平成15年6月26日(木)
@.平成15年6月
 和歌山市議会一般質問内容
 【 質問内容一覧 】
   (1)行財政問題について     
      ・財政健全化について     
      ・行政改革について     
   (2)教育問題について     
      ・幼児教育のあり方について     
   (3)アクティブシニアのまちづくりについて     
   (4)生涯学習型作業療法プログラム導入について  

 ただいま議長のお許しをいただきましたので、通告に従い一般質問をさせていただきます。諸先輩、同僚の皆様からのご指導、 ご鞭撻いただきますよう、よろしくお願いいたします。 新人で始めての質問のため、お聞き苦しい点も多々あるかと思いますが、 力いっぱい頑張りますので、 最後までよろしくお願いいたし ます。



(1)行財政問題について

 最初は、和歌山市の行財政問題についてです。
 平成15年度一般会計は、約1,254億円となっています。財政部もご認識しているように、今後とも歳入が減少、歳出については、人件費、扶助費、公債費を合わせた義務的経費は増加し、投資的経費は減少するとされています。
 団体の財政構造の弾力性を測る指標として、経常収支比率が使われます。これは、経常一般財源の総額に占める経常的経費の比率を示します。仮に、この比率が100%だとすると、人件費などの義務的経費と、物件維持費などの準義務的経費で、全て税金が使用されていて、政策的経費である投資的予算に回すお金がないということになります。
 和歌山市における数値を見ますと、 平成11年度が89.4%、 平成12年度が90.1%、 平成13年度が 93.5%と、年々この比率が上昇しています。平成13年度、中核市全体の平均値が80.2%であることからすると、和歌山市の数値は、大きく上回っている状況であるといえます。
 しかも、総務省の発表によりますと、この数値が90%以上なのが、全国3,223市町村中447市町村、全体の13.9%となっており、このランクに和歌山市は入っています。
 
 一般的に都市にあっては75%、町村では70%程度が妥当で、そこから5%を超えるとその地方公共団体は弾力性を失いつつあると言われています。つまり、和歌山市の場合80%以上になると財政硬直化と言うことになります。
 つまり、市長が和歌山市の将来ビジョンを掲げ、実行に移そうとしても、新しい政策を実行できない状況にあります。和歌山市の将来を、多くの市民から託された大橋市長の政策が実行できない状況は、何としても避けなくてはなりません。
 
 大橋市長の政策を実行に移そうとするならば、義務的経費と準義務的経費を削減する必要がありますが、このことは、私たちにとって、非常に痛みを伴うことを意味します。しかし市長は、 将来の和歌山市のため、今、行政改革、財政健全化に全力を注いでいることについて敬意を表したいと思います。
 
 そこで質問です。
 何か目標を達成しようとすれば目指とすべき数値を定めなければなりません。 目標には数値を入れろ、です。市の財政健全化計画で、 経常収支比率が硬直化していることを認めつつも、 具体的な目標値は 明記されていません。  
 平成13年度で93.5%という硬直化を示す数値ですが、 当局が望ましいとされているのはどの水準で しょうか、具体的にお示しください。 だれが、何を、どのように、いつまでにするのかを明記しない目標は ありません。単なる努力目標で何かを達成することは至難の業です。財政健全化計画には、是非目標値を設定して欲しいと思います。
 
 つぎに、財政健全化のために、どの施策を削ろうとしているかについてです。例えば、ありえないことですが、削りやすいところから削ることになっていないか、チェックが必要です。行政施策の削減案件は、議会の議決事項ではないため、市が議会に報告するか否かは全く任意です。だからこそ、施策を削る対象が、結果として、弱者になるのか、市民生活に重大な影響を及ぼすものになるのかは分かりません。しかし、行政改革が時代の要請だからといって、どこの予算を削っても良いとはならない筈だと思います。近年、市場経済化が進み、社会的に弱者も生まれていています。行政が自由競争という名のもとに、これらの人々を放置することは、妥当な選択と言えるのでしょうか。むしろ、個人に積極的に手を差し延べて、生活保障をするという考え方が福祉行政の理念であると、私は思っています。
 
 和歌山市行政改革実施計画によると、地方分権の到来はその行政責任が問われること、地方が競争の時代に入り、和歌山市に住んでよかったと実感できる都市に発展するため、将来の和歌山市の発展に結びつく施策を選択し、推進すること、が根本思想であると思われます。それでは、このような将来の和歌山市を築くための事業評価についての具体的基準、 例えば、和歌山市の街としての売りを、教育にするのか、福祉にするのかなど、について何のために行政改革をするのか、市長の市政に対する将来ビジョンお聞かせ下さい。



