令和6年2月定例会一般質問 / 質問内容

おはようございます。議長のお許しをいただきましたので、通告に従い一般質問を行います。

1.「早ね、早起き、朝ごはん」について

一般質問

「早ね、早起き、朝ごはん」運動は、平成17年に文部科学省が国民運動として睡眠の大切さを提唱したことから、全国の小中学校で取り組みが始まりました。

先の2月22日、市立宮小学校一年生の生徒を対象として、わが国の「早ね、早起き、朝ごはん」の第一人者である星野恭子先生の特別授業があり、僕も参加してきました。星野先生は瀬川記念小児神経学クリニック理事長、瀬川小児神経学研究所所長であり、平成22年からは南和歌山医療センターにも勤務してくれています。

先生は子ども達に「オリンピックの金メダリストなどトップランナーに慢性睡眠不足の人はいない。皆、最高のパフォーマンスのために、最も睡眠を大事にしている」ことを伝えています。逆に「もし〇〇選手が睡眠不足だったらどうする」。今だったら「大谷選手が睡眠不足だったらどうする」と質問することで、子ども達は睡眠が大切だと実感するようです。

慢性睡眠不足は身心ともに衰弱状態に陥ることであり、そんな状態で何かを行っても良い結果が出ないことを、大人も理解して子どもに伝えて欲しいと思ってのことです。

先生は子どもの成長、勉強に必要なことは「早ね、早起き、朝ごはん」を主張しており、県内での講演会はもちろんのこと、県教育委員会のパンフレット作成や啓発活動にも協力してくれています。

ところで星野先生が南和歌山医療センターに勤務してくれた理由は「全国の県の中で小児神経学の診療科目がない県は少なく、その一つが和歌山県だったこと」だと聞きました。東京から熊野白浜リゾート空港までは1時間のため、現在も月に2日勤務して、和歌山県の小児科医療の向上に務めてくれていると共に講演活動を続けてくれています。

「朝ごはんなくして学力向上なし」。そして、朝は6時に起きること。そのために前日は夜の10時に就寝すること。朝ごはんは必ず食べることの実践を提唱しています。

それを受けて県教育委員会は「やっぱり大切、早ね・早おき、朝ごはんガイドブック」を作成し、小中学校で活用しています。これが新旧のガイドブックですが、良くできた内容になっていますし、改訂をした冊子は今春に小学校に配布すると聞いていますから、ガイドブック作成に関わってくれた星野先生の協力を得ながら有効活用して欲しいと思います。

星野先生は、平成24年に先生か関係するホームページで、和歌山県の取り組みを発信してくれています。

和歌山県が「早寝早起き朝ごはん」に燃えています。

平成22年7月に、和歌山県田辺市の南和歌山医療センター小児科にうつりました。それ以来、和歌山県教育委員会が「早寝、早起き、朝ごはん」に強力に推進してくださり、今、和歌山県内の学校・家庭教育・保育園幼稚園など、「早寝、早起き、朝ごはん」活動に燃えております。そしてとうとう、11月11日には、和歌山県早寝、早起き、朝ごはん全国フォーラムを開催することになりました。和歌山県から「早寝、早起き、朝ごはん」の大きな波を広げていきたいと思っています。

一般質問

小学校での特別授業のあと星野先生から「これからも和歌山県での取り組みに関わっていきます」と伝えてもらえたことは、今後の活動の弾みになるものです。

十分な睡眠をとることは、子どもだけではなく大人にとっても大切なもので、心身の健康と健康寿命の延伸のためにも生活習慣にしたいものです。

子ども達にとっての睡眠は、成長期の身長や体重の増加と共に、精神の発達に影響を及ぼすものであり、大人よりも十分な睡眠、睡眠衛生が大切なのです。

星野先生は「科学が進歩しても、AIなどのデジタル技術が進歩しても、人間の脳や身体の特性は変わっていません。脳の発達に影響を与えるものは、昔から変わらず早寝早起きなのです」と話してくれました。

