347.聞く姿勢
「あの人が来ると自分の言いたいことばかりしゃべって、こちらの言うことは全く聞かないで帰ってしまう」
「自分の主張をするのは良いのだけれど、こちらから意見を述べても自分の考えにそぐわない様なら全く取り入れる姿勢がない」
「人生の経験に基づいてアドバイスをしても、理想ばかり先行させているので聞き入れる余地がない」

 この様な意見を聞くことはありませんか。何人もの人とお会いする中で気付いたことは、多くの人達は用件があって相手先を訪問した場合、自分の主張だけ言って相手の意見を聞かない場合が多いことが分かります。
 人それぞれ考え方は違いますから、片方が一方的に主張をしても受け入れてくれる筈はありません。自分の意見に固執するだけでは、何時まで経っても進歩はありません。同じ事柄に対して違う考え方があるのは当然のことですから、意見を述べた後は相手の意見を聞くこと、聞いたことは自分の考え方の中に取り入れるだけの度量を持ちたいところです。  
 何故なら、自分と異なる意見があることを認識し、他者の意見を受け入れることで考え方に幅が出るからです。
 
 ただどうしても、誰でも自分が大切ですから、知らず知らずのうちに自分を中心として話を展開しているのです。複数の人との会話において、半分以上に自分のことが登場しているようなら気をつけなくてはいけません。自分中心の会話になっていると、他人が意見する機会を奪っていることを意味しますし、他人は自分が思っているほど相手(これは自分のことです)に関心を持っていないことから実は退屈しています。
 相手を退屈させてしまうと、どれだけ良い主張をしても受け入れてくれる余地はありませんから、お互いに時間の無駄となります。
 用件があってこちらから出掛けた場合は、自分の意見を述べた後は相手の話を聞くように心掛けましょう。比率はこちらが30%、相手が70%程度に思って丁度、半分ずつ意見交換が手来ている程度です。

 「あの人と会っても自分のことを話すばかりで、こちらの言うことは全く聞く姿勢がないので会う気がしない」と言う意見を最近も伺いました。恐らく100%近く話すだけ話して帰った訳ではないでしょうが、聞く姿勢がなかったことをうかがい知ることが出来ます。
 折角会いに行っても、相手に不快感を与えるようでは会った意味はありません。政策を訴える場合でも、営業であっても、こちらがどれだれ話しても相手が納得してくれないと意味がありません。用件があって面談する場合、相手が納得して賛同してくれることが最も重要なことです。どれだけ良い企画であっても、どれだけ見事なプレゼンテーションをしても、どれだけ熱く訴えても、相手が同意してくれないと成果とは言えません。相手に意見を言ってもらって、それに対応することが同意を得られることにつながります。
 自分の主張がどれだけ素晴らしくても、受け入れるのか拒否するのかの決定権は相手にあるのですから、聞く姿勢の大切さが分かります。

コラム トップページに戻る

前のコラムへ   /  次のコラムへ