コラム
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2017/4/20
1685    何歳になっても

2017年、55歳の時に出会った映画「LALALAND」は最高の作品です。賑やかで夢があり、楽しくて、そしてどこか切ないのです。まだ無名の若者たちが自分の未来を切り拓くことに、もがいている姿と心が表現されています。誰でも通過する若い日にあった時間を描いていることに共感できます。

未来の自分を信じているけれど、未来の自分はどんな存在になっているのか分からない。でも切り拓いていけると思う期待と、「もしかしたら駄目かも」と思う不安。期待と不安が交じり合う内心を見事に捉えています。

1977年、15歳の時に出会った映画が「がんばれ!ベアーズ」と「ロッキー」です。前の作品が中学三年生の時。後の映画は高校一年の時です。高校受験に失敗して少し先、1977年4月からの未来が見えなかった時に父親に連れて行ってもらった映画です。高校受験に失敗して自棄になっている僕に対して「小さな子どもでも頑張っているだろう」と言葉をかけてくれました。幸運で、奇跡で、信じられないことに定員割れしていた向陽高校の二次募集を受験して合格しました。今、思うと未来が変わった瞬間でした。

希望校ではなかったことから怠けていた高校一年の時、「ロッキー」に出会いました。どんな境遇であっても、そこから抜け出すには努力しなければならないこと。努力をしても未来は切り拓けるかどうか分からないけれど、努力を放棄してしまうと未来は狭められることを教えてくれました。

心が踊った映画「スターウォーズ」が公開されたのも1977年でした。この時は、シリーズ化されて2017年の未来でも「スターウォーズ」の新作を観ているとは思いもしないことでした。未来へ不安を感じた若者を描いていたのが「サタデーナイトフィーバー」でした。今を捨てなければ未来に進むことはできないことを教えてもらいました。

その後、「If Ever I See You Again」と「タイタニック」という感動に出会いました。

古い映画では「卒業」と「明日に向って撃て!」も好きな映画ですし、「ティファニーで朝食を」も好きな映画です。

時代は飛んで2016年12月に観た「ローグワン」は感動しました。無名な人達が正しいことが未来につながることを証明するために命を懸ける。これが最近では最高の映画かなと思っていたところ、2017年2月、「LALALAND」が登場しました。最初、街で「LALALAND」の看板を見た時は何も思いませんでしたが、話題になっていくに連れて「あの時の看板の映画はミュージカルだけれど面白いのかな」と思っていました。

劇場で観て最高の映画でした。まだ無名の若者が未来に向かっていく姿。失敗続きの毎日で次第に自信を無くし「自分には才能がない」と夢を諦めかけます。夢を諦めないようにチャンスを作り支えてくれた大切な人がいたから、「これで落ちたら立ち直れなくなる」と覚悟を決めて受けたオーディションで心を解き放ち、一度は諦めた夢を掴みます。未来が分からない二人で過ごす最後の時間で「ずっと愛しているわ」と伝えますが、5年後、二人で創るはずだった未来が違う姿になっていることに後悔の念を感じます。幸せで切なさを感じます。2017年になって、これまで観た中で最高の映画に出会うとは想像もできませんでした。何歳になっても未来は分からないものです。だから切り拓くことを続けるのです。