2026年2月。ミラノ・コルティナオリンピックの女子フィギュアスケート金メダルを獲得したアリサ・リュウ選手のショートプログラムを終えた後のコメントが最高です。朝日新聞に掲載されていたコメントを引用します。
アリサ・リュウは、SP3位発進。冒頭の3回転フリップで1.59点の高い出来栄え点(GOE)を引き出すなど、うまくまとめた。首位の中井とは2.12点差、2位の坂本とは0.64点差。逆転する可能性を十分に残すが、「彼女たちに勝つかどうかは私の目標ではない。自分の表現したい物語に集中する」と意に介さない。
リュウは緊張もしていないと言い、「うまく滑れても、プログラムで失敗しても全く問題ない。結果がどうであれ、それはそれで自分の物語になるから」と語った。
ショートプログラムで3位だった後のコメントです。まだフリーの前なので、金メダリストになるという結果は見えていないときですが「本当に凄い」と思いました。
彼女は優勝することが目的ではなくて、オリンピックの舞台で滑れることが最高であってフリーや総合の結果は氣にしないようです。
「結果がどうであれ、それはそれで自分の物語になるから」。本当に凄い言葉です。
人はやったからには目標としている結果を求めます。結果を得られたら嬉しいですし、やったけれどうまくいかなかったら悔しいのです。しかしアリサ・リュウ選手は、やった結果は関係なく、成功しても失敗しても「自分の物語になるから」と言い切っています。
これは目が覚めるような一撃でした。
どんな結果が待っていようと「自分の物語になる」のです。何かに挑戦しようとすると、必ずと言っていいほど恐れや不安が姿を現します。この恐れや不安こそ最大の敵ですが、これは「結果が出なければどうしよう」「失敗したらどうしよう」と思っているから現れるおばけなのです。
フリー演技を終えて「残りの選手の演技を待っている瞬間はどう思っていましたか」のインタビューに対して「怖くて不安でした。それは冗談です。他の選手の演技に集中していました。みんなのスケートを見るのが本当に好きなんです」と答えていました。
不安も恐怖も全く感じられなかったコメントで本当に凄い精神力だと思います。YouTubeでフリープログラムの演技を観たのですが、素人が見ても「このスケートは楽しい。演技も躍動感も笑顔も湧き出している。きっとオリンピックという最高の舞台を楽しんでいるのだろうな」と感じました。緊張もあるでしょうがそれも味方にして、不安と恐れを追い出してしまったようです。
不安や恐れか生じると人は挑戦を諦めようとします。「やらなければ不安も恐れもなくなってしまう」と思うからです。挑戦には常に失敗という谷が待ち構えています。不安や恐れはその谷を巨大な存在にしてしまうので、飛び越えられないと思ってしまいます。
「失敗しても全く問題ない。結果がどうであれ、それはそれで自分の物語になるから」。凄い言葉に出逢えたことに感謝しています。