(2)教育問題について


 続いて、幼児教育のあり方についてです。
平成15年1月に開催された教育委員会で、大新幼稚園と西山東幼稚園の2園と1分園が廃園することが議決されています。
 廃園決定の主な理由は、組織のスリム化が図れ財政負担が軽減されること、跡地の有効活用が期待できることとあります。
 
 さて、教育問題を考えるにあたっては、大橋市長が永くつきあってきている憲法の理念に基づき教育を受ける権利を、まず解釈したいと思います。
 人は生まれた後の環境や教育によって、その人格を形成し、社会的存在としての自分の位置を学んでいきます。そして、私たちは社会で生活していくための一定の知識、教養も教育を受けることにより、身につけていきます。個人の尊重や国民主権といった基本的価値を実現するためにも、教育の意義は計り知れないほど大きいものがあります。
 
 教育を受ける権利は、 その前提として、 憲法13条の幸福追求権、 同25条の生存権に当然含まれており、 全ての国民は教育を受ける権利の主体となり得ます。 しかし直接的な根拠条文は言うまでもなく 憲法第26条です。
 
 第一項を読みます。
「すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。」とあります。これだけではよくわかりません。
 
 そこで、これを法的に解釈してみます。
 教育を受ける権利は、3つの内容を持つ複合的性格の「人権」であります。明日の主権者を育成するという参政権的意義。教育基盤の整備を意味する社会権的意義。そして、国民各自が学習する固有の権利である学習権です。この中で最も重要なのが、学習権であります。そして教育を受ける権利とは、今日では、子どもの学習権という観念が中心となっています。では、子どもの学習権とは、いかなるものか。これは、一般に子どもが教育を受けて学習し、人間的に発達、成長し、自己の人格を完成、実現するために必要な学習をする固有の権利を有すると捉えられます。 
 
 学習権に関する重要判例を引用しますと、「特にみずから学習することのできない子どもは、その学習要求を充足するための教育を自己に施すことを大人一般に対して要求する権利を有するとの観念が存在している。」としています。このように、最高裁では、子どもの学習権を認めています。
 ちなみに、第二項では、子どもの教育を受ける権利に対応して、子どもに教育を受けさせる責務を負うのは親権者であり、教育を受ける社会的側面として、行政は教育制度を維持し、教育条件を整備する義務を負っています。これが教育を受ける権利の複合的性格であります。
 
 つまり26条が言う権利の最も重要な部分は、子どもの学習権に他ならないのです。そしてこの権利は、私たちにとって最も大切なものであり、権力者、この場合教育を施す主体を指しますが、権力者が犯してはならない「人権」なのであります。
 
 一方、憲法は地方自治についても定めています。地方自治の本旨は、憲法第92条にあります。地方自治の本旨は住民自治と団体自治でありますが、今回、取り上げるのは、この内の団体自治についてです。団体自治とは、地方自治が国から独立した団体に委ねられ、団体自らの意思と責任のもとでなされる自由主義的、地方分権的要素を持っています。団体自治の内容は具体化されています。財産の管理、事務の処理、行政を執行、条例を制定することです。
 ここで、地方公共団体は財産の管理を司っていますから、税金を健全に活用していく必要があります。和歌山市の財政状況は非常に厳しいですから、行政改革の必要性は言うまでもありません。市長が掲げる行政改革は、是非、推進すべきであり、これが出来なければ、将来的に市民サービスが低下、或いは市民サービス提供が不可能なものまで出てくることも考えられます。
 
 さて、ここで問題となるのは、教育を受ける権利と地方自治の意義がどちらも憲法上、保証されている権利であるということです。言うまでもなく、憲法は最高法規です。その最高法規にどちらもあるということは、その重みは同列ではないのか、という疑問です。
 比較する対象が複数ある場合、どちらの手段を取るのか考えるには、対象となる事柄を比較衡量すべきだと考えます。
 憲法は、個人の尊重という価値観を最重要としています。これが「目的」です。それを具体化するための人権規定、その人権規定をまっとうするための「手段」としての統治機構の規定を定めています。つまり、憲法の条文は全て同じ価値を持っているのではなく、そこには「価値の序列がある。」ということです。
 総括します。私たち一人ひとりの人権というかけがえのない価値を守るために、統治機構があるのです。人権と統治機構は目的と手段の関係にあります。目的が大切か、手段が大切か、物事を考えるとき、その根本を見る必要があります。
 
