友人が和歌山市に転勤してきました。実に30年ぶりなので、久しぶりに(久しぶりのレベルを超えていますが)懇談の機会を持ちました。話は盛り上がり、懇談時間は4時間を超えるほどになりました。
30年ぶりに和歌山県に戻りましたが、あの頃に比べて飲食店の賑わいが無くなったように感じます。和歌山市の飲食店はもっと賑わっていたように思うので寂しさを感じます。この期間、東京への一極集中が進んでいますし、30年間の首都圏の発展は関西の想像を超えています。人の賑わい、まちの賑わい、エンターテイメントとプロスポーツ、美術館と博物館のレベルの高さは他を圧倒しています。さすが世界レベルの都市だと思います。
東京と比較することはしませんが、和歌山県は関西の中でも元気がないと思います。三都はもちろんのこと滋賀県も元気ですし、奈良県は総理が誕生したことにより発展の可能性が見え始めました。和歌山市に来てから少ない時間なので合っているかどうか分かりませんが和歌山県は光明が見えません。
一つは飲食店の賑わいが感じられないこと。夜の街の人通りが少ないこと。商店街に元気がないこと。経済界も活力が感じられないことなど残念に思います。
まだ調べていませんが、和歌山県の10年先のビジョンに希望があるのでしょうか。あるとすればどのような姿を描いているのでしょうか。新しい産業は創造できているのでしょうか。経済界から将来に期待できる話を聞くことはありません。参考になるのは和歌山県の総合計画ですが「これは凄い」と思える記述はありません。DXやGXや宇宙関連産業の記述はありますが、言うまでもなくDXやGXは雇用を増大させることはありませんし、投資は一過性のものです。宇宙関連産業が誘致できれば期待できますが、誘致の可能性はあるのだろうかと思います。北関東で宇宙関連産業がありますが、この研究施設や工場が移転するとは考えにくいと思います。研究者や宇宙関連の人材、教育機関や医療など、北関東より良い条件があれば可能性はゼロではないと思いますが、これらの条件整備ができなければ極めて可能性は少ないと感じます。これは首都圏で生活をしている一人としての感想なので、和歌山県が「そうではない」と言うのならそれまでですが、首都圏から和歌山県は遠いと思います。遠いと言うのは心理的距離、産業の適地性の感覚の距離、移動距離などです。
一方、大阪から見ても和歌山県は遠いと感じています。先日、大阪市内の事業者と一緒に高野山に行きましたが、高野山に来た経験のある人はゼロでした。大阪にいながら高野山に行ったことがない人が多いのは「遠いと感じている」ことや「高野山の魅力を情報として受け取っていない」ことが原因です。世界に冠たる宗教都市ですが大阪人でさえ、来たことがない人が多いのです。
ビジネスの観点から言うと、和歌山県の市場が小さいこと、やがて70万人台まで人口減少が進む予測があることから、企業が和歌山県に大型の投資をすることはないと思います。本社で議題に取り上げたいと思いますが、「和歌山県に投資することについて」を議題にすれば、現在と予測できる市場規模と人口数から考えると、「新規に投資をする」結論には至らないと思います。つまり企業が投資する対象地域になっていないということです。
むしろ首都圏、もっと言えば市場がある東京への人材投入と営業力強化にシフトしていきますし先行投資も東京に集中することになります。関西では大阪、京都、そして神戸になり和歌山県は議題にのぼらないと思います。
和歌山県への投資をすると判断する材料は現時点ではないので、例えば和歌山県総合計画で投資が必要と判断できる材料が記されていることや、全国でたった3か所だけ認められる投資対象として希少価値のある統合型リゾートに選定されることが必須条件です。
これらの施策を打ち出さない限り、上場企業の和歌山県への投資はないと思います。
残念ながら企業の投資が生まれない県が発展することは難しいと思いますから、和歌山県には期待できる施策を打ち出してもらう以外にありません。
未だに「大阪にIRができるので和歌山県に出来る可能性はない」と言う人がいますが、一つには近接性は認可に関係ないという観光庁の方針を理解していませんし、二つとして和歌山県在住の人が言っていることは和歌山県の可能性を摘み取っていることを理解していないことになります。可能性を可能性として考えていない限り、可能性はゼロに近づいていきます。
和歌山県の可能性を求めるのであれば大型の民間投資を生み出す以外にありません。それを否定するのであれば代替案が必要ですが、現状では誰も代替案を答えられないのです。
だったら実現可能性のある大型投資の道を切り拓く判断をすべきだと考えます。


