427.発明と人生
 和歌山県にも素晴らしい発明家がいます。その発想が実にユニークで、発明と人生は良く似ていることに気付きます。

○発想は常に簡単に行なうこと。
 人は世の中の問題を難しく考えていますが、難しく考えると解けるものでも解答を見つけられなくなります。全ては簡単に、シンプルに発想し考えるべきです。複雑な問題でも解決する方法は、くっつけるか離すか、加えるか引くかなど、逆方向のものを組み合わせることにあります。社会で起きる事象は人の営みから来るものですから、人の発想以上のものや自然の法則外のことは起こらないのです。物事は簡単に考えること、簡単に実践することです。

○奇数は安定しない。
 奇数は不安定ですから、何かとくっつけて偶数にした方が安定します。人は一人では何も出来ないのは、一人は当然、奇数ですから、一人だけが何を述べたとしても、それだけでは周囲から評価されないのです。社会的評価を得ている学者や芸術家の発言は、一人だけのものでも評価されることがありますが、一般人はそうはいきません。

 一人で何かを発表するのではなく仲間の賛同を得て、複数の人からの意見として発表した方が評価されるのです。
 議会でも同じことが言えます。数は力と言いますが、一人の意見よりも複数人の意見の方が採択されるのです。民主主義の社会では、採択された案を正しいと信じて、現実社会で実現する方向に向かわせることになります。多数の意見が間違っているので一人でも、自分の道を行く方法もありますが、それでは誰も付いて来てくれません。また一人で生きていくのであれば問題はありませんが、資産家かその世界で認められた実力者以外の人は、現代社会ではそれは馴染まないのです。

 一人よりも二人。複数でチームを構成し、そこから意見を発信することが大切です。奇数は安定しないので偶数、つまり複数の人から成るチーム力が重要です。

○縦糸、横糸
 社会では応用力が大切だと言われますが、応用の前の基本はもっと大切です。縦糸がなければ横糸はありません。以心伝心も、以心がないと伝心はありません。原因がなければ結果はありません。このように様々な事象は組み合わさって世に存在していますが、最初のものがあるから存在しているのです。

 基本線があって次があります。基本が存在することで応用し活用出来るのです。情報化社会においては、結果だけを早く知ることが出来ます。結果を知って物事が分かったつもりになりますが、実は基本がないと本質が理解出来ないのです。

 原理原則に戻って、物事を考える習慣を身に着けたいものです。社会や歴史は行き過ぎると必ず最初に戻ろうとします。アメリカでは若い大統領候補者が登場しているのは、もう一度基本に返ろうとしているものです。南北が対立した時のリンカーン。米ソが対立した時のケネディ。時代の節目には、歴史は基本に戻って人物を登場させます。
 織物を仕上げるためには最初の縦糸が大切なのです。

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