平成16年12月14日(火)産経新聞

南海電鉄貴志川線の廃線問題

 南海電鉄貴志川線の廃線問題で、和歌山市は13日の市議会総務委員会で、南海から同線を引き継ぐ事業主体について、「年明けから公募を始め、民間会社の参入を求めたい」(企画部)とした上で、「すべて民間に負担してもらうのは難しい。上下分離方式で下の土地などは公共(自治体)が持ち、上の運営を民間でやってもらいたい」として上下分離方式を目標に進めていく考えを表明した。
 上下分離方式は、線路や車両などを所有する主体と、鉄道の運行をする主体を別々に分けて鉄道の存続を図るもの。貴志川線の場合、自治体が線路などを所有し、運行を民間に委託する方法を想定しているとみられる。
 市は「これまでに民間2社の問い合わせがあったが、実際に手を挙げてくれるかどうかは分からない」と説明。仮に民間の公募がない場合は、第三セクター方式による運営も検討する考えも示唆した。
 また、同委員会で市は、同線の人員などを削減するなどリストラを進めた後の収支見通しも示したが、上下分離方式で進めた場合でも、新会社で年間1億円弱の赤字になると予測している。
 赤字補填や土地・線路など資産の買い上げといった財政負担については「(県、市、貴志川町の地元三者でまだ合意に至っていない」としており、各自治体の負担割合をどうするかが今後の焦点になりそうだ。

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