551.約束
 約束は日時を決めておくことが大切です。そのことを実感する出来事がありました。
 三週間前、Fさんの事務所を訪問した際に相談事があったので、Fさんの事務所に改めて来ることを約束しました。その時の会話は次のようなものでした。

 Fさん「来年のことなのですが一度相談したいことがありますが、今日は仕事で時間がないので次に時間がある時に打ち合わせしたいと思います。来て下さいね」
 片桐「それでは来週辺りまた来ます。資料などがまとまったら連絡下さいね」
 という様な会話だったと思います。

 ここにお互いの思い違いが生じたのです。
 Fさんは、「来週に来てくれると思って待っていたのに全然来てくれないので、こんな私の相談事は、たいしたことがないと思っているに違いない」と思っていました。
 それに対して私は「資料をまとめるのに時間が掛かるので、その週には間に合わなくて連絡がない状態」。そして「相談案件は来年のことなので、それ程急いでいない」と思っていたのです。

 ここにズレが生じていました。内心のズレは、どちらも次の行動を起こすのは相手方だと思っていたこと。来年の案件なので急がないと思っていた私と、それでも先に相談して安心しておきたかったというFさん。

 そして今回の最大の教訓は、次の約束の日時を決めていなかったことです。良くある事例ですが、「では来週にでも」といって、その場を別れることや、「また食事でもしましょう」といってそのままになってその約束?が実現しないことがあります。
 つまり日時を決めないと次の約束の履行に関して、どちらがボールを持っているのか曖昧になるのです。ボールを持っている人が次に会う日時や場所の連絡を行うのですが、どちらがボールを持っているのか分からない場合は、そのままになってしまいます。

 日時を決めていない約束を約束といえるかどうか分かりませんが、今回の事件をきっかけに、何か解決しなければならない案件があり、更に会って話し合う必要がある時は、「また来週にでも」などの曖昧な別れ方をしないで、手帳を見ながら「次に会うのは○月△日の午前10時から。場所はここの事務所で良いですね」と日時と場所を決めておくことにしました。

 それにしても人間関係を維持することは易しいことではありません。信頼関係があるからこそ、今回のように「そのうち」でも良いと思うことがありますが、「そのうち」が履行されないと、お互いに言い出せないまま時間が経過してしまいます。今回の場合は三週間が経過しただ段階でFさんから「次に話し合えるのは何時ですが」切り出してくれましたから意思疎通が図れたのですが、そのままになっていたら危ないところでした。

 約束とは時間と場所を決めておくことなのです。それが決まると手帳に書き込みますから、自分の中で効力を発揮することになります。それが履行できる約束にする秘訣です。
 約束する場合は、その場で時間と場所を決めること。Fさんとの新たな約束になりました。

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