618.資金繰り
 和歌山市内の事例です。今までなら地元製造工場でもある程度の部材の在庫を持っていましたが、今では全く持たなくなっているそうです。発注に備えて少しくらいは在庫を持っておきたいようですが、それを抱えておく余裕は全くなくなっています。
 それどころか地場の工場では発注の仕方に変化が見られます。大手から発注があった場合には納期を守って製品を納める必要がありますから、それに応じて製造工場から部品製造会社に部材の発注が来ます。部材は即時納品で支払は翌々月回しにして欲しいとの依頼も出てきています。つまり、この部品製造会社では毎月20日が伝票の締切となっています。

 具体的には、製品の納品は19日付で依頼があり、発注伝票を21日付けにして欲しいとの依頼なのです。これは、製品を早く欲しいのですが、支払いは無理なので支払を遅らせて欲しいとのこと依頼なのです。20日前の伝票だと、原則支払いは翌月となりますが、21日付けの伝票だと支払が翌々月になるのです。
 それほど資金繰りに窮しているのです。ただ今度は部材会社の資金繰りが厳しくなるので、結局、小さいところにしわ寄せが来ているのです。そして次の危険は連鎖倒産です。支払を受ける前に取引先が倒れてしまうと、大手取引先と比較して債権額が小さいため全額を回収することは不可能です。
 和歌山市内にある会社の一部では、このような綱渡りの資金繰りを行っているのが現状です。

 そしてたった一度、支払いを遅延させると、その会社と経営者への信頼はなくなりますから、次からの取引はなくなります。例え一日遅れで支払いをしたとしても同じことだそうです。貸す側から見た信頼の尺度は、決められた日に支払うか支払わないかのどちらかなのです。
 勿論、事前に支払いが一日遅れると連絡があるだとか、遅延するものの今後の支払い計画の説明に来る経営者は、まだ「まし」な方で、一線を画してくれるそうですが。支払はないし連絡もない、貸付者が電話をしても電話出ないなど逃げの姿勢の経営者への信頼は、その瞬間に消滅するようです。

 このような人に迷惑を掛ける行為は、最もしては為らないことなのです。長年築いてきた信頼関係であっても崩れるのは一回ですから、事業を継続させるための資金繰りと支払いは、経営者にとって最も大切な役割だと教えてくれました。
 借金も実力のうちと言われることがあります。これは銀行からお金を借り受けられる信頼がその人にあることを言っているのだと思います。銀行は信頼力のある人にはお金を貸し出しますが、信頼のない人には貸し付けることはありません。銀行からどれだけお金を借りられるのか、その人の実力と信頼を試す尺度になります。

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