県議会は一般質問の三日目に入りました。昨日、一般質問で「和歌山IR」質疑が交わされましたが、経済界からは失望の声が届いています。「やる」のか「やらない」のかはっきりしませんし、和歌山県の今の経済と将来の姿を考えた時「やらない理由はない」にも関わらず決めきれないことからです。
もうひとつの原因は「大阪IRの開業後の姿をしっかりと見極めたい。そのうえで和歌山県におけるIR誘致の是非を慎重に判断すべき」、「大阪を見てからでは遅いのではないかと質問にありましたが、『やる』とも『やらない』とも言っていませんので、大阪IRがどんな姿になるのかが非常に重要なことだと思っています」という知事答弁があったからです。
つまり現時点では大阪IRの開業時期は2030年秋の予定ですから、開業後の姿を見て判断することはできません。何故なら、令和7年10月27日に観光庁による全国の自治体に対する「意向調査」が締め切られており、地方自治体から回答は「検討又は予定している」または「予定はない」の二者択一だったからです。ここで「検討又は予定している」と回答した地方自治体があり、それらの都道府県は既に準備に着手しているからです。「やる」意向のある都道府県は準備が整い次第、観光庁と事前協議に入りますから、それ以降、それほど遠くない時期に政令が公布されることになります。この政令はIRに関する区域整備計画の残りの2カ所を募集する内容になるからです。そう遠くない時期とは、令和8年ということになるので、大阪IRの開業後の姿を待って判断できないということです。
つまり2030年に判断したいと考えていても、既に2つの枠は埋まっているので、その時点で「和歌山県はやりたい」と伝えても、枠はありませんから観光庁から「今頃、何を言っているの」となり相手にされないということです。
和歌山県が東京都のように国から一目置かれている地方自治体であれば、極めて可能性はありませんが検討の余地があるかも知れません。しかし残念なことですが国から見た和歌山県の存在は東京都ほどではありませんから、ほとんど相手にされないのです。もっと言うなら、日本国は和歌山県を中心に据えて回っているわけではないのです。和歌山県が何時判断しようと自由ですが、日本国は和歌山県を中心に回っていないと理解しているから、そんな遅い時期に判断する回答はあり得ません。これなら「やらない」と言っているようなものです。
しかし、現在と将来の和歌山県経済を考えると「和歌山IR」を「やらない」という選択肢はありません。開業までの事業全体で1兆円の大型投資は「和歌山IR」以外には絶対にないからだと言い切れます。和歌山県に必要なものは民間の大型投資ですから、この機会を逃すことはあり得ないのです。
「和歌山IR」の質問に対して極めて消極的な答弁に失望したのは、上記のような理由からです。令和7年12月11日、和歌山市を中心とした400社を超える企業が「IR推進」を求める署名を知事に提出しています。経済界から推進の意向があることは知事も認識していると思いますが、その意向表明をしたにも関わらず消極的な答弁があったことに対して、署名をした会社の代表者は「信じられない」「和歌山県経済を何とかする意思はないのか」「何をやろうとしているか分からない」などの声が届いています。
観光庁による意向調査から一カ月強が経過しています。「検討又は予定している」と回答した地方自治体は観光庁と事前協議や準備に着手していると思います。既に和歌山県は大きく出遅れたわけです。この大型投資は時期を逃してできるものではありません。意思決定の時期はすでに遅れていますが、もうリミットギリギリのところまできています。
「前例にとらわれないことに挑戦する」と言っている知事ですから、「和歌山IR」の判断を先送りする理由が分かりません。
そして20歳代の人からこんな意見もありました。
「時代はIRでしょう。和歌山県の計画には和歌山県でできる経済対策は絶対に入れるべきです。日本国内だけで有効需要は生み出せません。若い人が和歌山県に期待しているのは働ける場所と戻って来たいと思える場所です。それを創り出させないなら和歌山県に失望しますし、和歌山県に戻ることはありません」。
20歳代の若い人からの本音の意見です。果たして無視できる意見でしょうか。絶対に無視できない意見だと思います。


