議会一般質問
平成29年2月定例会[建設委員会](3月13日(月))
Q:片桐委員

スマートウェルネス型まちづくりという新しい施策がどういうものなのか、説明をお願いしたい。

A:飯沼都市政策課長

スマートウェルネス型まちづくりとは、住宅・医療・福祉・子育てといった都市機能が一定の圏域内に集約され、高齢者や子育て世帯が安心して、また、健康的に暮らすことができるまちづくりを指すものである。

県内の状況を見ると、スマートウェルネス型まちづくりを進めていこうという旗振り役がいないため、住宅・医療施設・福祉施設・子育て施設といったそれぞれの施設が、それぞれの思惑のもとに自由に立地しているのが現状である。このことが、コンパクトなまちづくりの実現に至っていない一因になっていると認識している。

こうした状況を踏まえ、今後は、県が、スマートウェルネス型まちづくりの旗振り役として取り組みを進めていくことにより、我が国が今直面している人口減少、あるいは少子高齢化といった諸課題に対応したまちづくりを実現していきたいと考えている。

Q:片桐委員

説明のあったように、医療や福祉などを含めた機能を、中心市街地や駅前などに集約していくという考え方だと思う。このまちづくりの考え方は、高齢者を初めとした全ての人に優しいまちづくりができるということで、賛成するものであるが、県が旗振り役をして、どの市なり町がリーディングシティになるのか。あるいは、スマートウェルネス型まちづくりの概念は、新しくて古い概念でもあるので、今ここに乗り出そうということも含めて、今後の進め方について答えてもらいたい。

A:飯沼都市政策課長

スマートウェルネス型まちづくりの推進に向けた取り組みは、新政策として来年度から初めて実施するものであり、まずはソフト的な取り組みが中心になると考えている。

具体的には、県が、和歌山市などの市と連携して、住宅事業者・医療事業者あるいは福祉事業者に対し、スマートウェルネス型まちづくりに取り組んでいくことの必要性等を普及啓発していく普及啓発活動が1点と、各施設の立地ニーズを把握して相互のマッチングを行っていくこと、これが2点目である。この2つの取り組みを通じて、スマートウェルネス型まちづくりの推進に向けて、県としてコーディネート機能を発揮していきたいと考えている。

施策の性格上、短期間のうちに成果を上げるのは難しい部分もあると思っているが、こうした地道な取り組みを行うことにより、スマートウェルネス型まちづくりの実現可能性が少しでも高まっていけばと期待している。

要望:片桐委員

和歌山市は、平成32年、33年頃まで、中心市街地に公的機関を再配備しようとしている。民間もそれについてくると思うので、是非県がリード役をしてもらえればと思う。

特に、駅周辺の比較的価値が高い、医療や福祉に適している土地が駐車場になっているという現状があり、駐車場は利便性が高くなるが、居住や交流という意味ではあまり効果がないような気がするので、この考え方で進めてもらえればと思う。

Q:片桐委員

交通安全対策の「歩行スペースの確保について」という項目の内容について聞きたい。

これは、平成29年度から平成33年度までに歩道の整備を加速化させようとするものであり、対象となるのは、駅、学校、公共施設などの周辺、あるいは車や歩行者の交通量が多く危険とされるような箇所から優先的に整備していく計画であるが、その概要について示してほしい。

A:諏訪道路保全課長
 

交通安全対策の歩道整備については、子どもや高齢者が安心して生活できるよう、平成28年度の新政策として歩道整備の加速化を掲げている。これは、利用状況や周辺環境に応じた整備手法を用いることで、整備を加速化し、目標として20年間で500キロメートルを整備する計画である。

平成29年度からの5カ年で、優先的かつ整備すべき箇所を選定し、144キロメートル、97路線、231カ所を整備していく。

この計画の整備手法としては、まず、歩行者が多い場合は2メートル以上の歩道の整備を行う。そして、歩行者が少ない場合や市街地等で家屋が連担した箇所で家屋の負担を少なくしようとする場合は、側溝の蓋かけや柵、ポールの設置、路面標示などで75センチメートル程度の歩行スペースを確保して、歩道整備を加速化していく。

Q:片桐委員

計画の中で注目しているのは、75センチメートル以上という点である。特に通学路の周辺では、結構狭隘な道路があり、歩道が必要であるが整備されていない箇所があるので、整備を早く進めてほしいと思う。問題は、県費なので県道が対象になると思うが、特に小学校を中心に通学路となっているところは、和歌山市道であったり、他の市町の道路であったりする。市町村道路であっても、この歩道整備が図れるよう、市町村に協力依頼とか含めて、県と歩調をあわせるように連携を図ってほしい。この点についてはどうか。

A:諏訪道路保全課長

市町村に対する指導についてであるが、歩道整備5カ年計画の策定に当たっては、市町村と調整しながら策定したもので、その整備手法については理解されていると認識している。

