18歳人口の減少問題
和歌山大学と和歌山県の18歳人口の減少について懇談したときの話です。過去から現在に至るまで継続して18歳人口が減少していますが、地元大学に進学する生徒も減少していることを知りました。
地元に国立和歌山大学がありますが、県内生徒の入学者数は全体の約30パーセントに過ぎないと伝えてくれました。教育学部は約40パーセントのようですが、経済学部とシステム工学部、そして観光学部も約30パーセントになっています。県内の高校生も地元大学よりも東京や大阪や京都の大学を選んでいるのです。以前は地元大学に進学して地元就職の生徒もいたのですが、近年は県外に進学している現実があります。
その理由は複雑ですが、ひとつには就職事情があります。県内大学に進学すると東京や大阪の企業に就職することが不利になることから、大企業の所在地にある大学を選んでいます。これは地元に働きたい企業がなくなっていることが根本的原因だと思います。最近の学生が目指しているのは世界で活躍できる舞台のある企業や外資系です。和歌山県にはそんな企業が少ないので戻ってくることはありません。
地元、和歌山大学の卒業生も県外就職が増えているのは同じ理由です。県外から同大学に来た学生は県外に戻りますが、県内から進学した学生も就職は希望する企業がある県外を選んでいます。つまり和歌山県の18歳問題は、県外に進学する原因が、地元大学に進学しても希望する企業が県内にないことにあります。
問題なのは、今でも県外進学率が高いのですが、県内の若年層が大幅に減少する2035年から2040年になると18歳人口が大幅に減少する未来です。只でさえ少子化なのに、少子化世代が18歳になって県外に進学すれば和歌山大学の入学定員も減らされることになり、益々、県内に学生が残らないことになります。言うまでもなく先に述べた理由で、一度県外に進学すると地元に戻ってくる学生はありません。
18歳人口の大幅減少は一気に来ることは確実な未来として予想されています。つまりこの問題に対応するためには、今直ぐ対策を講じる必要があるということです。「2035年になって考えたら」など悠長なことを言っている場合ではないのですが、行政の意識が薄いようです。
地元大学は「和歌山県の将来を担ってくれる人材に来て欲しい」と願って取り組みを開始していますが、大学単独の取り組みでは進みません。同大学が提唱して「地域連携推進プラットホーム」を立ち上げ、和歌山県や和歌山市、地元企業が参画していますが、目的を達成するためには、十分に機能しているとは言えないようです。それは和歌山県が18歳人口減少の問題を受け身になっているようだからです。もうすぐ手遅れになる時期が訪れますから、今対策を講じなければだめで、この問題が顕在化してくる10年先に取り組んでも遅いのです。将来人口はほぼ正しく推測できるので、和歌山大学の定員の削減が決定されている可能性があるからです。これでは益々地元大学に進学しなくなります。
この18歳人口減少問題を議論していると、和歌山県に危機感が欠如していることを感じます。例え対策が見えなくてやれないとしても、和歌山県が「やろう」と言わない限り、何もできません。
考えられる対策は、県立医科大学のように地域枠を設けることや、共通テストから外すことなどがありますが、これも大学が文部科学省に提言する際に和歌山県の後押しが必要となります。和歌山大学と和歌山県立医科大学の連携を図り、総合大学のような強みを出すためにも和歌山県のやる氣と支援とが必要となります。
地元大学だからこそ和歌山県に愛着がわくような教育ができますし、和歌山県の将来を支える人材を輩出することができます。和歌山県や市町、そして地元企業と和歌山大学が共同研究をすることで地域発展につながります。企業が行う研究に大学の教員が入ることでレベルを高めることができます。
和歌山大学と地元自治体、地元企業が18歳人口減少の問題を真剣に協議する場、「地域連携推進プラットホーム」を動かせていくことを期待しています。18歳人口減少の問題は、将来の問題ではなくて現在の問題です。