 そこで、市長と教育長にお尋ねいたします。子どもの教育を受ける権利、これは人権ですよね、と、和歌山市の行政改革、これは人権を守るための手段にすぎないですよね、どちらの価値を大切にすべきだとお考えになりますか。
 指導者が、どういう価値観を持つかということから、 この幼稚園の廃園問題は考える必要があると思います。ただ単に行政改革の一環として、 充足率が低い、 建物が老朽化しているから廃園という結論は、子どもの学習権を考えていないように思えます。 直接行政に対して声をあげられない子ども達の人権を、 是非、考えて欲しいと思います。
 
 和歌山市で暮らし、子ども達をいつものように送り迎えしてきた生活が、突然脅かされる。今年2月14日のことです。しかし、検討は平成9年から行われてきています。
 物事を正しく見るためには、現場の感覚を大切にする必要があるということです。現場に赴き、保護者の方と話し合いをする、その中からお互いの考え方が分かり、問題点が発見できるのです。机上で検討しただけの結論は、合理的かもしれませんが、人の心を無視したものです。行政機関の中で最も市民に近い市役所が、机上だけで戦術を検討してはならないと思います。政策決定をするに当たり、意思決定のプロセスの中で、必ず市民の意見を聴き、そこに反映させていく必要があると考えます。2つの幼稚園の廃園を決定するにあたり、教育委員会と各園の保護者との話し合いの回数は少なく、平行線のままとなっています。現状をどう受け止めておられるのかお答え下さい。
 
 公立幼稚園のあり方について、保護者と教育委員会で、公立幼稚園の将来像を議論する機会、例えば委員会のようなものができないものでしょうか。例えば、幼保一元化についての問題、小学校と幼稚園の一体運用の是非の検討、公立幼稚園の園児募集広報についてなどがテーマになり得ると思います。
 保護者に廃園について知らされたのが、今年2月であるとすれば、あまりにも対応する時間がない状況の下、平成17年度に向けての行政改革を目標にするのではなく、単に、充足率、園児数で評価するのではなく、再度、保護者の方を交えて将来像について検討するための期間を、いましばらく設けることも必要ではないでしょうか。
 
 中心部で、 今まで聞こえてきた子ども達の可愛いく賑やかな声が、 ある日突然聞こえなくなる。 そして誰もいなくなった園舎。 保護者の心に残される行政に対する失望感。町の活気はまたひとつ消えてしまいます。そのような光景を望んでいる人が教育関係者に少数派であることを願っています。
 
 そして費用の問題です。廃園に伴い1園当たり約3,500万円の削減となり、2園で年間約7,000万円の経費を削減できます。その内、人件費が約5,900万円となっており、人件費の占める割合が85%に及びます。前提として、正教員の比率は3分の2程度ですから、幼稚園運営する経費の内、人件費の割合が大きく、廃園による削減効果は少ないように思えますが、この点の費用効果についての考え方をお聞かせ下さい。
 
 加えて、現在、行政改革実施計画で、平成17年度までの行政改革に取り組んでいると思います。過去、平成9年度から平成11年度まで行政改革を実施した結果、348項目で、66億円という素晴らしい財政効果が出ています。
 
 行政改革の成果をあげたノウハウを蓄積している当局です。 その手法を発揮することにより、 平成14年度から平成17年度までに行政改革の対象となっている事業数、 その削減予想総額金額はどれくらいと
予想しているのでしょうか。その内、幼稚園廃園による削減金額は全体の何パーセント程度と予測していますか。お聞かせください。



(3)アクティブシニアのまちづくりについて

 続いて、和歌山市アクティブシニアのまちづくり推進プランについてお聞きいたします。

 和歌山市に居住する65歳以上の高齢者の比率は、今年4月に20%を超えました。 実に5人に1人が高齢者という超高齢者社会となります。本年4月1日から施行されている、「第2期和歌山市高齢者保健福祉計画、介護保険事業計画」で、市長は、「超高齢化社会を迎えた状況の中で、和歌山市がこれからも活力を維持していくためには、年齢に関係なく高齢者が積極的に社会参画していくことが大切です。そのためにも、暮らしやすい街づくり、経験を生かし、生きがいを持って過ごせる場の機会の創出、寝たきりにならないための施策が重要となっております。」と述べています。
 
