平成20年 6月25日(水) 紀伊民報より抜粋

「27億円の債権放棄了承 中小企業への貸付金未収」

 県議会2月定例会で付託された中小企業に融資した約27億円の債権を放棄する議案について、経済警察委員会(藤山将材委員長、8人)は24日、全員一致で可決した。27日の本会議で委員長が報告し、今後の貸し付けに厳正な審査などを求める付帯決議案を提出する。
 継続審議中の議案は、中小企業向けの高度化資金26億4200万円と、設備近代化資金4400万円の債権放棄。2月定例会では「県民への説明が不十分」との意見が相次いだ。
 県は「高度化資金」の5案件について、貸し付け手続きや審査内容などを再調査。「制度上、所定の手続きが行われ、不適切な審査はなかった」と報告した。
 委員会では片桐章浩議員(真わかやま、和歌山市)が債権放棄が2月に提案された理由や、債権を抱え続けるデメリットを質問した。
 県は「2004年7月の法改正で、県議会で債権放棄の議決を受けると、中小企業基盤整備機構からの3分の2の貸付金が免除されることになった」と背景を説明し、このままの状態では「すでに最大限の回収措置を講じているので、未収金として計上され続ける」「機構との債権債務関係が継続していく」と債権放棄に理解を求めた。
 委員会は議案への理解は示したものの、放棄総額の大半を占める豆腐製造協業組合への貸し付けで、必要な「審査会」が開催されておらず、議事録も残っていない点を追及。県は「審査会はしていないが、審査会のメンバーで協議していて、適切だった」の答弁に終始した。
 尾崎要二議員(自民、海南・海草)は「いったんはけりをつけるが、後はほっておいてよい問題でない」と付帯決議提出を求めた。
 付帯決議案は今後の貸し付けの厳正な審査、最大限の債権回収措置を講じること、債権放棄の際の県民への十分な説明などを求めている。

掲載記事 一覧へ戻る