平成16年 6月17日(木)
B.平成16年 6月
 和歌山市議会一般質問内容
 (1)再質問
内容・答弁
(1)都市公園のあり方について再質問

 お答えをいただきましたので、再質問をさせていただきます。
 市長の公園に対する優しい思いが伝わってきました。和みのある公園を築くための提案をして参りたいと思います。

 公園の発想はゲーテだと最近知りました。なぜ詩人のゲーテなのかと思い調べますと、ゲーテは政治家であり科学者であり国王の相談相手でもあったのです。
 まず公園の概念を知るためにはゲーテの発想を知る必要があります。
 彼は、最初に公園とはこういうもだと考えていません。頭で考えるのではなく、自分の経験と人間の行動を観察した上で、目で見た現象から本質を導き出す「現象学」と言える思想スタイルから、当時の人々が出会いの場としての公園を欲していると判断したように思います。
 もうひとつ、定義ではなく感覚を大切にしていたようです。感覚を重視すると決断は速いので状況に対応できます。行政は、前例がないから定義で判断しようとしますが、現実に根ざした感覚が市民サービスを向上させるために必要だと言うことです。
 
 都市公園のあり方について二点提言させていただきます。
 一つ目は、自治会やNPO法人と協調して公園管理を行うことです。
 和歌山市内で最もきれいな公園のひとつに県営片男波公園があります。ここは地元自治会が率先して清掃と花植えなどをしています。トイレ清掃は年末年始を含めて毎日実施、花は自治会予算から拠出し自分達で育てています。そのため雑草はなく、今の季節は花が咲き誇っています。
 
 片男波公園のトイレの設計は、プロポーザル方式で採用されたものです。設計が決定した後も地元との話し合いを行い、トイレの形状や設置場所も含めて地元の要望を取り入れています。
 行政が設置したものの、自分達の公園でのトイレという意識が芽生えたものだと思います。その結果、自分達の公園のトイレだから自分達できれいに保つ行動につながっているのではないかと考えています。
 その結果、先般、国土交通省から大臣表彰を受けています。

 公園管理を委託するのと、自分達の公園だと思い心を込めて管理しているのとでは、気持ちのこもり方が全く違います。私も何度かここを訪れていますが、常にきれいに保たれています。 
 片男波自治会の取り組みは、これからの公園のあり方を示すものです。行政だけが管理するのではなく、地元自治会やNPO法人と協調して取り組みを行うことで、公園をきれいに保つことが可能となります。高野・熊野の世界遺産登録が近づいています。片男波公園をモデルにした公園管理について検討して欲しいと思います。

 もうひとつの都市公園の考え方は、人間と動物との共生を図ることです。全国で飼われている犬の数は1,200万頭とも言われています。所帯数で割ると5〜6所帯が一頭の犬と暮らしている計算になります。社会で現実になっていることは、それを受け止めることが必要です。
 和歌山市ではドッグカフェが増えていますし、県内には西日本一のスケールを誇るドッグ施設があり集客しています。

 一年前の平成15年5月17日、国営公園で初めて昭和記念公園でドッグランが開園となりました。人間とペットの共生を公園のコンセプトに取り入れた画期的なことです。
 昭和記念公園がドッグランを開園した主旨は次のようなものです。
 
 近年、日本では犬や番犬を単なるペットとしてではなく、家族の一員として共に生活する方が増えてきました。昭和記念公園においても、愛犬を家族の一員と考え共に暮らす皆さまのために公園の一部を改修し、より快適に、より安全に楽しんでいただく事を願い、ドッグランを設置することにしました。ドッグランを開園するに当たり、都市部の狭い空間で思う存分走ったり、遊んだり出来ない悩みをお持ちの飼い主さんとその愛犬に楽しく過ごせる場を提供することは勿論ですが、単に犬を遊ばせるだけの施設に留まらず、この施設を利用することにより、人間社会に深く関わり合っていく犬達と飼い主さんたちに社会ルールや共同利用場所での愛犬との暮らし方をより知っていただきたい。
 同時に、この施設で他の飼い主さん達を見て、語り合うことで新しい暮らしの知恵やマナーの守り方なども知っていただくことも重要な公園の要素であると考えている、というものです。

 国営公園でこの先進的な取り組みです。今年5月、開園一周年を記念して、ドッグランフェスタが行われています。これは単なる遊びの場ではなく、愛犬との暮らし方教室や盲導犬や聴導犬、介助犬とのデモンストレーションなど、社会における人間と犬との共生をコンセプトにした、この公園の主旨を徹底した内容のものに仕上げています。
 参考までに、一年間のドッグラン利用者は8万人、年間利用頭数は48,000頭の利用があります。
 国土交通省では、社会生活の場である公園における人間と犬との共生が必要な社会が到来していることを受け、都市公園のあり方についてマニュアルを作成する計画です。本年度予算ですから、来年度には地方自治体に交付されると思いわれます。
 このマニュアルは昭和記念公園をモデルにする予定で、ドッグランの設置についての指針が示されると思います。
 癒しの地、和歌山市です。方針を待ってではなく、人と愛犬との共生が図れる公園のコンセプトをいち早く取り入れ、全国に先駆けて発信すべきだと考えるものです。
 
 またドッグランを取り入れる必要性は、納税者としての犬の飼い主からの発言があります。税金を納めているのにペット同伴で、公的な公園を利用できないのは納得できないというものです。既に訴訟の動きもあり、行政が変な労力を使わないためにも、新しいタイプの都市公園づくりに取り掛かって欲しいものです。
 公園から締め出された愛犬家は、公園を利用したがっています。マナーの悪い一部の人のために全ての愛犬家が締め出されるのは如何なものかと思います。

 そこでお伺いいたします。
 公園の維持と整備については、片男波自治会の取り組みでも分かるように市民との協調が必要です。地元自治会や関係するNPO法人との協調を図り、美化推進すべきだと考えますが、今後の方針をお示しください。
 また、世界遺産登録を控えて公園トイレをきれいに保つための施策をお示し下さい。
 
 二つ目。都市公園あり方として人間と愛犬との共生の理念を現実にしている例があり、国レベルでは都市公園のあり方のマニュアル化を図っています。世界遺産登録は本年度、マニュアル交付が来年度の予定ですが、和歌山市における都市公園のあり方について見解をお示し下さい。



答弁者 : 都市計画部長
 現在、公園の維持管理につきましては、地元自治会、婦人会、老人クラブ等の方々のご協力を得ながら美化推進に努めています。
 また、世界遺産登録を控え今後も地元自治会はもとよりNPO法人とも調整を図りながら可能な限り、公園トイレ等の美化推進に努めてまいりたいと考えています。

 次に都市公園のあり方として人間と愛犬との共生の理念を現実にする、例えば「ドッグラン」の整備につきましては、かなり広い場所の確保が必要であり、現状の都市公園では難しい状況であると考えます。
 しかしながら、社会生活の場である公園における人間と犬との共生が必要な社会が到来していることを受け、この問題につきましては長期的に検討する必要があると認識しています。

 以上

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平成16年 6月 和歌山市議会一般質問について


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