 そのために、 「和歌山市アクティブシニアのまちづくり推進プラン」に基づく、施策の実施が望まれます。 この推進プランは、平成14年1月に出された、和歌山市内部の研究レポートにあるアクティブシニア・プロジェクトに基礎をおくものです。これは、高齢化社会を見越した、高齢者の生きがいの創造、高齢化社会を迎えるに当たっての和歌山市のあり方について報告されています。この研究レポートは市役所の若手職員18人が問題意識を持ち、市内各地での聞き取り調査、議論したもので、まさに現場とのズレが少ない貴重なレポートだと思います。その調査結果に基づいて、具体的な提言もなされています。
 
 一例として、
・高齢者は活発な消費性向を持っており、質の高い生活を送りたいと考えていること。
・ 会社からのリタイアは、社会からのリタイアではないと考えている人が多く、社会で活躍する場を行政が  支援、提供すること。
・ 知識や経験が豊かな高齢者と、若い世代との交流の場を提供すること。
など、高齢者を抱える和歌山市の街づくりのあり方について、興味深い提言があります。
 
 私は、特に社会的に損失であると思っていることがあります。昨今の厳しい経済状況の下、企業を早期にリタイアされた方々がいらっしゃいます。 最近は50歳前後の方々でも、早期に退職されている方もいるようですが。これらの方は、高度成長期からバブル期、デフレの時代を生きてきたように、社会経験はとても豊富で、体力も気力もまだまだ充実している年代の人たちです。
 わが国の社会構造は、一旦リタイアすると、再び社会の中で、活動する発言するといった機会が極端に減少する傾向にあります。折角、身につけた知識、経験が社会で活かされないばかりか、その貴重なノウハウを次の世代に継承する機会も逸しています。
 
 しかし、高齢者の方々は社会参画する機会を欲しています。働きたい理由として、「健康を維持したい。」「知識や技能を活かしたい。」「社会に出たい。」というものがあり、必ずしも経済的理由に限ってのものではありません。カナダの事例です。「カナダではボランティア活動が盛んです。退職した人たちや人生経験を積んできた人たちも、学校、博物館、美術館、病院などいろいろな分野で、今までのキャリアを生かした仕事を担うなど、幅広い年齢層の人々によって支えられています。」という手紙を、ある方から見せていただきました。
 人間は社会と無縁では生きていけません。社会的責任を担えてこそ、生きがいも感じられます。高齢化社会を迎えた和歌山市から、社会と高齢者の新しい関わり方を具体化し、発信していくことが必要ではないでしょうか。
 
 そこで質問です。この「推進プラン」によっても、若者指導の場や機会の提供、活動の場の提供があげられています。具体的にどのようなプランをお持ちでしょうか。
 是非とも、各分野で様々な経験を持っている方々、元気な高齢者の方も含めて、インテリジョンスな会話ができ、交流できる場の確保と、経験、知識を次世代に継承するために、交流できるしくみを和歌山市が率先して、つくっていただきたいと思います。
 
 また、平成15年度予算として、アクティブシニア推進プラン策定事業として、471,000円が計上されています。
 これに関して、誰がどのような方法で、施策を具体化する方針なのか、お示しいただきたいと思います。要望と致しまして、市長が昨年9月臨時市議会の所信で、まちづくりなどのテーマについて、必要があれば庁内でプロジェクトチームを設ける、と述べられていますように、当初プランを策定した若手プロジェクトチームを核として計画策定して欲しいと思います。若手職員の能力アップ、活力醸成のため、部門を越えたプロジェクトチームによる検討は意義があると考えています。



