東京の友人が「和歌山県以外は必死ですよ」と話してくれました。何のことかと言うと「どこの県も企業誘致は必死でやっていますよ。私の知る限り和歌山県は他の県と比較すると本気には感じられませんね」ということです。
彼は都内だけではなく、事業所は北海道から沖縄県まで取引先がありますし、それぞれの地元の方々と意見交換を行っています。友人であるがゆえに現地を歩いて感じたこと、和歌山県の取り組みの緩さを比較して伝えてくれたのです。

私も感じることがあるので議論は進んでいった結果、「本気でない」ということは、活動は懸命に行っているのですが、相手に本気さを感じさせていないということに尽きます。
「和歌山県に来てください。これだけ進出してくれた時の補助金があります」と説明しても、他県も制度化しているので、補助金だけで差異化を図ることは難しいのです。和歌山県の本気度とは次のようなものがあると思います。
- 従業員さんの住宅環境が優れていること。東京から引っ越してくるのだから住宅環境は大事です。
- 子どもの教育環境があること。これも東京から引っ越してくるのだから、家族帯同で和歌山県に来る場合は教育がとても重要です。
- 製品を製造した時の取引先の紹介。つまり和歌山県にその市場があるということ。国土軸にあれば輸送コストは氣になりませんが、和歌山県は半島なので輸送コスト面で不利な立場にあります。全てとは言いませんが、地元で引き受けてくれる企業が必要となります。
- 工業団地だからインフラを整備するための予算を惜しまないこと。水道や電力など整えておく必要があります。工業団地に水道と電力がないようでは厳しいと思います。
- トップの熱意を感じられること。トップの言葉はとても大事です。「何が何でも和歌山県に進出してください」と感じてもらえる言葉が必要です。「来たかったらどうぞ」と感じられるようでは進出してくれることはありません。どの県でも企業に来てもらいたいので、熱意ある言葉で誘致を行っています。
まだまだありますが、最低限、以上の条件を満たすことが進出のために必要なことです。
もし未だに整っていないとすれば、和歌山県が進出を検討する企業の立場に立っていなかったことを示しています。
繰り返しますが「どこの県も必死ですよ」の言葉は現実であり、真実味を帯びています。そして彼は「企業誘致に本気になれないのであれば『和歌山IR』があるじゃないですか。
選択肢があれば別ですが、他になければ真剣に考えるべきです。和歌山県はIR申請に取り組んだ実績がありますし、リゾート県なので統合型リゾートの誘致に適していると思いますよ。製造業や先端企業進出のための条件整備が未だに行われていないのであれば、『和歌山IR』に本気になるべきだと思いますよ」と話してくれたのです。
これは東京から見た視点ですが、地元和歌山県も同じだと思います。これまでの活動で感じていることは、半導体や宇宙関連産業は和歌山県に進出してくれる可能性は乏しいと言わざるを得ないことです。インフラ整備と敷地面積の問題、そこに先端企業で働けるレベルの従業員確保の問題や税制面での優遇の有無、そして行政の熱意と支援体制の問題などから、和歌山県に進出してもらうのは簡単ではないということです。
簡単に「宇宙産業の誘致」と言っていますが、以上のような条件整備が整っていない段階で誘致は難しいと感じています。企業誘致には本気で取り組むこと、可能性のある「和歌山IR」に取り組むことも考えるべきではないでしょうか。
- データセンターや蓄電所に係る打ち合わせを行いました。これらは和歌山県で誘致可能な業態です。
- 「大阪・関西万博」出演の衣装に関する依頼をしました。親切に迎えてくれたことに感謝しています。
- 法律家の方々と外国人就労やSNS活用に関する会議を行いました。「和歌山県は何事も取り組むことが遅いので、せめて関西の府県とレベルを合わさなくては」と話し合いました。