コラム
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2024/3/13
1901    龍縁

令和5年秋にご縁をいただいた宇都宮師と懇談したことです。師は毎朝起きた時に天に向かって感謝の気持ちを届けているそうです。

「この年齢になると一日一日が勝負です。今日を生かせてもらってありがとうございます。今日の良い一日を与えてくれてありがとうございます。今にありがとうございます」と伝えているのです。一日の始まりに、今日、一日に感謝の気持ちを届けているのです。

これは生かせてもらっていることへの感謝と、今日という一日を良いご縁と良い仕事に取り組むことの覚悟を示したものだと思います。

師が目指していることは次の世代に引き継げるものを残すための基礎作りです。大きな志を持った事業であれば、自分だけで着手したことを仕上げることはできません。自分が基礎固めをして次の世代に引き継ぐことがやるべきことです。

師は「一代でできることはたいしたことではなく、数世代に亘って土台を創る必要があります。そのために自分が経験したことを伝えたいと思いますが、本当は技術の継承は難しいのです。私が身に着けている全ての技術を伝えきることは出来ないと思います。だから出来る限りのことは着手しておきたいのです。その土台に志と技術を基にして、上へ上へと必要なものを積み重ねて欲しいのです」。

会話の中でこんな話を聞かせてくれたのです。更に話は続きます。

「私の最終の仕事はどこでやるべきか考えていました。私のことを知っているいくつかの県から仕事の依頼が来ましたが『やるべき仕事は、この場所ではないな』と思ったので断っています。ある時、友人と話をしていて『和歌山県ではないだろうか』と思ったのです。

その友人に『和歌山県に知り合いはいますか』と尋ねたところ『いますよ』と答えてくれたのです。そうしたご縁をいただき東京から来させてもらったのです。『いますよ』との答えの人物が片桐さんだったのです。だから東京から車で7時間かけて和歌山県に来ました。その目的は片桐さんに会うことでした。だから今日、時間が許す限り片桐さんと話をしたかったのです。話が終われば車で今日中に東京に帰ります。帰り道も和歌山市から東京までなら7時間で戻れると思います」と話してくれたのです。

これからの時代に私達に必要となるものは医食農です。医とは健康であり病気にならない生活をすることです。そこに安心して食べられる食材と農業を振興させて心穏やかな暮らしをすることです。この三本を揃えることで健康的な暮らしが成り立つのです。そのために必要なことはその地域に適した食材を作ることです。農業が大事なのは食料危機に備えてではなく、健康的な暮らしをするためです。安全で安心できる食材があれば全国が欲しがりますし、日本産の野菜や果物は世界が欲しがります。和歌山県には安全で安心できる食材を育てられる環境があると感じています。

神農様をご存知ですか。食べることが困難だった時代、生きるために食材を探した人です。

草木を食べて飢えをしのぐために良い植物を見つけたのです。それが「麦、稲、粟、豆、そしてモロコシ」だったのです。これが「五穀」です。この「五穀」を植えて栽培、収穫することを人々に教えたのです。人間が飢えから逃れたこの方法が農業だったのです。また草木を食べながら薬効のあるものを選び、服用することで病気から回復させる作用があることを見つけました。それが医薬の始まりでした。

その中に緑の葉があり、それを摘んで飲んだところ、お腹が洗われたようにすっきりと爽快になったそうです。若葉はやがて煎じられて飲むようになりました。これがお茶の発見だったのです。

医薬と農業は深い関連性があり、農業は飢えをしのぐことと健康を維持するためのものであり、その中で薬効のある草木は医薬として使われるようになったのです。

今も昔も医薬と農業は生きるために欠かせないものなので、現代においても医と農はとても大事なのです。

そんな大事な医と農を実現できる場所が和歌山県だと感じました。だから和歌山県に行こう。片桐さんに会おうと思ったのです。私は「医食農同源」だと思っています。和歌山県こそ「医食農同源」の取り組みができる場所だと思います」と話してくれました。

「医食農同源」を実現できれば、健康観光にもつながり、世界中からお客さんを呼び込むこともできます。健康を維持するための安全で安心できる食材は人々が求めるものです。食と健康の取り組みを実践している和歌山県になれば世界から注目されビジネスや観光にもつながるものです。

自然と温泉だけでは継続性のある「観光ツーリズム」にならないと話がありました。地産の安全で安心できる食事ができ、その栽培している現場と健康産業として機能しているしくみを見せることが第一次産業を観光産業とつなげることになります。

観光には「学び」「体験」そして「遊び」の三要素が必要です。農と国の繁栄のために健康産業に注目したいと考えています。龍の波動がつないでくれた良縁を龍縁と呼ぶそうです。宇都宮師が「龍縁を結べましたね」と話してくれたことに感謝しています。