活動報告・レポート
2025年9月1日(月)
課題と向き合う政策論議

和歌山県内外で、和歌山県を活性化するための施策として「和歌山IR」を議論していますが、本日、都内での懇談の中で「なるほど」と頷ける意見がありました。

和歌山市にIRができると「和歌山市に交通渋滞が起きるから反対」という意見があることを知りました。知事の議会答弁であったようですね。この考え方には全く賛同できません。

もし企業が進出して道路渋滞という課題が発生すれば、その課題を解決する方法を考えて実行するのが県政です。「交通渋滞が予想できるから、誘致は問題がある。つまりやりません」と結びつけることは行政の怠慢で責任を果たしていないことになります。

交通渋滞が予想できるなら事前に対策を講じること。それでも渋滞すれば道路を拡幅するだとか、別ルートで迂回道路をつくるなどの方法があります。市の活性化が期待できるのなら、そして実現の可能性があれば企業や「和歌山IR」を誘致することが政治判断であり、県政です。

問題が発生するから「白紙」という選択肢はありませんし、やる以前の問題として「交通渋滞が発生する」は理由になりません。交通渋滞を理由に市の発展を止めようとするのは為政者としてあり得ないことであり、課題解決の知恵を出し合い、方法と予算を考えることが行政の役割です。

それよりも、むしろ発展のための「チャンス到来」と思わないことが不思議です。基幹産業が進出してくれない、大型の民間投資がない和歌山県に、大型の投資を見込める案件があるのなら、何故「実施すること」の検討を始めないのか不思議です。議会の意見を聴くことや、タウンミーティングの議題にして意見を聴くこともできます。もし交通渋滞が前回の申請時の課題として残っているのなら、検討する時間はたっぷりとありますし、前回の計画で交通渋滞が課題と認識しているなら、そのまま国に申請を上げようとしていたことが問題です。その時、「和歌山IR」に係る課題は解決したから審議を経て、国に申請する予定だったことが「おかしい」ということになります。

和歌山県の経済規模と雇用を増やすための施策は極めて限られています。収益が見込める投資案件は少ないですし、規模も小さいので大型の投資につながっていません。インバウンド観光と言いながら、今夏、私が訪れた京都や奈良、そして大阪の観光地と比較すると、和歌山県を訪れているインバウンド観光客の人数はけた違いに少ないのです。伏見稲荷大社も、金閣寺も、東大寺や奈良公園は、外国人観光客が溢れていました。その賑わいと比較して和歌山県内の観光地のインバウンド観光客は少ないのは明らかです。

「和歌山IR」に関しては、国が地方自治体の意向を確認することが先なのか、地方自治体が国に意向表示をすることが先なのかの問題はありますが、経済が低迷して希望が見えない和歌山県が、他の都市と同じように待ちの姿勢では何も始まりませんし、国の意向確認が来てから「さぁ、検討しましょうか」の姿勢では遅いのです。残念なことですが、今まで出遅れた場合や他県よりも遅い取り組みが功を奏した事例を知りません。恐らく「IR」に関しても、現在、先行している地方自治体はあると思います。他が動くのが見えないから「まだだろう」や「他が名乗りを上げてからでも遅くはない」と思っているようでは、またしても遅きに失することになります。

やるなら先行することがアドバンテージになりますし、初めに意思表示をしたところが有利に試合を進められるのです。本気で「IR」を誘致しようとする地方自治体が、今の時点で何もしていないはずはありませんから、見えない動きをしているのは当然のことです。

試合は始まる前から、試合に勝つために十分な準備を整える必要があるからです。試合が始まってから体を試合に慣らしていくだったり、作戦を立てるようなチームはありません。強いチームほど事前準備をしていますし個人としてもチームとしても練習を重ねています。

国の施策の実現を希望する地方自治体が事前準備を整えて競争に勝とうとすることも同じことです。試合が始まっていないから「まだ取り組まなくてよい」と思っているようでは、自治体間競争に勝つことはできません。

名乗りを上げようと考えている地方自治体では、間違いなく「交通渋滞が発生するからやめておこう」と考えているところはありません。どうやって解決できるかを考えて地域整備計画に対策を記載しています。

和歌山県が将来の希望を創り上げるために、従来の考え方や消極姿勢は捨てなければなりません。議員として、そんな行政の姿勢に対して強く意見を述べています。

本日は、都内で良い議論を交わすことができました。