(4)生涯学習型作業療法プログラム導入について

 最後に、和歌山市が全国に先駆けて、高齢者施設、障害者施設、病院などへの生涯学習型・作業療法プログラム導入について提言いたします。
 
「和歌山市アクティブシニアまちづくり推進プラン」では、高齢者が魅力的と考える町の姿として、健康管理サービスがある町がトップとなっています。
 そして、老人施設や病院をはじめとする施設は、今後、急速に進む超高齢化社会の到来などで入所者の生きがい作りや生活の質(QOL)改善という大きな課題を抱えています。
 また今日、技術革新と先端医療技術の発展は目覚しく、国民のヘルスケアに対する関心が高まっています。そうした中でヘルスケアの現場では、技術の面だけではなく、利用者の精神的な面でのサポートの必要性が説かれ、施設での生活の質の向上が重視されています。
 現実に各施設は医療の提供だけでなく、様々なサービスの提供もはじめており、サービス産業のノウハウ導入が本格的に行われはじめています。
 このような社会的な背景の中で、作業療法に対するニーズは高くなることは予想され、各施設に作業療法を導入することは、社会的に非常に意義があると思います。
 さて、作業療法導入の効果について考えてみます。
高齢者施設、病院の患者さんのQOL(生活の質)は2種類があり、1つは身体的なもので、日常生活に関わるもの。もう一つは精神的なもので、生きがいを感じられるか、あるいは人間として尊厳のある生き方ができるかということがあげられます。
 ここで日常生活に関わるものは、施設の充実により改善を図ることは可能で本市においても既に取り組みがなされています。
 
 問題は生きがいを持った生活が送れるか、自己を高めたいとする人間としての本質的欲求を満たすことが出来るかというメンタル面での取り組みが、全国どこの施設でも遅れていることです。実際、各施設における作業療法の現場では、対象者のメンタル面を考えた作業療法は少ないのが現実です。単純な作業が中心の作業療法が用いられています。
 作業療法は、対象者が楽しみながら症状を改善出来る、 生涯学習型のものです。 高齢者や障害者の方々、病院の長期入院されている患者の方々を対象として、ガーデニング、織物、音楽等、趣味性が高く、生涯に亘って学習できるアート系作業療法プログラムを、全国に先駆けて、和歌山市の高齢者施設、病院などで、取り入れてはどうだろうかというものです。
 
 また、作業療法により、対象者は治療法等の拠り所となる科学的な根拠が明示されるため、自分の病気を十分に理解し、治療法などを選択することが可能となります。作業療法を通して、楽しみながら生きがいをみいだし、また、症状の改善や健康増進、高齢者の痴呆の抑制などに資することができます。
 
 作業療法による地域活性化の効果を示します。
 各種作業療法ソフト従事者の確保により雇用の創出が期待できます。
 作業療法の取り組みは、全国どこでも十分活動するフィールドあり、また老若男女を問わず指導者になり得る可能性のある療法ソフトを中心に取り扱っていくものです。
 つまり、各作業療法ソフトの指導者養成プログラムを提供する、または、提供する支援を行うことにより指導者を養成し、作業療法プログラムを実行していく際の作業療法士として、また、作業療法士のアシスタントとして活躍する人材の育成を行うことができます。和歌山市がイニシアティブをとることで、地域における雇用創出に寄与し、地域活性化に貢献することにつながります。
 
 次に、地域コミュニティづくりに資することです。
 作業療法の対象は、高齢者や障害者だけではなく、健常者も含まれます。参加して楽しい作業療法ソフトを通して、公民館や学校、病院に当該ソフトを導入し、その活動を通して地域コミュニティづくりに貢献することにもつながります。特に、高齢者と若い世代、障害者と健常者のコミュニティづくりの起爆剤にもなり得ると思っています。
 
 そして、障害者や高齢者の金銭的な自立の可能性があげられます。
 作業療法プログラムは芸術的要素が大きく、この特性を最大限に活かし、個々人が制作した作品を芸術品として販売することを支援し、または、手織り等を有名メーカーや有名デザイナーの素材として活用することを支援できれば、収入を見込める可能性も出てきます。
 
 最後に、現在、わが国における、高齢化問題や予防医療への関心の高まり、雇用創出と社会的な情勢を鑑みても、作業療法プログラムを緊急な課題として取り組むべきものであると考えます。
 これは一民間企業が単独でどうこう出来る問題ではありません。作業療法を取り入れるためには、行政の後押しが必要です。
 地方自治体における高齢化社会への対策に、 作業療法を活用することは意義があるものと考えてい ます。
 国や各地方自治体が、本格的に取り組む前に、和歌山市が全国に先駆けて、生涯学習型作業療法に取り組み、成果を挙げ、データを集積することで、全国に和歌山市から、予防的見地の療法を発信することが出来ます。地方自治体間の競争が始まります。特色のない自治体は生き残れないことも考えられます。和歌山市が、特徴があり、存在感のある町として歩むための、ひとつの選択肢として、作業療法プログラムへ取り組むことを強く提言いたします。
 以上

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平成15年6月 和歌山市議会一般質問について


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