活動報告・レポート
2025年9月5日(金)
久光製薬
久光製薬

佐賀県鳥栖市にある久光製薬本社を訪ね「企業とスポーツ」「企業と地域との関わり」について説明を受けた後、懇談しました。担当してくれたのは「サステナビリティ推進部」で、女子バレー部や地域振興を担当している部署の方々です。

さて地域に貢献する久光製薬は、令和7年の今年、創業178年を迎えています。初代久光社長は、薬を先用後利の売り方、いわゆる配置売薬を始めました。先に商品を納めて後で代金をいただく方式は、日本でだけ通用する方法だそうです。

3代目社長は「隠徳、無形の貯蓄」を経営方針にしました。これは「形として見えなくても良い行いを積み重ねていくことで、やがて良い報いが帰ってくる」という考え方です。

4代目社長は「実行宣伝」いわゆる実宣を掲げ社業を進展させました。創業の地、佐賀県鳥栖市にお世話になっていることから、地元で女子バレー部を創設し、また地元の高校生を支援するなど地域振興に力を入れています。

さて久光製薬は1948年に女子バレー部を創設しました。誕生の背景として、同社の職場ではレクリエーションが盛んで、会社ではクラブ活動も盛んでした。その中で女子バレーが盛んだったことから、企業内クラブとして女子バレー部が設立されました。本社でチームを設立して鳥栖市を拠点として活動をしていましたが、その後、ダイエーの女子バレーチームと合併したことから、しばらくは神戸市を拠点に活動していました。しかし2年前から地元である鳥栖に戻り、ここをホームタウンとして活動しています。

サロンパスアリーナ

そして女子バレーボールチームの練習用にサロンパスアリーナを作りました。ここには女子バレーボールチームの練習コートと、地元の皆さんに活用してもらうためのサブコートがあります。

但し、女子バレーボールリーグの公式試合は、観客が5,000人以上収容できるスタジアムが必要なため、公式戦は県立の「SAGAアリーナ」を使用しています。とても立派なサロンパスアリーナですが、収容人数は1,400人のため公式戦では使えないのでオープン戦などで使っています。また女子バレーリーグ戦の公式戦は、年間22試合のためプロスポーツチームとして独立で採算を取ることは厳しいことも伝えてくれました。もちろん女子バレーチームの選手は全員がプロ契約であり、移籍の自由や年俸の問題もあり、企業がクラブチームを持つことの大変さも理解できました。そのためチームの中心選手たちは、地域貢献として地域を訪れて企業広報や女子バレーの宣伝や支援を求めたり、練習の様子を地域の皆さんに見に来てもらえるようにもしています。プロスポーツは地域と共生をすることで成り立つものであり、地域にとってプロスポーツが存在していることが誇りになります。鳥栖市にはプロ女子バレーとプロサッカーチームがあり、人口約7万人の市にプロチームが存在し活動していることを羨ましく思いました。サロンパスアリーナとサッカースタジアムが同じ鳥栖市の敷地内にあり、プロスポーツの拠点として活用されていることは地域振興と共に鳥栖市の誇りになっているとも感じました。

サロンパスアリーナ

このように久光製薬は、佐賀県はスポーツによる地域振興を目指しているので、地元企業として貢献することを考えていると説明してくれました。

企業と地域は密接な関係性にあり、将来とも共存していくべき存在です。特にプロスポーツチームを保有できる企業があることは市にとって大きな財産であり、失うことができません。自分たちの市に、プロスポーツチームがあることも重みも感じることができます。地元にチームがあると地元の方々が応援しますし、その応援の力は市の活力になります。和歌山県はプロスポーツでなかなか盛り上がらないので、プロ女子バレーチームがあり、また豪華なサロンパスアリーナがあること、そしてプロスポーツチームを持っている企業が市にあることを羨ましく思い、視察を締めくくりました。