コラム
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2012/6/15
1056    黄金ルール

ビジネスにおいて最も重要なことは人脈です。香港からの留学生はこの黄金ルールについて伝えてくれました。しかしビジネスの人脈の場合は継続性が難しいのです。長く続く信頼できる友人と違うのはビジネスの相手は変化があることです。人事異動や転勤、外国の相手の場合は退職、転職の機会も多いので、「折角知り合ったのにいなくなったのでその会社との関係が途切れてしまった」と残念に思う場合があります。人脈は個人と個人の信頼関係ですから、中々引き継ぐことは困難なのです。ある会社との取引関係を保つためには、人が変わっても人脈を継続させる必要があります。分かっていてもそれが難しいことなのです。

香港の留学生によると、取引関係にある組織の人脈は複数持つこと。そしてエクステンションすることを念頭において、次の担当者を前任者から紹介してもらうこと。そして間を入れないで挨拶を行い早期に関係構築を行うことが大切なことです。

人脈は放置しておくと使えなくなります。3年前の名刺ホルダーを捲ってみると、今もその肩書きでいる人が少ないことが分かります。人の立場は変わるものですから、複数の、そして新鮮な人脈を保っておくことが黄金ルールなのです。

この留学生は、香港でアメリカ人との人脈を築いています。主に趣味の音楽活動の場でアメリカ人と交流があったようです。最初は仕事での出会いではなく(当時は香港の高校生ですからビジネスの場でないことは明らかですが)、趣味を通じての出会いであったことから、親交からビジネスへと発展させたのです。

尤も、小さい頃からビジネスの経験を積むために屋台での商売をしていたようです。店舗のない屋台の仕事は基本的に認められているものではないので、屋台を置かせてもらっている場所の店舗の人との信頼関係とお客さんとの信頼関係を構築することから始まります。警察が取り締まりに入る場合に、情報をくれて逃げ道を持ってくれる信頼関係を地元の人と築くことが第一歩なのです。ビジネスの基本は取引相手とお客さんとの信頼関係を築くことです。それを小学生時代に学んだようです。

そして日本では大学で勉強をしながら会社を興しビジネスも行っています。勉強した内容を実践の場で活かしているのです。勉強したことは徐々に忘れますが、勉強した内容に基づいてビジネスを行えば忘れることはありません。こうして勉学とビジネスの両立を図っています。

現在行っているビジネスは、香港と日本、日本とアメリカの輸出入です。例えば香港から安くて珍しいものを仕入れて日本に入れています。日本製品をアメリカに輸出して利益を生み出しています。こう書くと簡単に思いますが、その仕事に携わっていない人は輸入と輸出の方法を知りません。実務に携わっていない学生が知っているものではありません。

どうしてこの仕事ができているのか。その秘密は人脈にあります。香港で知り合ったアメリカ人が助けてくれているのです。香港勤務のアメリカ人は何時までも香港にいるものではありません。アメリカ本国や日本、そして世界各地にエクステンションしています。それらの人脈がこの留学生のビジネスの手助けをしてくれているのです。世界中の散らばった人脈は黄金のルールに基づいた最大級の宝物です。そして前任者から現地の人脈の引継ぎも行っているので人脈の鮮度を保っています。紹介してもらった後任者、つまり会ったことのない人とはスカイプとメールで連絡を取り合っているようです。

ビジネスは誰を知っているのか。誰と仕事をするのかで成果は変わります。あの人の紹介であれば信頼できるけれど、この人の紹介だと信頼性に欠けるので取引はしないという事例は結構あります。ビジネスにおいては信頼関係と好きか嫌いかが成果を決定するための大きな要素を締めています。

人脈を作り大切にするという黄金のルールは絶対に守りたいことです。