490.今と明日を創る
 和歌山市吹上に報恩寺という紀州徳川家以来の歴史に彩られたお寺があります。大晦日の昨日、「新年の三が日は境内にある鐘を撞くことが出来ますよ」とお誘いを受けたので、新年初日の今日、撞かさせていただきました。勿論、この鐘は文化財ですから普段は撞くことは出来ませんが、新年のお年玉のようなものです。
 清々しい新年の空気の中、気持ちを込めて撞くと、鐘の音は低く響き渡り、気持ちを天高く伝えてくれたような気持ちがしました。思いは伝播するものですから、必ず同じ気持ちの方々に伝わっていると確信しています。やがて、同じ思いが天を通じて同じ空気を伝わって私のところに戻ってくる、そんな気持ちになりました。和歌山市の報恩寺から地球に向けて思いを発信すること、今までの人生で初めての素晴らしい体験でした。
両親を初め関わりのある皆さんが健康で長生きすること。
勤勉を続けていれば成果は必ず表れるから、心配しないで今に集中すること。今できることをする以外に成果を上げる手段はないのです。
精神も身体もそして活動内容より豊かになること。豊かになることで周囲に波及させることが可能です。現実的には、自身が喘いでいて他人のことを考える余裕はないのです。
人の本質は偽りではなく、真善美であることは絶対の真実です。新年の清々しさを忘れなければ、人の本来の本質が前面に出て素晴らしい世の中に向かいます。家族のことを思うことが真善美であるなら、当然、社会や国家のことを思うのも真善美であるべきなのです。誰に対しても、どこに対しても真善美の気持ちで接するなら、私達は繁栄の方向に舵を切ります。それは難しいことではありません。人が本来も持っている本質が真善美だからです。

 そしての素晴らしい報恩寺を守ってくれているのが松本恵昌上人なのです。松本上人は、本来のお務め以外にも地域社会の課題解決にも尽くされていますし、困っている全ての方々の相談に乗っているのです。只でさえお忙しくて時間が取れない中、自分の生活時間とこま切れの時間を活用して応じています。そして上人の説法や助言で助かった人が数多くいます。和歌山市の苦しいところを支えてくれている。希望をつないでくれていることに感謝するばかりです。

 今日、報恩寺を訪れた際、声を掛けようか迷ったのですが、昨日までも大変お忙しかったことでしょうし、本日も新年のお務めがあり個人の時間も取れていないことを思うと、突然の訪問で、氏の貴重な時間を費やさせることは出来ないので、外から気持ちだけ伝えました。

 報恩寺の境内には紀州徳川家歴代藩主の奥方様の御墓があります。その徳川家回廊にも上り、現在の和歌山県の繁栄を見守り続けていることに感謝の意を述べてきました。先人が築いてくれたものの上に私たちがいます。今なお、和歌山県が繁栄した時代を指して、徳川御三家の紀州と言われることがあります。紀州の延長線に和歌山県がありますから、後を継いでいる私達が、今と明日を創って行くのです。

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