コラム
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2021/4/7
1762    JIN -仁-

ドラマ「JIN -仁-」。コロナ禍において思うことは、後々迄伝えたいと思う名作だということです。名場面や名セリフが多いのですが、中でも橘咲さんの「どうか、南方仁という方に、傷つくことが多いあのお方に、誰よりも幸せな、今度はだれよりも幸せな未来を与えて差しあげて下さい」の台詞は凄いと思います。自分のことよりも南方先生の幸せを願う気持ちがストレートに伝わってきます。ドラマの中の台詞ですが、それで終わらせてはいけないように思います。

こちらの言葉も胸に刻みたい言葉です。「今この時代を私たちが生きていけるのは、それぞれの先祖が戦争とか辛い時を必死に生きぬいてくれたから。だから、今を大事に生きなくちゃいけない」。

ドラマの時代は江戸ですが、その時代から現代までつながっている価値がある。それは人を思いやる心と使命感だと思います。日本人が持っている「人のために尽くす」。そして命の重みが現代よりも重くなかった時代において「自分の命を賭けた行動によって命の大切さを伝える」こと。時代は違っても大事にしたい日本人の価値です。

今の時代の日本では命が危険にさらされることは稀ですから「人のために尽くす」ことや「命を賭ける」覚悟を持つ機会はほとんどないと思います。日常の中では真剣勝負の機会も少ないと思います。しかし時に極めて真剣な場面が訪れることがあります。「この機会を逃したら好機は二度と訪れない」日を迎える時、覚悟を決めて取り組む必要があります。それは「この時代を良くしたい」「後に続く時代も良くしたい」などの使命感を持つことで、自分の覚悟を確かめることが出来ます。

そこには関わる人に対する疑いや、前に進んで良いのかなどの迷いはなく「やるだけやる」覚悟があるだけです。

この案件に関する打ち合わせの時の話です。「疑っていても仕方ない。今やるべきことをやっておくこと。その時のために準備を進めることが大事です。もしこの案件が進んだ時、私達がやれることをやっておかなければ、この計画が躓くことになるかもしれません。それはできたかもしれない機会を奪うことになるからです。疑うことをしないでやるべきことをやりましょう」という意見がありました。今の覚悟を聞かせてもらったように感じました。

「あれこれ」言って前に進まない議論や引き延ばしは実現を阻害することになります。その時、やらなかった人達は「やっぱりできなかった」と安どの表情を浮かべます。しかしそれは間違いです。その時にやらない人がいたから「できなかった」のです。やるべき時期を逸したら、スピードに欠けていたら、出来ることが実現できなくなるのです。

できなかった場合「実現した」という結果は現れないので、その時の行動や判断ミスは表には出ないのです。未必の故意という用語がありますが、自分の行為がその良くない結果を招くかもしれないと思いながら、それをやってしまうことは避けたいと思います。

そして主題歌の「いとしき日々よ」もドラマに合った名曲だと思います。

「あなたに吹く風よ あなたに咲く花よ あなたと追いかけた明日よ」で、ドラマの中で懸命に生きた人達の姿が浮かんできます。医療に生きた人達の懸命な姿から学び、現代に生かしたい生き方だと思います。

「ドラマの世界じゃないか」などの意見はありますが、ドラマは原作者や作った人の思いが込められています。ドラマを観る人に伝えたいメッセージがあるのです。その思いを登場人物の台詞として伝えてくれているのです。良いドラマは単なる作り物のドラマではなくて、関係者の方々のメッセージだと思います。制作者、原作者、俳優、そして歌手など関わった人達が届けたいメッセージを受け取って学びと行動に転換させていきたいものです。