549.ドラマ
 全国規模で活動しているMさんと懇談の機会を得ました。懇談の時間は約7時間で、大変お忙しい中でしたが十分な時間をいただき懇親を深めることができました。元々東京で仕事をしていたのですが、地元和歌山市に帰ってきてくれました。人生の仕上げを和歌山県で行いたいし、経験を次の世代に伝えたいと考えて戻ってきてくれました。

 人生に登場してくれる人はみんな自分に影響を与えてくれます。友情出演もあれば、友人の役や悪役での登場もあります。それでも全てに意味があるのです。友情出演の場合、ギャラは要りませんから、長く関わってくれることになります。出来れば自分の人生の中に悪役は出てきて欲しくありませんが、悪役の登場にも人生において意味があります。

 悪役にはお金がかかっているかも知れませんが、悪役のいないドラマは成り立ちませんし、悪役は主役に次いで重要な役柄でありギャラも高いのが普通です。ですから悪役の登場は自分を成長させてくれるもので歓迎すべきものだと思いたいものです。人生で関わっている人は全員、自分が主役のドラマにおける登場人物ですし、長く関わる人には出演料としてお金が必要となるのは当然のことです。人とお金は人生で欠かせないことが分かります。

 生きている毎日がドラマだとすると、毎日のように悪役も脇役も登場してくれますし、一年単位で見ても、一年を通じてその中には悪役や名脇役が登場してくれます。全てがドラマを引き立ててくれるために必要なキャストです。そう思うと出会う人は全て大切にしなければと思います。

 またMさんは、これからの残された人生の一日一日が真剣勝負の舞台で、課題や人間関係を翌日に繰り越すことはしないように心掛けています。仮に40年間付き合ってきた人と比較して同じ密度の付き合いをしようとすれば、例えばこれからの10年間を密度の濃い付き合いにする必要があります。密度の濃い付き合いとは、話し合う時間や今日一緒にできる仕事を明日に繰り越さないことです。

 Mさんのこれからの10年間の登場人物との付き合い方は、密度の濃い付き合いにする覚悟ですから、こちらもそれに応える責務があります。またMさんはこれから人生の仕上げに入る時期との認識を持っていますから、これからの登場人物は人生を無駄にしないために厳選する意向を示しています。私達の故郷とこの国を支えていくのは現役世代です。そして今の現役世代もやがて引退する時期が訪れますから、今受け継いでいるものを早く自分のものにして次の世代に伝える役割も一方では担っています。

 次の世代に伝えるものは断片的な情報ではなくて、時代を生きた人間ドラマなのです。人はひとつの時代だけを生きられるだけですから、その時代の空気は次の世代には分からないのです。そして歴史は継続していますから空白の時代があってはなりません。両親がいて私達が存在しているように、前の時代があって次の時代が存在しています。突然、平和な今の時代が歴史上に登場した訳ではありません。戦後、平和な日本の到来を願った人々の歴史が、今の平和な時代を連れてきてくれたのです。
 私達は歴史上の登場人物から学ぶことは大切ですが、それ以上に人生に登場する人物からも学ぶ必要があります。恐らく歴史で学ぶ人物よりも自分の人生で出会う当時要人物の方が多い筈です。主役はひとり。友人や脇役、悪役や適役もいるから起伏に富んだ人生のドラマが成立します。

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