未完成の話
友人たちと空き家対策会議を行いました。理由は、和歌山県の空き屋率は全国でワースト上位なので、解消することが課題であると認識しているためです。そこで専門家を迎えて会議を行ったものです。
会議の内容は機密事項があるので記すことは控えますが、その中で印象に残る話があったので紹介します。
- 夢を語ること
夢はどんどん語るべきです。夢があっても、なくても周囲の人に語るべき。そして夢は毎日でも違ってよいですし変わってもよいので、今日の夢を語るべきです。夢を周囲に語ることで実現に向かいますし、周囲の人も支援してくれます。
ある人の子どもが、航空会社で働きたいと家族に伝えました。夢を叶えるために高校1年生のときから航空専門学校のオープンキャンパスに参加していたのです。高校3年生になったとき、その専門学校から家庭に電話がかかりました。電話の向こうから「子どもさんが航空業界に関心を持っているようです。一度、本校の見学に来ていただけませんか」との案内でした。子どもの夢を知っていた家族は、早速、学校の見学に行きました。キャンパスを案内してもらって航空業界の話を聴きました。
「この学校なら子どもを預けても大丈夫」と思ったので「お願いいたします」とお礼を伝えて和歌山市に戻りました。後日、学校から家庭に受験案内が届きました。来春、卒業予定なので、試験と面接を受けたところ、難関を突破して推薦入学が決定したのです。
夢は周囲に語ることで動き出す素敵な事例です。私もこの話を聴いて「世界中を飛んで欲しいと思います」伝えました。夢を共有できることは嬉しいことです。
- 未完成の話
片桐さん、知っていますか。建物は未完成にしているのです。一本の柱を逆さまにして建てることや、安全性に問題のない一か所を未完成にしておくのです。歴史的な建築物も同じように未完成にしています。
完成させた建物が未完成という表現はおかしいのですが、とにかく未完成で仕上げるようなのです。その理由は「完成してしまうと後は朽ちるばかり」だからです。完成してしまうとそれ以上はないので、常にあと少しで完成に近づく状態にしておくことで朽ちることを避けようとしています。
かつて隆の里関が横綱に昇進したとき、当時の二子山親方から「満ちたら欠ける」と戒めの言葉を伝えられたそうです。新横綱は「怖い話」だと思ったと言います。満ちたら欠けるのは世の常であり、満月に向かう途中が昇っている時期なのです。だから完成を目指すことは良いことですが、常に未完成の場所にいると思うことが慢心を防止することにつながります。
もう一つは、このことと関係ないかも知れませんが、メジャーリーガーのイチロー選手が野球殿堂入りの投票において満票にならなかったときがあります。一人が投票しなかったからです。
イチロー選手は「1票足りないということは、すごく良かったと思います。いろんなことが足りない。不完全であることは、いいなあって。生きていく上で不完全だから、進むことができる」とコメントしています。
また「ああ完璧だと。1票足りないは僕にとって完璧。2票、3票ならちょっと悔しいなって。1票足りないは、普段自分が信じていることの1つに、完全にはなれないけど不完全であることは分かっているのだけど、完全を目指していく。だけど足りていない。その繰り返し。改めて知らせてくれた」と語っています。
1票足りないことは完璧。不完全だけれど完全ではない状態が完璧だという言葉は、「凄い」の一言に尽きます。
ひとつの柱だけを完全にしないことが完全に近い、発展途上の完全だということです。凄い学びになりました。


