753.支持者
全国的に人気のある国会議員N議員が和歌山県にやってきました。各地で演説をした後、夜9時20分発の関西空港から羽田便に乗ることになりました。友人がN議員を車で関西空港までお送りしたのです。その時の話を聞きました。

 N議員は一人で和歌山県に入っていました。秘書は同行していなかったため、搭乗手続きは自分で行ったそうです。顔を見てN議員だと気付いた空港関係者が、部屋を用意して出発までの時間休憩できるように手配したのですが、N議員はそれを断って通常の待合室に向かったそうです。また関西空港までの車中でも気さくに話をしてくれたので、全く気を使うことはなかったそうです。

 友人は「国会議員とは思えなかった」と感想を話してくれました。友人が言ったように国会議員の現在のイメージは、近寄り難い、偉そう、秘書任せなど良いイメージは少ないようです。確かに出張時に空港の搭乗手続きを自分でしている議員は少ないと思いますし、秘書を伴わないで出張する国会議員も少ないと思います。

 友人は議員とは思えない姿勢に驚いて、忽ちファンになったようです。話を聞いた私も、それだけで好印象を持ちました。

 N議員は東京の選挙区から選出されています。その選挙区の有権者は転勤族が多くて、1年で10%の有権者が転勤して選挙区外に行ってしまいます。折角、支持者との関係を築けたのに次の選挙の時はいなくなっていることが多々あります。4年で40%の有権者が入れ替わるのですから、支持者を維持することは大変なことなのです。有権者が入れ替わっていることから、常に緊張感を持って支持者と接しているそうです。

 ですからN議員を支えている支持者の要望は、生活道路を舗装して欲しいとやガードレールを設置して欲しいとなどはありません。国政で仕事をして私達の生活を豊かにして欲しい。そしてこの国を安全に発展させて欲しいといった、大きな課題を与えてくれるようです。

 つまり小さなことを依頼して活動の時間を制約するのではなくて、託した限りは自由に活動して国の行く末を見通しくれることを支持しているのです。

 このように支持者が候補者や議員の資質を決定しているといいます。小さな要求ばかりを依頼するようでは、政治家は育ちませんし大きくなりません。政治家が小さくなってしまうと、その地域も小さくまとまってしまいます。支持者が議員の資質を磨いていますから、支持者が地域や国の将来を決めてしまうのです。

 選挙も大切ですが、それ以上に当選してからの活動が重要ですから、支持者として候補者を活動の舞台に送り出した後は、その活動を見守って欲しいのです。活動できる環境を作ってくれることが嬉しいことなのです。

 発展している地域では、支持者が政治家に活動させる環境を持っている筈です。支持者の資質以上に政治家は大きくならないのです。

 「良い政治家の周囲には良い支持者がいるものです」とN議員が話していたそうです。

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