この計画で、歩行スペースの確保は新しい取り組みであり、県としても整備を進めていく中で、今後、その効果や課題を整理していこうと考えている。

市町村に対しては、参考となるように伝えていき、その中で、活用してもらえればと考えている。

要望:片桐委員

是非、協調して進めてもらいたい。

Q:片桐委員

3億5461万円の予算を計上している白浜空港の民間委託についてであるが、この白浜空港の民営委託に踏み切ろうとする経緯について聞きたい。

A:角田港湾空港振興課長

南紀白浜空港の民間委託に踏み切ろうとした経緯についてであるが、南紀白浜空港は、和歌山県の空の玄関口として、主に紀南地域への観光客の来訪による地域経済の活性化に寄与していると認識している。

また、近年、訪日外国人観光客も増加傾向の中、県としても、これまでエアライン誘致を行ってきたが、なかなか実績が上がらないのが現状で、広く民間企業のノウハウを活用する必要を感じている。

なお、空港の民営化については、関西空港や仙台空港など国において先行して実施され、路線の拡充など徐々に効果も出始めていることもあり、本県においても、新たな航空ネットワークの拡充に加え、空港の運営経費の削減等にむけ、民間企業のノウハウを活用した運営を目指すこととしている。

Q:片桐委員

これまでもかなり活動してもらっているものと認識している。

先の補正予算の審議の中で、当局から、これまでの関係者から意見を聞く中で、応募事業者があるものと考えるという主旨の答弁があったが、民間委託に踏み切るために実行してきたこれまでの活動について聞きたい。

A:角田港湾空港振興課長

民間委託に踏み切るに当たってのこれまでの活動であるが、昨年の6月議会の補正予算で承認された南紀白浜空港民間事業等活用推進調査により事業の検討を行ってきた。

その調査の中で、他の空港の事例を参考に、制度設計の段階からマーケットサウンディング、いわゆる公共と民間の対話の制度を活用し、民間事業者の意見聴取を行ってきた。

Q:片桐委員

事前調査を受託しているデロイトを通じ、関心のある企業から説明依頼があった場合に、県が更に説明に出向いていると思うが、オファーがない企業で、民間の空港委託をしているような企業に対して県が出向いたことはないのか。また、オファーがなければ県は訪問しないものなのか。

A:角田港湾空港振興課長

意見聴取をしている事業者については、委託業者が空港等の民間運営事業業界に精通していることから、この委託業者からの情報に基づき県が説明に行くほか、県に直接問い合わせがあった企業に対しても説明を行っており、これまでに県内外で10数社を訪問している。

なお、事業者からの意見聴取は大変重要であると考えており、今後も要請があれば、時間の許す限り意見を聞いていく。

要望:片桐委員

経緯については理解した。民間委託は賛成で、是非事業者が見つかるために汗をかいてもらいたい。そのために我々ができることがあればやっていきたい。よい形で民間委託ができるよう、民間を動かしてほしい。

Q:片桐委員

公共工事参加資格の変更について聞きたい。

公共工事を請け負う参加資格で、社会保険に未加入の元請業者を排除する仕組みがあるが、平成28年度と平成29年度の変更点について説明してほしい。

A:庄司技術調査課長

社会保険等未加入対策については、建設業従事者の処遇改善を図り、担い手の育成・確保につなげることを目的に官民を挙げて取り組んでいる。

県では、平成27年4月から、入札において未加入業者を排除するとともに、下請総額3000万円、建築一式では4500万円以上の工事を対象に、元請業者と社会保険等未加入の一次下請業者の下請契約を原則禁止している。

平成29年4月からは、下請金額に関係なく、全ての建設工事で元請業者と社会保険等未加入の一次下請業者との間での下請契約を禁止する。

また、一次下請業者が加入しない場合は、元請業者に1カ月の入札参加資格停止措置を実施することにしている。

Q:片桐委員

平成29年4月1日から、金額に関係なく全ての建設工事で、元請業者の未加入一次下請業者との下請契約が原則禁止されるが、和歌山県内には小さな建設会社が多く、特に1人親方と呼ばれる小さな建設会社が結構あるので、金額に関係なく制限すると、そのような会社が公共工事から締め出されることにならないのかと思う。

小さいといっても、地元を支えている建設会社が多いので、現在と同じような状況で仕事に関われる仕組みについても考えてほしいと思うが、いかがか。

A:庄司技術調査課長

個人事業主である1人親方や生計を一にすると認められるその家族については、社会保険等の加入義務がなく、本制度の対象外である。

法人であっても、小さな会社で、労働者を雇用せずに代表取締役と家族だけで事業を行うような会社は、雇用保険については、その家族が役員や生計を一にする場合は加入義務がない。

しかし、健康保険と厚生年金保険については、そういった場合でも加入義務があり、対象となる。