げています。そして大学入試センター試験では、平成18年度から一部リスニングテストを取り入れることを目標に定めています。

 このように国を挙げて英語教育の重要性が言われている中、和歌山市で教育のパワーアップを実践していることは心強いものがあります。
 ところが、和歌山市が行っている教育のパワーアップの取り組みが良く分からないというのが多くの方の意見です。
 教育のパワーアップの中で郷土に誇りを持てる子どもの育成など、抽象的で精神的なことは述べられていますが、具体的な取り組み内容は良く分かりません。

 まずお伺いいたします。教育のパワーアップを導入する前の三年前と現在を比較して、この施策によって何がどう良くなったのか、成績の向上が見られているのかなど具体的な成果をお示し下さい。

 一方、和歌山県が行っている公立小学校などで行っている英語教育、イングリッシュ・パワーアップ・プログラム事業については、内容と成果が非常に分かり易いいのです。
 和歌山市内では、城北小学校、本町小学校、雄湊小学校がモデル校として指定を受け、年間60時間の話せる英語学習が取り入れられています。この3年間、小学校3年生から6年生まで学年毎に年間60時間の話せる英語教育を実施、つまり毎週2時間の話せる英語教育が実施されていることを示しています。これらの公立小学校で話せる英語教育が取り入れられていることは、保護者からも評判になっています。

 さて他の公立小学校の現状はと言うと、小学校6年生を対象として年間6時間の話せる英語の授業があるだけです。
 和歌山市の予算が厳しいことは理解していますが、県のモデル校とそれ以外の小学校の話せる英語教育で、これだけ大きな差が生じていることは疑問です。話せる英語教育に割く時間が年間60時間と6時間なのでは有意な差となり得るからです。

 モデル校は県予算のため、他の小学校については和歌山市で補完して欲しいのですが、和歌山市が話せる英語教育にかけられる予算は少ないのが現状です。 
 しかも教育現場から聞くと、年間6時間の話せる英語の授業を取り入れているのは、6時間あれば少しでも成果があがるという考え方ではなく、学校に配分されている教育の総予算を外国人講師雇い入れの費用で割ると年間6時間になるからです。それにしてもこの対象は小学校6年生だけで、3年生から5年生までの話せる英語の授業は年間わずか3時間となっています。

 教育のパワーアップが和歌山市の重点項目になっている割に、寂しいのが公立小学校の現実です。学校によっては6年生以外の生徒が英語に慣れるために、独自で学校に配分された少ない予算を捻出し外国人講師に来てもらっているところ、校長先生自ら話せる英語教育を行っているところがあります。

 残念ながら、公立小学校では予算面からこれ以上話せる英語学習時間を増加させるのは難しいため、後の学習は英語に関心を持った生徒と保護者に委ねられることになります。

 しかしここで問題が発生します。地域による格差です。
 地方では公立小学校が主体の教育が行われていますが和歌山市も例外ではありません。教育費が安くても良いのですが、教育の方向性によっては東京の子ども達との学力の格差が拡大する恐れがあります。

 少し古いのですが、平成12年度、総務省の家計調査による教育費のデータを示します。上位に位置しているのが、浦和市24万7,499円、東京23区22万8,167円、横浜市21万5,203円などです。
 それに対して下位に位置しているのは、下から鳥取市9万2,275円、和歌山市10万5,454円となっています。和歌山市の一世帯当たりの教育にかける費用は、全国でも最低レベルにあります。

 別に家庭で教育にかける費用が少なくても悪いとは言いません。しかし都市部では特長ある私学がありますから、公立教育に不満があれば子どもの教育に費用をかけて私学に行かせることが可能です。
 しかし和歌山市ではそうは行きません。都市部ほど教育に費用をかけられない、これでは多様な教育機関が存在する都市部との格差は開くばかりです。それに加えて地方都市でも英語特区、日本語特区など今後子どもに必要とされる科目に力を入れている都市があり、地方都市間でも格差が広がる恐れもあります。ゆとり教育を額面通りに受け取っていると、受験のための学力も考える力も身につかないで終わる可能性もあります。

 今では話せる英語教育の必要性は言うまでもありません。しかし和歌山市の財政が厳しいことから、話せる英語教育にかける時間が不足しているのが現実です。教育のパワーアップが重点施策として採用されて以降も教育にかける予算は増加していません。

そこで質問いたします。
1.大橋市長がいうところの教育のパワーアップの取り組みの中に話せる英語教育に関するものが余り見られないのですが、就任以来、どのような取り組みをされてきたのでしょうか。

2.次年度、小学校の話せる英語教育の取り組みと、そのための予算はどの程度になっていますか。増額していないのであればその理由をお示し下さい。

3.和歌山県のイングリッシュ・パワーアップ・プログラム事業のモデル校での成果を、どのような形で他の小学校に水平展開しているのでしょうか、お答え下さい。


【答弁】
教育文化部長
 教育パワーアップにつきましては,これまで小学校への英語活動の導入,小・中学校における基礎学力向上,ふるさと教育の推進等の施策を実施してまいりました。
 英語活動につきましては,小学校第6学年を中心にALTを派遣し,その充実に努めてまいりました。その結果,外国からの訪問者に対して物怖じせずに話し掛けるなど,積極的な面が見られるようになったとの報告を学校から受けています。
 基礎学力向上につきましては,「子どもサポートプラン」をはじめ「学習タイム」の導入,「土曜教室」の設置等を行ってまいりました。
こうした取り組みにより「学級全体で集中して学習にとりくめるようになった。」「漢字や計算の小テストにより基礎学力の向上につながった。」などの成果が報告されています。
 また,ふるさと教育につきましては,総合的な学習の時間を活用して多くの学校で地域学習が実施されるようになり,ふるさと和歌山市への理解が深まっていると考えています。
 次に,来年度の英語活動関係予算につきましては,大変厳しい財政状況ではありますが,今年度と同程度を確保するよう努めているところです。
 モデル校の成果につきましては,研究報告書を各小・中学校に配布したり,研究発表会や教科等研修会において授業公開や具体的な活動内容を説明し,他校が参考とできるよう普及に努めているところです。
次に,来年度の英語活動関係予算につきましては,大変厳しい財政状況ではありますが,今年度と同程度を確保するよう努めているところです。
最後に,イングリッシュ・パワーアッププログラムにつきましては,モデル校から「英語を聞く力・理解する力がついてきた。」「興味・関心をもって意欲的に取り組んでいる。」などの報告とともに,アンケートに約86%の子どもが「これからも英語活動を続けてほしい。」と答えるなど,成果が十分あがっていると考えています。
 以上

 2.質問(1)再質問内容・答弁へ


平成17年12月 和歌山市議会一般質問について


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