465.気持ち
 地方議員ですが地域内の動きを追うだけでは発展性がないため、世界経済の動きと今後の流れも時々は話し合っています。現実の資本主義社会では経済は下から上に流れるものですから、日本においては東京の経済の動きを知る必要があります。しくみのある時や情報発信地にはお金が集まり、しくみを利用する立場の者や情報を受け取る側からは対価としてお金を支払うことになります。しくみを作り情報を発信しているのは圧倒的に東京発が多く、この都会では資金は豊富です。その資金を元に更にしくみを構築することで経済活動は更に一極に集中していきます。これらの経済活動に携わっている方々と懇談すると、地方には資金が回らないことが理解できます。

 知恵の少ないところで知恵を絞っても想像出来る範囲内のものを生み出すだけですが、知恵のあるところで話し合うと今以上の舞台で活動することが可能となります。舞台設定をした後は行動があるだけです。ところが舞台設定も知恵が必要ですが、行動を起こすのは更に困難なことなのです。今あるところから発展するために何かの行動を起こした全ての人は身を持って理解していることですが、第一歩を踏み出す勇気は並大抵のものではないのです。

 一か八かではなく99%頭で理解していたとしても、残りの1%に不安があると、今いる場所から次の舞台へと行動を起こすことは難しいのです。瞳を閉じて踏み出すか、誰かに背中を押してもらうか、それとも舞台から飛び降りる覚悟でしっかりと最初の一歩を踏み出すだけです。課題が大きい程、勇気が必要です。仕事の領域を拡大するだけなら比較的簡単です。整備された道路を真っ直ぐ歩くことも簡単です。しかし経験したことのない仕事を実行する場合、しかも経験則のない場合は厄介です。真っ直ぐ歩くにしても落ちたら大怪我をするような高さにある平均台の上を歩くとなると平常心ではいられませんし、怖くて一歩を踏み出すことも出来ないのです。

 ゴルフの事例も聞いたことがあります。練習では1mの距離のパットを沈めることは比較的簡単だそうです。ところがトーナメントの最終ホール、しかも賞金が1億円だとすると、1mのパットに挑む際、平常心ではいられないため外すこともあるそうです。普段なら簡単に沈めることが出来る距離のパットでも、経験したことのない大きなプレッシャーから不安感が芽生え外してしまうのです。

 人の行動は同じ理屈が支配しています。経験したことのないことに一歩を踏み出す時に不安感はつきものです。ところが実社会、経済活動では失敗することが許されない場合がありますから、行動に移すことだけでも大変なのです。第一歩を踏み出したら大丈夫だと頭で理解していても、行動は頭でするものではなく確信に満ちた勇気でするものですから、確信を持てるまで行動を躊躇するのです。確信は不安を追いやってくれますが、不安は確信を疑惑に変えます。どちらに傾くのかは自分の気持ち次第です。右に行くべきか左に行くべきか、未知の世界の入口に立った時、確信に満ちた勇気だけが頼りです。

 経済活動においては、地方が経験したことのないものでも東京では当たり前のことがあります。東京が踏み出せるのに地方が踏み出せないでいるのは能力の差ではなくて、確信があるかないかの違いです。そして確信を持てるのは経験しているからです。地方では日々変化している経済活動への対応の経験が少ないのです。
 人との交流や経験を伝えてもらい地方に展開することが、地域経済活性化の一歩かも知れません。

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