389.信頼関係
 和歌山市の外で働いていた方が、久しぶりに地元和歌山市に戻って感じたことを話してくれました。和歌山市が地域としての活力に乏しいのは、人を仕事の対象として見ているのではないかというものです。仕事の基本は人間関係にありますが、接する相手は自分の仕事を有利に導くための手段と考える傾向があるように感じていると話してくれました。

 人を大切にすることが結果として仕事の成果に結びつくのですが、短期的な成果を求める人達は人を道具のように捉えているというものです。それは、頼まれて人を紹介した場合によく見られる景色ですが、いきなり仕事の話から切り出し、最悪の場合は即刻の判断や契約を求めることもあります。相手の考え方や紹介者の顔を尊重しないで仕事の契約だけをいただこうとする態度に閉口する場合も多々あるようです。
 そんな人に限って、契約が成立した場合や仕事がスムーズに行った場合でも挨拶も御礼にも来ないことが多いのです。入り口だけ依頼しておいて出口は知らないというのでは、信頼関係が築くことは出来ません。
 
 自己の利益主義や利己主義が、和歌山県全体としての利益を失うことにつながっていると指摘してくれました。この方は現役時代の仕事においても、相手の人を最優先させていました。信頼している相手が不利になるような仕事であれば決して頼むことはないし、お互いメリットのある場合に協働する姿勢を貫いています。
 現役を退いたのを機会に、現役時代の経験を活かして地域貢献にも力を注ぎたいと話してくれました。利益の追求に走ると人は逃げます。特に信頼して人を紹介してもらった場合、紹介者に信頼があるから会ってくれるのです。初対面の人を信頼してくれるのではなく、紹介者の信頼関係で会ってくれていることを忘れてはいけません。
 仕事は人ですし、組織も人です。人を大切にする人が社会からも組織からも信頼を得られるのです。

 そして地域活動も営業活動も同じであることを話してくれました。一人で全てを実施しようとすると失敗します。チームで仕事をしたり、地域活動やNPO活動をすることが成功の秘訣ではないだろうかとして話してくれました。経験則に基づいた意見は、多くの成功事例から学べることと同じ意見なのです。
 一人で出来ることは限られていますし、チームとしての総合力が優秀な個人の力を上回ります。分野の異なる人達が協働することで初めて大きな成果が挙げられます。
 組織力やチーム力。
 一時期、個人主義がもてはやされた時期がありました。しかし、個人の能力を肯定し、チームとしてその力を発揮することを前提としたチーム力が個人に優ることは言うまでもありません。

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