長崎スタジアムシティの視察に訪れ、株式会社リージョナルクリエーション長崎の担当の方に案内していただきました。同社はジャパネットたかたのグループ会社で、長崎スタジアムシティの運営管理を行っている会社です。広報も担当しているので、同社がスタジアムを案内してくれました。
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長崎市スタジアムシティができたことによる効果
この地域の土地の価値が上がりました。地元にとって買い物をすることや遊ぶことなど生活の選択肢が増えたので、生活のレベルが上がっています。更に、元々あった地元の商店には人通りが少なく寂れていましたが、波及効果で賑わいが戻ってきているようです。スタジアムシティができる前は買い物に訪れる人が少なかったようです。
また駐輪場を設置した時、地元にとって迷惑になるかなと予想していたのですが、逆に人が集まりだし、近隣の住民の方々も賑わいがあり、安全な街になったと評価されています。
つまりこの地域の生活の質が高まっています。
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相乗効果
このことはスタジアムシティが1人勝ちをしているわけではなく、コア集客施設となり、地元商店街に賑わいが戻っています。プロサッカーやプロバスケットの試合が開催されるときは、JR長崎駅とスタジアムシティをシャトルバスでつないでいるため、街中にも人が訪れるようになりました。
では「近隣の交通渋滞の問題はありませんか」を尋ねると、「交通渋滞は全くありません」との回答でした。長崎スタジアムシティは20,000人収容できますから、交通渋滞の発生を予想して、渋滞が起こらない施策を採り入れています。例えば、試合のある日のスタジアムシティの駐車場は予約制にしていることや、3時間を超えて駐車すると3,000円の割増料金を設定にしています。そしてスタジアムシティ内には地元産ビアを提供するビアハウスを作り、お客さんが一般交通機関で来るようなしかけもしています。このビアは市内で販売していないので、ここだけで飲めるビアとしています。
それでも最初は交通渋滞を心配して警察に交通警備をお願いしていましたが、オープンから3日後には「もういりませんね」ということになり、警備をしなくて良くなりました。
つまり結果として、心配していたような交通渋滞は全くありませんでした。事前予測と対策を講じることで成果を上げられたのです。「地元からは交通渋滞での苦情は一切ありません」と説明してくれました。
それどころか、スタジアムシティの計画時点で地元から反対意見がありましたが、「今は誇りに思う」と評価されるようになっています。
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集客効果
長崎スタジアムシティを訪れる人数ですが、平日で約9,000人、休日で約20,000人から30,000人となっています。これ以前は、長崎市で平日に9,000人も集客できる施設はありませんでした。スタジアムシティには長崎市で初めて出店するショップや地元の人気店などが入り、長崎市内外から訪れる人で賑わっています。
またバスケットアリーナでは、試合の開催されない日はコンサートなどのイベントを企画しています。これまで長崎市では、メジャーなアーティストからは集客できないと断られることがありましたが、今はこのアリーナでコンサートに来てくれるようになっています。
スタジアムシティのオープニングは福山雅治さんのコンサートを行っています。
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コンセプト
スタジアムシティのコンセプトは「非日常を日常にすること」「毎日来たくなる場所」「ちょっとした未来が見える地域」としています。毎日の生活において、ちょっとした未来が見えると、そんな毎日の積み重ねが希望のある未来へとつながっていきます。
そのために福岡県の人気スーパマーケットの「フードウェイ」の誘致を行い、また東京の人気店などの店舗構えをしています。スタジアムで年間開催される試合は、サッカーが20試合、バスケットで40試合程度だそうです。試合のない日に人が訪れてもらえるしかけも必要なので人が訪れてくれるような企画をしています。
この長崎スタジアムシティモデルは全国の地方都市に通用するロールモデルとして、いずれは全国に発信していきたいと説明してくれました。
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人材採用
人材の採用ですが、スタジアムシティ内に事務所を置いた企業では、県内外の若手人材の採用が増えているようです。地元で働きたいからと戻ってくる人や、県外から長崎スタジアムシティに就職希望で訪れる人も増えているそうです。
雇用を増やすために人件費に関しては「希望のある会社なので、私たちが頑張って黒字に転換させて投資を回収したいと思っています」と話してくれたように、やりがいがあり将来の希望の持てる仕事になっています。
そしてスタジアムシティと取引をしている地元の中小商店では売り上げが増えているので、賃金を上げるための原資ができているようです。このように良いルーティンになっているようです。
このように地元商店の売り上げが伸びることでサッカーやバスケットボールチームを応援するところも増えているので協賛してくれる会社が増えています。プロチームのお陰で地元企業の価値が上がっていることも説明してくれました。
このように、スタジアムシティができたことで地元の賑わい、地元企業の売り上げ増につながり、また若い人材が長崎市に来てくれるなど良い循環になっています。