コラム
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2012/8/28
1100    川の流れ

人の心は流れているきれいな川のようなものです。上流から下流へと自然の姿で流れていますし、心の状態それが理想です。ところが嫌なことや懸案があると、川の流れが悪くなります。心の川は平坦ではなくて窪みもあれば岩場もあります。懸案というゴミが川に投げ込まれると川を下りますが、途中、岩場に引っ掛かったり沈んだりします。心の中が平穏ではなくなるのは不純物が心の川に引っ掛かっているからです。

そのまま放置しておくと、やがて澱みが生じ、またゴミの溜まる場所に次々とゴミが溜まっていきます。こうして心の中が乱れていくのです。台風の後などに河川の清掃活動をした人は分かりますが、河川に流れ込んだゴミを一人で取り除くことは困難な作業となります。一人できれいにゴミを取り除くことはできませんが、大勢の作業でなら取り除くことは可能です。心のゴミも自分一人では取り除くことはできません。しかし友人や信頼関係にある人、家族となら除去することは可能です。

心の広い人は心の川も広いのでゴミが流れたとしても下流に流されて行きますが、多くの場合、些細なことで心に迷いが生じます。川幅が狭いとちょっとしたゴミでも引っ掛かります。多くの場合、原因が分かっていても投げ込まれたゴミを一人で取り除くのは簡単ではありません。特に対人関係から生じる問題は考えれば考えるほど絡み合います。岩場にゴミが付着して、更に捕り難くなってしまうようなものです。

人の話しを聞ける人は、他人の心の川の中のゴミを取り除いてくれる人です。川は清く流れて価値があるのです。澱みがあり飲めない水を抱えている川の価値は、きれいな川よりも低くなります。自分の心の川の価値を上げるためにも清流であり、飲み水としても使えるような川でありたいものです。

ところで問題が発生した時に、何か引っ掛かることがあります。それが投げ込まれたゴミのようなものです。問題への対応は一人で行わないことです。自分一人ではなく複数で対応することが基本です。話を聞いてくれる人、その状況下で解決できそうな人とつなげてくれる人、そして問題に対応する際に同席してくれる人など、役割分担をして対応することが解決を早めてくれます。

中でも心の平穏に導いてくれる人の存在は欠かせません。心が乱れると生活が乱れますし、仕事や人間関係にも影響を及ぼすからです。話を聞いて適切に対応してくれる人は心の友になります。

心の川をきれいに保ち、清らかな流れを作るようにしましょう。ゴミを投げ込まれないようにするには、つきあいを選択することです。尊敬できる人、誰に聞いても信頼できると言われている人、人間味があり仕事ができる人、そして心に壁を感じないで話しやすい人が自分の心の川の流れを清流に保ってくれる人たちです。

川は一本ではありません。他の川と合流したり雨が降って流れ込むこともあります。海の近くでは塩水とも交わります。これらは人間関係であり避けることはできないものです。

人と交わりながらも他の人の心も清流に導けるような心を持ちたいものです。