活動報告・レポート
2025年9月16日(火)
政策研修会で講義
政策研修会での講義
政策研修会での講義

連合和歌山主催「政策研修会」で講師を務めさせてもらいました。講義は「県政報告」で、令和7年9月議会で一般質問を行いますが、予定している項目に基づき和歌山県経済の現状と再生について報告を行いました。報告の要旨は次の通りです。

本日から一般質問が始まりました。私は9月18日の午後1時から一般質問を行いますので、その内容について報告します。

今回、予定しているテーマは「和歌山県の将来を創ることについて」としています。この一般質問の項目は、(1)大型の民間投資を受け入れることについて(2) スポーツビジネスについての考え方について(3) 和歌山県はどこに進もうとしているのかについて(4)大型投資についてなどです。

政策研修会での講義

今月初め、会派で長崎県と佐賀県の視察に行ってきました。そこで長崎スタジアムシティを視察したのですが、スタジアムではなくスタジアムシティと命名しているところが凄かったのです。県庁所在地の中で長崎市は人口減少率が全国一位で、二位が和歌山市になっています。その長崎市の人口減少が止まったのは、長崎スタジアムシティができたことが大きいのです。ここにはサッカー場とバスケットボールのアリーナを建設しています。どちらもプロチームがホームグラウンドにしている施設です。試合のある日は賑わうことは分かるのですが、ここでは試合のない日も集客できるしくみを整えています。

サッカーのホームでの試合は年間20試合なので、365分の20に過ぎません。バスケットボールは年間40試合なので、それでも365分の40です。ビジネスとして成り立たせるには試合のない日も集客できることが条件です。そこでこのシティでは、飲食店やショッピング、ホテルを併設することで県内外からお客さんを集めています。長崎スタジアムシティの見学もビジネスにしているように、試合のない日でもお客さんを呼び込んでいるのです。この経済効果と地元に戻ってくる人もいるので雇用も創出しています。寂れていた地元商店街にも人が戻るなど相乗効果を生み出しています。

経済と雇用を創出できたのは約1,000億円の投資をしたからです。オーナーは地元に本社があるジャパネットたかたで、大型の投資をして長崎市を経済と雇用で再生しているのです。地方自治体で最も重要な取り組みは経済を回すことですから、長崎市は大型の投資を受けたことで経済が循環し始めています。

佐賀県でもスポーツビジネスの観点を採り入れ、プロスポーツとサッカーグラウンドとアリーナの建設による経済効果を生み出しています。これは佐賀県が明確にスポーツビジネスを打ち出しているからできることです。

そして今朝、大学生から聴いたのですが、彼は先週末に神戸国際会議場で勉強をしてきました。国際会議場で国際会議が開催された時の経済効果を聴いて驚きました。1万人の参加者で、国際会議なので会期は一週間であれば経済効果は約30億円だということです。一週間で約30億円の経済効果を生み出しているのです。

政策研修会での講義

ところで本日、浦口議員の一般質問で「和歌山市での企業の投資額」を質しました。県からの答弁は「和歌山市への投資額は、過去10年間で112億円、雇用は485人」だということです。

聴き間違いではないですよ。何度でも言います。10年間で112億円、雇用は435人です。一年に換算すると投資額は約11億円。雇用は約43人ということになります。長崎県は長崎スタジアムシティだけで1000億円の投資、神戸国際会議場の国際会議を一週間開催することの経済効果は約30億円。それに対して和歌山市の一年間の企業の投資額は約11億円。如何でしょうか。これで和歌山市の経済が良くなるはずはありません。余りにも投資のパイが小さいのです。

参考までに1,000億円の投資をすると経済学の乗数理論が働き、経済効果は5倍の約5,000億円となります。これでは到底、和歌山市は太刀打ちできません。

今、一つ思い出しました。参考までに白浜町のパンダの経済効果を関西大学が算出しています。31年間で1,256億円です。単純計算をすると1,200億円を30で割ると、一年間の経済効果は約40億円となります。神戸がMICE施設を保有していることから開催される国際会議の一週間の経済効果が約30億円ですから、和歌山市にMICE施設を設置し、国際会議を誘致すれば同等の経済効果が期待できるのです。

如何でしょうか。大型の投資は和歌山市の経済再生のために必要なことが分かっていだたけると思います。

ところで経済対策、経済対策と言いますが、経済対策の中心は金融政策です。皆さんも金融政策を習った記憶があると思いますが、金融政策とは準備率操作、公定歩合、公開市場操作の三つです。最近は準備率操作と公開市場操作、いわゆる、買いオペ、売りオペですが、この二つの金融政策はあまり取られていません。実行しているのは公定歩合、現在は金利政策ですが、この上げ下げで経済を安定させる、経済を操作しています。この金融政策は全て中央銀行がやっていますから、実際は中央銀行が経済政策を担っているのです。

つまり和歌山県では金融政策ができませんから、金融による経済対策はできないわけです。これは和歌山県だけではありませんよ。全ての地方自治体は金融による経済対策はできないのです。

だから大型の民間投資が必要なのです。和歌山市も和歌山県も大型の投資を受け入れない限り、大型の投資がない限り、経済の再生も雇用を増加させることもできないということです。

政策研修会での講義

さて和歌山県では新総合計画を策定しているところです。この新総合計画が目指すゴールは2030年ですから、今から5年後です。5年後に向けて夢を描きながら実現を目指さなければなりません。今から5年後に向けて和歌山県が実現したいと思う夢のある取り組みを2、3挙げてと言われても、残念ながら中心となる政策がないのです。これでは大学生は和歌山県に戻ってきてくれません。

何でもいいので夢があり実現を目指す政策を掲げなければ大学生は戻ってくれません。例えばAI技術で日本一の和歌山県、例えば、これは熊本県と北海道で実現しているので無理な話ですが、和歌山県が日本一の半導体企業を誘致する。例えばスタジアムとアリーナを建設し、プロスポーツで地域を盛り上げるなどのエンターテイメント県を目指すなどを掲げたら夢があります。そう思いますよね。

それがなければ意味がないとは言いませんが、期待の持てる政策を掲げなければ、若い人は戻ってきてくれませんし、経済も雇用も再生は無理です。これは「和歌山県はどこに進もうとしているのか」の大学生の問いかけに対する答えです。和歌山県政として、大人として大学生の問いかけに答える必要があります。

一般質問の3項目目の「和歌山県はどこに進もうとしているのか」は夏休み地元に帰ってきた大学生からの問いかけなので、県政に携わる一人として答える義務があります。このことも一般質問で議論を交わす予定です。

以上、今議会の一般質問で取り上げる項目について説明をさせてもらいました。和歌山県経済の再生を図るためにも大型の投資が必要であることを理解して欲しいと思います。ご清聴、ありがとうございます。

その他
  • 令和7年9月県議会一般質問が始まりました。4人の先輩、同僚議員が登壇して質疑を交わしました。聴くことで県政の課題に触れられるので勉強になります。
  • 大学生インターンシップの彼から「週末、神戸国際会議場に研修に行ってきました。国際会議を誘致して、1万人の参加者で1週間開催すると、経済効果は30億円になります」と教えてもらいました。MICE施設があり国際会議を誘致した場合の巨大な経済効果に驚きました。和歌山県でもMICE施設は欲しいと思います。