1980年代の日本経済に大きな影響を与えたのは産業の空洞化です。当時の経済書では「産業の空洞化」について書かれた本か多数発刊され、私も主なものは読んだ記憶があります。
1980年代は日本経済の大きな転換期でした。産業のグローバル化が進む中で国内の産業構造は大きく変化し産業空洞化が起きたのです。
この1980年代の産業空洞化とは、国内の製造業がアジア、特に中国へ生産拠点を移転させたことで、国内の生産機能や雇用が失われ国内産業が衰退していった現象のことです。この産業の空洞化の要因は次の通りです。
- 円高の進行により輸出競争力の低下を招きました。
- アメリカとの貿易摩擦が激化していました。
- 人件費や土地代などのコストが国内で上昇しました。
- 海外市場が成長したことで新興国の市場拡大に魅力が増しました。
そして産業の空洞化は日本経済に下記のような影響を及ぼしました。
- 製造業を始めとする企業の雇用が縮小しました。
- 技術力が流出していきました。特に海外での生産が増えるにつれ、先端技術が流出することになりました。
- 国内投資が停滞しました。特に国内での新しい設備投資が抑制されることになりました。
当時、海外への工場移転は、日本企業がグローバル競争力を維持するための戦略的な海外進出だったのです。
このことが現代のわが国の経済にまだ影響を与えています。
- 製造業の衰退。国内での工場が減り製造業の雇用機会が減少しました。
- 技術の流出。工場の海外移転とともに、日本の先端技術が国外に移転されました。
- 雇用の変化。製造業の代わりにサービス業の雇用が増加しました。正社員が減り非正規雇用の割合が増えるきっかけにもなりました。
- 地域経済が衰退。工場があった地域の経済が衰退し、シャッター街が増えるなどの問題が生じています。
つまり1980年代に起きた政策的に行われた産業の空洞化は、現代の日本経済に悪影響を与えることになっています。しかし竹下元総理は将来の結果を予測して踏み切ったとすれば凄いことです。当時、竹下元総理は経済に精通していないと思っていましたが、この戦略は国内経済対策ではなく対アメリカ向けの戦略だと言うのです。失われた30年と言われる期間の経済低迷を予測して近視眼的ではなく、その先の日本の将来を安定させるために必要な戦略だったとすれば、竹下元総理の評価は一変します。
現代、当時は考えもしなかったほどの勢いで中国が台頭、日本を凌駕するほどの経済大国となりました。当時の日本のリーダーの予測を上回ってしまったとも言えますが、とにかく経済大国となりました。この背景にあるのは、昨日も記した通り日本の資金提供と技術移転です。当時、日本がこの戦略を行う必要があったと考えるべきです。日本の頭脳は、中国が経済大国になることによって得られるわが国の利点を見つけていたのです。もちろん中国は資金と技術移転の恩恵を忘れるわけはありませんから、内心、中国は日本に感謝しているはずです。
この先の展開を予め知るためには、世界を変えたプラザ合意、日米半導体協定締結以降の日本の動きと関係する国の歴史を知る必要があります。巨大な龍を誕生させたのがわが国だとすると、わが国のリーダーは、この先、巨大な龍がどのように動くのかを察知していることになります。もちろんアメリカ大統領も察知しているので、大国がどう動くかが分かると世界の動きは予測出来ることになります。落合先生と交わした新春の話の結論は、またの機会に譲ります。