星野先生が勤務しているクリニックの6代目である瀬川昌耆(まさとし)先生は、明治17年に「日本最初の西欧医書であり日本独自編纂の小児科教科書を出版、明治39年に出版した『實驗の育兒(実験の育児)』では「寄席、芝居の害」を記しています。

そこには「小児には最も睡眠が必要で、眠る間に脳が休養するのであります。寄席に連れていき「面白いだろう。おとなしく観ておいでよ」など親と同じように小児も面白かろうと思うが、これは至ってよろしくない大変な考え違いであります」と記しています。

当時、大人の楽しみだった寄席は、現代のネット中継、ネットサーフィンのようなものだったと思いますが、このような大人の生活習慣が子どもに影響を与えていると思います。

瀬川昌耆先生はドイツに医学留学していますが、その時のメンバーには森鴎外や北里柴三郎もいて、日本近代医学の源流とも言える医師からの指摘です。

明治時代の医学書にも記されていように、人間の脳は十分な睡眠が必要なことは当時も今も変わっていないのです。

星野先生は更に「地球は約24時間で太陽の周りを自転しながら公転し、ホモサピエンスは昼行性の地球上の哺乳類であり、睡眠覚醒リズムの発達は脳幹機能、心身の成長、自律神経の発達に影響します。人は能力を100パーセント発揮して昼に充実した楽しい活動をするために、夜は十分な睡眠が必要であることを理解して欲しい」ことを伝えています。

質問1:「早ね、早起き、朝ごはん」のこれまでの取り組みと成果について

和歌山県教育委員会による「早ね、早起き、朝ごはん」のこれまでの取り組みと成果について、教育長からお答えください。

答弁者:教育長【生涯学習課】

片桐議員には、宮小学校までお運びいただきまして、本当にありがとうございます。

県教育委員会では、こどもたちが規則正しい生活習慣を身に付けられるよう、県独自の「早ね・早おき・朝ごはん!」ガイドブックを作成し、「出張!県政おはなし講座」やPTAの研修会、家庭教育の講座等を通じて、学校、家庭、地域に「早寝早起き朝ごはん」運動を普及してまいりました。

各学校では、起床時間や就寝時刻をこどもが自ら整える取組や、栄養教諭と連携しながら食事の重要性を学ぶ授業を実施するなど、実態に即した取組が行われています。

こうした取組が評価され、優れた「早寝早起き朝ごはん」運動の推進にかかる文部科学大臣表彰に、本県の小・中学校や保育園が毎回選出されております。

質問2:「早ね、早起き、朝ごはん」の今後の取り組みについて

取り組みの成果を答えてくれましたが、小学校の保健室の掲示板には、啓発用のポスターが掲示されていました。またガイドブックには日高と有功小学校の取り組み事例が紹介されているなど、燃えている活発な活動をしているようです。

今後とも小中学校教育で「早ね、早起き、朝ごはん」の取り組みを進めることが、この活動を定着させるために大切なことです。星野恭子先生の協力をいただきながら授業、および保護者に対しても講義などを実施することが必要だと思います。

「早ね、早起き、朝ごはん」に燃えている和歌山県教育委員会として、小中学生や保護者に向けた今後の取り組みについて、教育長の答弁をお願いいたします。

答弁者:教育長【生涯学習課】

今後の取組でございますが、「早寝早起き朝ごはん」運動は、こどもたちに規則正しい生活習慣を身に付けさせるために、大変、効果的な取組であると考えています。

一方、昨今は、こどもたちを取り巻く環境が変化し、生活リズムを乱す要因が増えてきています。

そこで、今回、全面改訂したガイドブックでは、スマートフォンやゲーム等の画面を見る時間がこどもの体力面に与える影響を示し、改善を促す内容を新たに盛り込むとともに、大人とこどもが会話しながら学べるような工夫も取り入れています。

今後も、「早寝早起き朝ごはん」運動を、学校はもとより、PTAなどの団体と連携し、家庭、地域へも広げていきたいと思います。

このように、こどもも大人も同じ目線で望ましい生活習慣づくりに取り組むことで、心も体も健やかになることが期待されます。